この大きなパンデミックを経て、大学教育の質が取りざたされるようになりました。
大学学位取得後、社会に出て、希望する仕事に就くことの出来ない若者が急激に増加しています。
それは、実は社会の問題だけではなく、大学教育の質の低下であるとの報告がカナダMediaのCBCにより大きく報道されました。
オンタリオ州のCollege, Universityを卒業した学生の5人、いや4人に1人はOECDが最低基準としている「読み書き能力」にも「数学的能力」にも届かないという驚愕の研究結果が発表されました。
つまり、仕事をするに足る能力に届かないということです。
また、大学1〜2年目を終えた学生のうち30〜40%には、クリティカルシンキング思考能力に何の進歩も見られないという悲惨な結果も出ています。
毎年高騰する留学生授業料を捻出しつつ、カナダ大学留学を目指している頑張る日本の高校生のみなさんに取っては、最悪のニュースですね。
その内情を紐解いてみることにしました。
まず、大学自体が金銭的に逼迫しています。 それと同様、学費を払い続ける学生の経済事情が崩れています。
アメリカでは、大学生が抱えるローンが$1 trillionを越え、これ以上の出費が不可能な学生たちが大学入学を控え始めました。
カナダでは、破綻する大学が現れはじめています。 オンタリオ州のLaurentian Universityが良い事例です。
高等教育への予算が高かったカナダでも、パンデミック以前から、年々教育予算がカットされ続けています。
そのため、学生が払う学費が年毎に上がり続け、悲鳴をあげる学生たちが大学を避ける傾向も出てきているのが現状です。
学生数が減る、予算も減る、大学の質が低下する、つぶれる大学が出てくる、という図式です。
ですから、毎年学費を値上げし収入を確保、特に留学生に課される3〜5倍の学費は(ひどいです!)どの大学にとっても大きな収入源ですが、それだけでは賄い切れない部分を大学はどう切り抜けているか知っていますか?
給料の高い教授を雇うのではなく、はるかに給料の安い短期雇用の講師を使うようになりました。
給料は安い、いつ首になるかわからない、何の福利厚生もない講師達が教えているのが今のカナダの大学だと、CBCは指摘しています。
例えばオンタリオ州では、臨時講師、代替講師の教える大学授業は全体の50%にも上り、2000年と比べると倍増しています。
(リサーチは主にオンタリオ州で行われましたが、カナダの他の州も同様だと理解されています。)
アメリカでは、何と大学講師の70%が非常勤だとのことです。
非常勤講師が教える大学授業。
大学卒業生には、将来の雇用主が求めるクリティカル・シンキングスキルが備わっていない理由の最大部分がここにあります。
”Digital Generation”と言われる今の学生たち。
「現在の大学は、その世代には何の恩恵ももたらさない」と、この研究が証明したと。
「大学とは将来の雇用への潜在機会を大きくし、高い収入を保証するための場所であったが、今や、そんなものは存在しない。」だそうです。
こんな背筋が寒くなる数字を知っていますか?
アメリカでウェイターをする人の40%は大学学位保持者です。
イギリスで大学を卒業した若者の50%は失業者か、あるいは大学学位など必要ない仕事をしています。
今、カナダも同じ坂道を猛スピードで落ちて行っています。
あ〜〜、困りましたね。
カナダやアメリカ正規大学留学にやって来る優秀な日本の高校生は、英語圏での大学教育こそが将来のキャリアへの準備になると信じていますよね。
カナダやアメリカの大学なら、将来の就職に必要な知識、スキルや資格を保証してくれると信じているからこそ、高い学費を出しても留学していますよね。
そこで声を大にして言いたいのが、大学に入る前に必ずクリティカルシンキングを運用出来るようになっておくこと。
ただ闇雲に、とにかく留学出来たらいいではなく、クリティカルシンキングの基本のあるものだけが目指すのが大学留学だと理解しておくこと。
今まで支援して来た日本からの大学留学生たちに常に教えて来たこと。
クリティカルシンキング思考能力を運用出来るなら、カナダ大学留学のプラスがある。
大学教育の成功、その先の将来の成功の鍵はそこにあります。
もともと、クリティカルシンキング指導を大学に求めること自体が間違っていると思いますよ。
小さな頃からの日々の訓練を通じて育つのがクリティカルシンキングですから。
でも、将来仕事があるかどうかが心配?
OK.
それにプラスして必要なのが、今の企業が求めるスキルを絶対持っておくこと。
今、一番求められているスキルは何か知っていますか?
Story Telling、ストーリーを語るスキルです。
どの分野の仕事にも必須です。
大学に入ってから学習出来るスキルではありません。
小さな頃から本をいっぱい読み、考え、想像し、そして自分でストーリーを創造する。
このプロセスが必要。
基本になるのは、もちろん、クリティカルシンキングスキル。
これも、何年もかけたクリティカルシンキングを使ったReading/Writingトレーニングが土台となります。
そんな信念で、40年以上クリティカルシンキングを教えて来ました。
今は、カナダからクリティカルシンキングReading/Writingを指導するUX English、カナダクラブを日本の頑張る生徒たちに提供しています。
日本の良い子たちに届け!と。
大学に教える能力がなくなったのなら、「自分の学力は自分で守る」しかないですから。
未来に頭ひとつ抜け出すために。
来年夏、カナダ・アルバータ大平原で企画しているStoryTellingキャンプ。
大学の崩壊に巻き込まれたくない、自分の未来を自分で作りたい日本の生徒に提供するのが目的です。
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