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新型コロナ“国産ワクチン”…誕生はいつ?(2)

■既存のmRNAワクチンを超えるのか?第一三共、塩野義は

ファイザー製などと同じ「mRNAワクチン」の開発を、国産としては初めて目指す第一三共は、現在、最終段階の臨床試験を続けている。

今年1月には、1・2回目にファイザー製かモデルナ製を接種した人を対象に、「交互接種」での有効性と安全性も確認しており、今後、「国産に切り替えたい」人も対象に狙い、年内の承認と実用化を目指す。

一方で、塩野義製薬は、ノババックス製と同じ「組み換えたんぱくワクチン」を開発している。

先月、塩野義製薬は、1・2回目にファイザー製を打った医療従事者を対象に、3回ともファイザー製を打った人と、3回目に塩野義製を打った「交互接種」の人とそれぞれ100人ずつを対象に行った臨床試験の中間報告をした。

中間解析の結果では、中和抗体の量など、主要な評価項目で、ファイザー製に劣らない効果が確認されたという。

特に、中和抗体の量では、接種後15日目で比較すると、3回ともファイザー製を打った群の方が塩野義製よりもやや多かったものの、29日目では、逆に塩野義製を打った群の方が、1.17倍の量となり、より長い期間、中和抗体を維持していることが確認されたという。

塩野義製薬は、こうした臨床試験の中間データなどを随時、審査当局に事前に提出し、早く承認されるよう目指している。

■「緊急承認制度」創設を今国会で審議

これまで、大規模な臨床試験のデータが出そろってから承認申請し、審査に時間がかかってきた日本のワクチンの承認。新型コロナワクチンで、海外に大きく開発の後れを取った反省から、承認制度のあり方も、変わろうとしている。

今国会で、創設が審議されている「緊急承認制度」では、パンデミックなどの緊急時に、大規模な臨床試験が完了する前の中間段階のデータで「有効性」が「推定」できれば、ワクチンや治療薬などの迅速な承認が可能となる。

改正案が可決・成立すれば、年内の“国産ワクチン”誕生もみえてくるが、KMバイオロジクスは、「制度を利用する」と明言している。

ある厚労省幹部は、「国がワクチンを買い取るという担保もあるし、国産メーカーには、ここまで遅れたからには、急いで新型コロナの流行に間に合わせよう、ではなく、副反応が少ないとか効果が高いなど質の高いワクチンを開発してもらい、その経験と実績を積むことで、次に別のウイルスが出現した際も、力を発揮してもらいたい」と話す。

国は先月、この先の新たなウイルスの出現によるパンデミックも見据え、「先進的研究開発戦略センター、SCARDA」を設置した。

新型コロナウイルスのような重点感染症のパンデミックが起きた際に、いち早く、安全で有効なワクチンを作るための国の“ワクチン開発の司令塔”と位置づけており、今後、新たにワクチン開発に関わる企業などを、約1500億円の研究費で支援していくという。

 新型コロナウイルスとの戦いも丸3年を過ぎたところで、ようやく国も動きだし、変わり始めたワクチン戦略。果たして、“国産ワクチン”の実用化はいかに。
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