おしよほブログ

主におしよほまとめブログになります。

2021/06/09 教えて予報士さん 【テーマ:地象】

2021-06-09 21:32:54 | おしよほ

①津波のメカニズムが知りたいです

海底を震源とする地震で起きるが,海底のずれかたの違いが一番大きな要因
→正断層・逆断層(片方の断層がずり下がる・ずり上がる)の場合が多い.

また,深さも関係しており,上下のずれが海底に生じた時に発生する.
→浅い地震の時はズレが表面に生じるが,深い地震の時は途中で吸収されて海底の表面にずれが生じないため津波は生じにくい.

直近10年間の平均で言うと,M6.8震源の深さが26kmで津波が発生する(東北地方太平洋沖地震は特異なので除く)
M5クラスでも地震が起きたことがあり,これは海底の火山が海底を押し上げて海面の変化を生じた場合である.(噴火まではいかない)
→これは鳥島近海で過去何回も起きてきている.

②マグニチュードとモーメントマグニチュードの違いは?

そもそもマグニチュードはたくさんある.
いわゆるマグニチュードは気象庁マグニチュードと呼ばれるもの.
3.11以降にモーメントマグニチュードが使われるようになってきた.

気象庁マグニチュードとは,地震の周期を基にして揺れ幅(偏位)がどれだけかを表したもの.
モーメントマグニチュードとは,地震そのもののエネルギー
=岩盤が壊れた面積×岩盤の滑り量×岩盤の剛性率(硬さ)
のことである.

地震のエネルギーはモーメントマグニチュードの方が正確だが計算に時間がかかり,2-3分で津波が来る場合などは計算が間に合わない.
そのため,地震波形を基に即計算できる気象庁マグニチュードが運用されている.

気象庁マグニチュードは建物の被害を見る場合に有効である.
1995年1月の兵庫県南部地震では,
気象庁マグニチュードはM7.3だが,モーメントマグニチュードはM6.9と差が出たりする.
逆に2011年3月の東北地方太平洋沖地震では
気象庁マグニチュードM8.2(一時M7.9)
モーメントマグニチュードM9.0となり,津波警報を正確に出せないなどの課題があった.
USGSのサイトでは地震発生の20-30分後に世界の地震のモーメントマグニチュードを公表している.

③ぐっさんの思う最近気になる地震は?

本日未明の関東東方沖の地震M5.0深さ10km
M5.0とそこそこ大きく震源が浅いのが気になる.
プレート境界で起きる大きく浅い地震は気になる.
3.11の時も2月の半ばからプレート境界でのM5クラスの地震が起き始めていた.

最初のマグニチュード-1が最大余震であるが,これを大幅に上回る地震が起きていると注意.
また,震源の位置が動いていく時は,岩盤の破壊が周囲に波及して行っている可能性があるため,大地震につながる可能性がある.

震源が深い地震はまず無視.M3クラスでも浅い(20-30kmより浅い場合・ごく浅いなど)地震は気になる.
震度の大小では地震そのものの持つ意味は判断できない.
最初から大きな本震が来る場合は予知は不可能であるが,こういった地震には注意が必要.

④首都直下型地震の起きる確率は?

向こう30年間で70%の確率で起きるのではないかと言われているが,
首都直下型地震という地震の定義(どこからどこまで)がそもそも曖昧である.
都県を跨いで起きる地震を総合して出しているが,具体的にどこかはわからない.

インパクトのある表現であるため,早めの段階で防災減災の意識を持ってもらうことが大事.
3つのプレートの重なる場所に首都があるのは世界で日本だけである.


2021/06/02 教えて予報士さん 【テーマ:地象】

2021-06-02 22:09:52 | おしよほ

①大きな地震が起きた場合,いつまで中に留まるべき?

最近の建物は建物が倒壊することはまずない.
2001年芸予地震で愛媛県で外に出た際にベランダが崩れて下敷き
2005年福岡県西方沖地震ビルの窓ガラスが一斉に割れて地面に落下した
→慌てて逃げ出すと重大な怪我を負う可能性がある.

そもそも本当に家が倒壊する揺れになった場合は外に逃げれない.

スーパーなどで揺れに襲われた場合は,身の危険を感じやすいが家にいる時と対処は同じ.
本棚の本の下敷きになって亡くなるケースはあるため,本屋で本が崩れてくる恐れはあるのでそこから離れることは大事.
ただ外には出ないほうがいい.
酒屋の酒が落ちてくる場合があるが,顔より下の場合が多いので焦らず避難して欲しい.

②日本で地震が起きにくい場所は?

起きにくい場所はあるが,起きないわけではない.
日本付近で最も地震を起こすプレートは太平洋プレート(10cm/1年間)
関東から北の太平洋側は日本で最も地震が多いエリアと言える.(50-70回/1年)
逆に起きにくい場所は西日本の日本海側や北海道の道北エリアは地震は少ない(1-2回/1年の場合もある)

ただ地震が少ないからといって地震が起きないわけではない.
2000年鳥取県西部地震
1997年山口県
2018年北海道胆振東部地震
1995年北海道留萌

地球で起きる地震の1割は日本付近で起きているレベル.
地震が起きにくいエリアでもマグニチュードが大きく震源が浅い地震には注意する.

逆に最近地震が(起きるはずが)起きていない地方もある.
十勝沖〜北海道東方沖はM8前後の地震が起きてきた
2008年・1994年・1973年・1952年
最近ここで地震が起きていないのは気になる(近々活発化する恐れも)
震源が浅い地震だと津波も発生するため合わせて注意が必要.

ここでM8クラスの地震が起きると,
釧路・根室:震度6クラス
揺れは東北から関東に伝わりやすく,揺れる時間が長くなる(2-3分)
被害は北海道東方沖が大きくなる.

地震の発生には波がある.(今年に入ってM6クラスの地震は2/13,3/20,5/1)
今は収まっているが,1-2ヶ月経つとまた繰り返す場合もある.


2021/06/01 教えて予報士さん 【テーマ:気象】

2021-06-01 22:04:19 | おしよほ

①カシマ市付近の雨雲レーダーが表示されないのはなぜ?

雨雲レーダーの電波は低い角度から高い角度まで変化させて発射させている.
電波の発射方向に高い建物があり,角度が低いと電波が引っかかってしまい雨雲として表示されない.

映らないエリアについては他のレーダーと組み合わせるなどして解析している.

②北海道の道東が氷点下を記録したのはなぜ?

放射冷却.
朝方晴れていて空気が乾燥し,風も弱かった.
冬のイメージがあるが,年中起きている.
雲があると地球からの赤外放射が吸収されて気温は下がりにくい.

③梅雨前線を刺激して・・・とはどう言う意味?

台風などの熱帯低気圧が梅雨前線の南側に位置するなどして,梅雨前線に暖かく湿った空気が送り込まれる状況をいう.
これにより梅雨前線の活動が活発化する.
2004年新潟・福島豪雨では,梅雨前線が強まって北陸に停滞した所に,熱帯低気圧から送り込まれた水蒸気が前線を刺激した.

温かい空気と冷たい空気の境目が前線であるが,ここに冷たい空気が入ってくると大気の状態が不安定になりやすく,短時間に局地的に激しく降ることが多い.
逆に水蒸気が送り込まれるパターンだと雨が長時間降り続くことが多い.


2021/05/30 教えて予報士さん 【テーマ:海象】

2021-05-30 22:04:06 | おしよほ

①海流が蛇行すると何が起こる?

黒潮大蛇行と呼ばれる現象が2017年8月から続いている.
黒潮が南に大きく蛇行すること.

1975年8月から4年8ヶ月続いたものがこれまでの最大であるが,現在の蛇行は4年ほど続いている.
九州の東にできる渦・台湾の北にできる渦が原因など諸説あるが,明確にはわかっていない.

黒潮の南側は温かく,北側は冷たい水となっているが,蛇行することで温かい水が離れていくほか,黒潮の分岐流が入ってくる場合がある.
これにより,魚の生息場所が変わってしまい,漁業への影響が及ぶ.
海水温が高いと海面は盛り上がるが,ここに黒潮の分岐流により温かい水が沿岸部に入っていると,台風が来た際の高潮のリスクが高まる.

黒潮の流れに沿って台風がやってくると発達しやすく,冷たい部分を通ると衰弱しやすくなる.
南岸低気圧が南側を通りやすくなり,関東で雪が降りやすい.
関東に南西の季節風が吹くことで,湿った体感になりやすい.
海流の向きが変わることで船の最適な航路が変わる.

海流と低気圧による波がぶつかることで波が高くなる.
黒潮の大蛇行により地衡流ができる(地衡風のようなもの)


2021/05/23 教えて予報士さん 【テーマ:海象】

2021-05-23 22:06:11 | おしよほ

①赤道から南極北極への風の動きで天候はどのように変わる?

北インド洋(アラビア海・ベンガル湾)には南西の風が吹く=南西モンスーン
→風は高気圧から低気圧の向きに吹くため,陸地の方が海洋より気圧が低いことを示す.
これは夏の季節は陸地の多い北半球の方が昼間が長くなり大気がより暖められるため,気圧が相対的に低くなる.

サイクロン(日本での台風と性質は同じ)の発生個数は,一桁程度と少ない(台風は年平均23個)
サイクロンがよく発生するのは5-6月,10-11月=季節の変わり目が多く,7-9月は少ない.
→インド洋周辺では夏は南西モンスーンが吹いたが,冬は逆に北東モンスーンが卓越する.
季節の変わり目(5-6月・10-11月)では上記2種の季節風がぶつかり収束することで雲が発達し,さらに条件が重なるとサイクロンが起きるため.
また,比較的秋口での個数が多いのは,夏場の時期に海水がより暖められているためである.

大陸=暖められやすく冷めやすい
海洋=暖められにくく冷めにくい

梅雨時期の南西モンスーンが日本付近にある梅雨前線に水蒸気を供給し,日本の梅雨の天気にも影響を与えることもある.

モンスーンが吹くと波が高くなり,特にソマリア付近のソマリジェットは平均風速15-18m/sの風が吹き続けることもあり,波が6mを超えることもある.
ここは交通の要衝であるため,波の高い箇所を避けて通ることが重要になってくる.