おしよほブログ

主におしよほまとめブログになります。

2021/04/30 教えて予報士さん 【テーマ:気象】

2021-04-30 22:05:18 | おしよほ

①線状降水帯の形成されやすい気象条件は?

複数の積乱雲が詰まって線上となるパターン
1つの積乱雲が次々とできて上空の流れに流されるパターン
→最近はこちらが多くバックビルディング(後ろ側で雲が立ち上がる)型と呼ばれる.
 上空の風の強さが強すぎず弱すぎず一定の風速である・空気が湿っているなどの条件が必要.

→2020年7月4日(令和2年7月豪雨・球磨川氾濫)の豪雨はバックビルディング型である.

湿った空気が陸地に乗り上げることで強制的に上昇気流が起きる場合も注意が必要
→2014年8月20日(広島県土石流災害)の豪雨は地形の効果によって発生した線状降水帯.

予測は難しく,暖湿流・水平・鉛直シア・暖気移流・雲頂高度など複数の条件が重なる必要がある.

 

②雲のない晴れの日に雨が降る「狐の嫁入り」はなぜ発生する.

そもそも雲のないところで雨は降らない.
主に以下の3パターンが存在する.

1.1800mの高さから6m/sの速さで雨粒が落ちてくるとする(5分で落下)
すると,5分のうちに雲が過ぎ去ると,雨が降っても空に雲はない事になる.

2.小さい雲から斜めに落ちてきた雨粒が当たった場合

3.フェーン現象等によって山の斜面を登ってきた雲が風によって流されて雨粒が当たる場合


2021/04/28 教えて予報士さん 【テーマ:地象】

2021-04-28 22:01:00 | おしよほ

⓪地震予知はできないの?

1970年代にはM7以上の自信は予知できると予算を注ぎ込んでいたが,一切予知できていない.

実質地震予知は政府も当てにしておらず,南海トラフの前兆の地震を見極めることに注力している程度である.
東海地震は唯一予知できる地震と言われていたが,今後2-3日に地震が起きるので注意してくださいと言う予知情報は数年前に無くなった.

インターネットでの地震予知情報は一切信じない.
時間・場所・規模の3つがそろって初めて予知と言えるが,無理.

関東地方で5月の間にM3以上の地震が起きます→あまり意味がない(何回起きてるんだという話)
じゃあM5以上にしたとしても,起きるかもしれないし起きないかもしれない,その程度である.
詳細な場所と時刻を想定すれば有益だがそんなものは不可能である.

これだけ情報が発達すると,そういう情報を発信する人は出てくるので,情報の受け取り手が賢くなる必要がある.
SNSをやっていなくても,正しい情報を見る手段はいくらでもある.
これまで何の予兆もない所に地震が起きることがあるので難しい.

 

①緊急地震速報が鳴らなくて大きい地震はあるの?

報道利用者向けと一般向けの2つがある.

報道利用者向け・・・M3.5以上,100gal以上の揺れが想定された場合に出される(速報性重視・1個目の地震計データを基)
一般向け・・・最大震度5弱以上で震度4以上と予想される場合に出される(速報性・確実性・2個の地震計データを基)

大きい地震が起きる時は地震計が壊れているなどのことがない限りほぼ100%届く.

緊急地震速報では秒単位でマグニチュードの再計算を行うので誤差が出る.
→1ランクほどのズレがある(5-なら4から5+まで)

1987年千葉県東方沖地震以降,関東を中心とする大きい地震は起きていない.
3つのプレートが重なる上に数千万人が住んでいる国は世界でここだけである.

揺れたら頭を守る.落ちやすいものの近くでは寝ない,など普段からの心構えが重要.


2021/04/25 教えて予報士さん 【テーマ:海象】

2021-04-25 22:00:50 | おしよほ

①うずしおはなぜできるのか?

月と地球の間には引力と遠心力が生じ,それらがバランスしている.
遠心力は外側の方が大きく内側が小さい
引力は外側の方が小さく内側が大きい
そのため,地球が両側に引っ張られる力が働き海面が楕円形に伸びる.地球は1日で1回転するので,6時間毎に海面の上げ下げが繰り返される.これが満潮と干潮である.

満潮になる時,海水は友ヶ島水道より入って大阪湾,明石海峡大橋を通って播磨灘に到達して鳴門海峡に達する.これにかかる時間がおよそ6時間かかる.その時には海面が下がってくるので,海面の高い部分から低い部分への流れができる(=南流)

ここで海峡の断面を見ると,中心の方が水深が深く,水深が深いほど摩擦が少ないので中心の方が流れが早くなり,端部の方が摩擦で流れが遅くなる.この流れの差によって円形のうずしおができる.

うずしおは地形の影響が大きく,徳島の鳴門海峡はうずしおができやすい地形である.
潮流は水道のような幅が狭いところでできやすい.

 

②波のしけと天気の関係とは?

しけ・・・4mをこえ6mまで
大しけ・・・6をこえ9まで
猛烈なしけ・・・9をこえる

波が立つのは風の影響が大きい.
ただ,台風による高波が遠くから伝わってくる(=うねり)ことで,台風が近くなくても波が大きくなることがあるので注意が必要.

天気から波が生じる.波から天気への影響があることはほとんどない.


2021/04/24 教えて予報士さん【テーマ:気象】

2021-04-24 22:06:53 | おしよほ

①ウェザーニュースで降水確率を使わないのはなぜ?

降水確率とは,6時間の中で1mm以上の雨が降るか降らないか(1mm以上の雨を降水という)を表す指標である.
また,降水確率はある時間帯・ある地域(ピンポイントではない)に対して出している.

降水確率は元々存在しなかったが1980年に降水確率が導入されたが,出された当時は自信がないから出すんだろなどと言われた.
1995年に予報の(一部)自由化が行われ,気象予報士試験もここから始まった.
これにより,民間の気象会社が天気予報をできるようになり,ウェザーニュースはピンポイントの時間によって雨が降る降らないを決める方がよく,降水確率は要らないと判断した.

コンピュータが数値予報を解いて導き出した数値表現をガイダンスと呼ばれるものを用いて変換をして,皆様にわかりやすい表現(発雷確率など)に変えている.
また,1mmの雨は結構な雨であり,ウェザーニュースの体感でいうポツポツ・パラパラレベルの雨は1mm未満の雨であり降水確率で判断すると雨は降ってない事になるが,雨の体感としては必要である人がいると思われるため降水確率は用いていない.

最近大雨についての関心が高まっているので,今後は50mmや100mmなどの大雨の確率について出せるようにしたいと考えている.

 

②湿度が0%となる事はあるのでしょうか?

一般的にいう湿度とは相対湿度のことであるが,空気の中に含まれる水分量を表す表現はたくさんある(絶対湿度・水蒸気圧etc)
空気は窒素78%・酸素21%・アルゴン・水蒸気等が混ざっている混合気体であり,その中に水蒸気を含めなければ0%の空気は作れる.

実際に2000年以降の最小相対湿度を見ると0%になった事はない.
ただ,過去20年間で相対湿度が微増している.これは空気が集まって雨雲を作ると雨の量が多くなることを表していると思われる.

相対湿度は気温によって変わる.
水蒸気を含んだ空気は乾燥した空気より軽い.


2021/04/23 教えて予報士さん 【テーマ:台風】

2021-04-23 22:03:27 | おしよほ

①高気圧の縁を通り,と言うのはどういう原理?

台風は自分の力では進んでいけず,高気圧から吹き出す時計回りの風に従って台風は進んでいく.
そのため高気圧に挟まれたりすると動きが止まったりする.

秋になるとジェット気流が南下してくるため,台風の進行スピードが速くなる.

 

②台風の中心気圧はどのように測定しているのか?

以前は実際に計測していた
(JTWC)Joint Warning Typhoon Centerという組織があるが,ここでいうJointとはアメリカ海軍と空軍のジョイントのことで,飛行機が台風の中に突っ込んで中心付近で観測器を落下させ,気圧を測定していた.

現在では,気象衛星から見た台風の雲の形を全てパターン化して,過去の統計値から気圧を判定している(ドボラック法)
陸地に近づいてくると,観測器もあるので測定もできる.

 

③熱帯低気圧と温帯低気圧の違いは何ですか?

熱帯低気圧は熱エネルギーだけで発達し,温帯低気圧は暖かい空気と冷たい空気の温度差で発達する.
熱エネルギーが徐々に回転エネルギーに変換されていく.

台風と熱帯低気圧の違いは風速のみであり,勢力が弱まったということだが,
台風に冷たい空気が入ってくると温帯低気圧に性質が変化してくる.

台風(熱帯低気圧)に前線はできない.
爆弾低気圧は温度差が激しい場合に発達するため,温帯低気圧である.

昔は弱い熱帯低気圧という表現を使っていたが,これに伴う大雨災害が発生したため使用をやめた.