ヒトリシバイナイト一日目作品

婚活パーティ（その壱）

作 まゆみん

もしもし。あ、おばあちゃん。うん。ちょっとなら大丈夫。え？お見合い？今どきね、お見合いなんて流行らないわよ・・・え？もう申し込んだあ？あ、パーティ？ふんふん、なるほど。パーティね。パーティならま、いっかな。うん。今度の土曜日？で、場所はどこ？ダイヤモンドホテルね。わかった。はい。ありがとうございます。

孫を心配して、お見合いパーティの申し込みをしてくれるなんて、もう、おばあちゃんったら。私のことなんかより自分の心配すればいいのに。私を捨てて、姿を消した母の変わりに、私を育ててくれたおばあちゃん。おばあちゃんのほうこそまだまだ人生長生きして幸せになってほしいわ。


ちょっともったいなかったかな？気合入りすぎちゃったかしら？エステに８万5千円も使っちゃった。間違いなくAKBだと思われているわね。AKB.そうよ、AKB!明日確実にブライダル！は～相手すらいないんだけどね。そう、今日までは。

でも、明日はわからない！８万5千円もお金かけてエステにも行ったし、もしかしたら、明日の私は、MMK！かもしれないわ！MMK！モテテ　モテテ　困っちゃう！

あは～ん。


（土曜日パーティ当日）



うふふ。ダイアモンドホテルって、伝統ある由緒正しいホテルでなんかしょっちゅうお医者さんが学会とかで集まってたりして、敷居が高いってイメージだったけど、今日のパーティに来る男性たちもハイクラスな人たちばかりなのかしら。私みたいなのが紛れ込んで大丈夫なのかしら。

あ、着いたわ。（クンクン）なんか、お線香臭いわね。なんていうか、老人の香りって言うか・・・え、白髪の男性。ずいぶんと年配の方が来ているのね。

まあ、最近流行の年の差婚って。あら、あの杖をついた上品な紳士も・・・え、

お、ばあちゃん？がなんで、ここに？ってか

ええと？おばあちゃんから電話がきて、



もしもし、春ちゃんかい？おばあちゃんね、お見合いパーティーっての申しこんだよ。そう。ぱーてぇ。今度の土曜日にダイアモンドホテルでね。今から、ワクワク、ドキドキしてるよ。楽しみだねえ。


って私のために申し込んだなんて一言もいってないってば、あ～、ばかだ。老人しかいないじゃん。エステに８万５千円もお金使って、私、MMK！まじでもったいないっ金返して～。あ～ん。

婚活パーティ（その壱）
所要時間約 5分