「若だんなはある日、一つ木札と出会った」――
原作『ひなこまち』の序。
この本を舞台化するとき、この「序」章は全文そのまま変えずにいきたいと思いました。
若だんな自身にこの序文を「若だんなは……」と言わせるモノローグに仕立てたいと。
そう、若だんな本人が自身のつぶやきとして、この序文を若だんなの台詞にする――私のたくらみは早瀬あおいという役者によって、見事に達成されたのでありました。
もしかしたら、このプロローグ部分だけ、若だんなが自分のことを「若だんなは……」と言っていることに、どなたも気づいていなかったかもしれませんね。
当初悩みまくったこのモノローグを、早瀬あおいは完全に自分のものにしていました。本を手がけた者として、そして演出冥利に尽きるいいシーンとなりました。
原作『ひなこまち』の序。
この本を舞台化するとき、この「序」章は全文そのまま変えずにいきたいと思いました。
若だんな自身にこの序文を「若だんなは……」と言わせるモノローグに仕立てたいと。
そう、若だんな本人が自身のつぶやきとして、この序文を若だんなの台詞にする――私のたくらみは早瀬あおいという役者によって、見事に達成されたのでありました。
もしかしたら、このプロローグ部分だけ、若だんなが自分のことを「若だんなは……」と言っていることに、どなたも気づいていなかったかもしれませんね。
当初悩みまくったこのモノローグを、早瀬あおいは完全に自分のものにしていました。本を手がけた者として、そして演出冥利に尽きるいいシーンとなりました。
そして、シーン1。
語り手として場久(ばきゅう)が登場。若だんなが置かれている今の状況を示していくのですが……実は原作ではこんなところに場久は登場しません(笑)
このしゃばけシリーズで周知のこととなっている事柄について、初めて接するお客さまに対してきちんと説明しておかねば、これから展開するものがたりをなかなか理解することはできないでしょう。
ですからどうしても必要なシーンなのでした。
当初、私はここの場久を語り手として、後に展開するものがたりで登場してくる場久とは少し違ったものとして演じていました。
しかし観る側からしてみると、それはちょっとわかりにくいかもしれないと思い、もう長崎屋の若だんなの離れに場久が場久として出てくるといった形で演じよう、と方向転換しました。
それは稽古も中盤過ぎてからのことです。
次のシーン2で、雪柳(ゆきやなぎ)と名乗る武家の奥方が登場。
守祥子、満を持して、妙齢の奥方になりきりました。
初日の夜観にきた守祥子の実の母親がですよ、「あんた最後まで出てこなかったわねえ…」と言ったとか言わなかったとか。
――この先のものがたりはまた後日!