つれづれまりん

いたずら白猫マリンの気ままな日常 を経て、
超いたずら 甘えん坊 ほぼ白猫 ハンニャの気ままな日常 へ

心的外傷(トラウマ)

2019年10月24日 | 学習ノート3
前記事の続きです。(Prat2)

「学校臨床における愛着と心的外傷の問題」 より
  新村信幸 氏
  (中学校・高等学校 教育相談室  臨床心理士)
  2015年9月の講演


心的外傷(トラウマ)
〇ピエール・ジャネ
 トラウマ(傷)という語を、
 心理的な外傷という意味で使用した。
・意識によって統合され語ることのできる「物語記憶」に対し、
 意識から切り離されて繰り返し再現される「トラウマ性記憶」に注目して
 「解離」を理論化した。
・抑圧を軸にした精神分析の隆盛で忘れられるが、
 1980年代に、PTSDと解離への注目に伴い、再評価される。

〇シャーンドル・フェレンティ
・性的虐待などの重度の症例を研究し、
 トラウマによる解離を記述してトラウマを理論化し、
 治療技法を模索した。


PTSD(心的外傷後ストレス障害)
・災害・戦闘・犯罪など
 強い恐怖感をもつ衝撃的な出来事によって
 心の傷を負った後に、
 様々な精神的・身体的な症状を起こすもの。
・PTSDは回復期の障害


トラウマによる4症状(DSM-5)
①過覚醒・・過度の緊張や警戒
②再体験(侵入:フラッシュバック・飽海・夜驚)
③回避
④否定的認知・気分


DSM-5による分類
「心的外傷およびストレス因関連障害群」
(DSM-5で新設された大項目)
・反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)
・脱抑制型対人交流障害
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
・急性ストレス障害(ASD)
・適応障害
・ほかの特定される心的外傷及びストレス因関連障害

DSM-IVからの変化
・アタッチメント関連の障害と心的外傷をまとめて分類
・PTSDの診断基準に6歳以下の子どもを設定
・反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害の診断基準に、
 極度に不十分な養育(愛着トラウマ)が定義され加えられた。
(養育者に対して子どもの数の割合が高い施設養護も追加)



この後、治療の方法として、以下の3つが紹介されました。
・EMDR(眼球運動による脱監査と再処理)
・RDI(資源開発と植え付け)
・交互色彩分割法(RDCM)



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『愛着の問題もトラウマになるんだね』

・・眉間にしわを寄せて考えてる(?)マリン。

こちらも少々前の撮影画像です。
(2017年12月中旬 午前)
(2Fリビング窓際にて)  








愛着について

2019年10月23日 | 学習ノート3
次のお話です。

「学校臨床における愛着と心的外傷の問題」 より
  新村信幸 氏
  (中学校・高等学校 教育相談室  臨床心理士)
  2015年9月の講演


最近の学校臨床の印象のお話の後、
「愛着」についてのお話がありました。


〇ジョン・ボウルビイ
 愛着理論
①愛着(アタッチメント)とは
 乳幼児が養育者に対して示す持続的で情緒的な絆
*愛着行動システム:
  不安を喚起する危機的状況において
  特定の対象へ近接して安全を確立するシステム。 
・愛着のパターンはおよそ3歳ぐらいまでに形成される。

②内的作業モデル
 乳幼児期に獲得した愛着のあり方が対人関係の基礎となる。
 (自己や他者、世界に対する基本的感覚の基礎)


〇メアリー・エインスワース
①安全基地
 養育者(母親)を安全な補給基地として探索を行う。
 安全基地が内在化すれば1人でいられるようになる。

②ストレンジ・シチュエーション法(SSP)
 乳児を不安にさせる養育者との分離・再会パターンを測定

Aタイプ(回避型)
・分離時に抵抗・混乱しない。
・再会時に接触を求めない。
・安全基地として養育者(母親)を求めない。
→心地よさや世話を求めることをあきらめてしまっている。
*Aタイプの養育者
 情緒表現の抑制
 身体接触の嫌悪
 子どもを統制する

Bタイプ(安定型)
・分離時に多少の抵抗・混乱を示すが、
 再会時に積極的身体接触を求め、
 すぐに安穏化する。
・養育者(母親)を安全基地として探索行動を行う。
*Bタイプの養育者
 情報交流や身体接触を肯定的に楽しむ。
 子どもに協力する。

Cタイプ(抵抗ー両価型)
・分離時に非常に強い抵抗・混乱を示す。
・再会時には身体的接触を求めると同時に強い怒りを示す。
・養育者を安全基地としての探索行動ができない。
→怒りっぽい乳児:再会時のしがみつきと癇癪
→受動的な乳児:再会時にも呆然としている
*Cタイプの養育者
 子どものシグナルに鈍感
 自分の気分や都合での養育

Dタイプ(無秩序―無方向型)
・反応がバラバラで愛着が組織化されていない。
・虐待や不適切な養育が疑われる。
・通常集団の15%、被虐待児の80%


〇まとめ
・愛着は乳幼児期の早期関係において形成される。
・愛着は個人の
 自己イメージ(自己肯定感や自己否定感)や
 対人イメージ、対世界イメージの基礎を作る。
→自分や他人、自分の生きている世界を
 肯定的にみるか否定的に見るかの基本的イメージを構成
・愛着形成には、乳幼児と養育者の
 コミュニケーションの質(ex.適切な情動調節など)
 が重要なポイント
・よい愛着形成←養育者が心理的に安定していること

・形成された愛着のあり方は
 乳児が成人し養育者になるとき、
 自分の子どもを養育するあり方に深くかかわる。
→親の愛着パターンが子どもの愛着の形へ影響する。




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『小さいころは特に、しっかり愛され、守られないとね』

そうだね。

少し前のマリン画像です。
ブラインドの隙間から物憂げにこちらを見るマリン。

(2016年 2月下旬 朝 撮影)








必要な支援

2019年10月19日 | 学習ノート3
前記事の続きです。(Part 4)

「虐待を受けた子どもの愛着をめぐって」 より
  増沢高 氏
  (子どもの虹情報研修センター 研修部長)
  2015年6月の講演


必要な支援


〇第1段階
 育ち直しの過程をさせる
①安心でき、生活しやすい環境の設定
・その子にとって不安や恐怖につながる刺激や場面の排除、
 その子にとって到底無理な活動の見送りの検討
・その子に適した予測可能な日課や課題の検討
②子どもとの関係の構築、良質な関係性の展開
・子どもの感覚に共感し、言葉を添え、世界を共有する
・肯定的メッセージを与える
・関係性へのアプローチ:PCIT
(Parent Child Interaction Therapy 親子相互交流療法)
③危機的状況に対する迅速な対応
・生命、身体的危険、人権侵害や迫害(いじめ)等の
 危機的状況から守る
・情緒的混乱等、心理的危機状態等への手立て
④生物学的課題への手立て
・医学的アプローチ、
 リハビリ 等
⑤心的課題への手立て
・損なわれた心的発達課題の再獲得
・心的外傷の後遺症の回復
・不適切な認知・行動パターンの修正 
 他
⑥人生の連続性の補償
・離婚、転居等による損失への手立て
・子どもの歴史を大切にする
 肯定的な思い出と
 心的トラウマ体験の扱い方
・人、居場所、ものなどの重要な対象をつなぐ

〇第2段階
 振り返りの過程を支える
①体験のまとまりと前思春期の認知発達の伴う
 自分自身や過去への振り返り
・振り返りによる戸惑い、混乱
・自己否定感、価値のない存在
 未来への展望の持てなさ、自暴自棄
②自己評価の回復と実存感の獲得
・未来に楽しみを抱けるような活動やかかわりの工夫
・現実を踏まえたうえで、
 よき家族への思い出、よいイメージのかけらを
 大切にし、紡ぐこと
・自分や家族への許し
 過去へのこだわりから未来志向へと
 心のベクトルが向かうように。 
(ex.自分にもこんなことができるんだ)
・援助者が希望を捨てないこと。
③歴史を紡ぎ、現実を受け入れる過程を支える
・自分と家族、過去と現実への振り返りを支える。
・被害者や恨みに焦点を当てすぎない
 過去と現実を収められるように
④外的体験に対する治療
(実施可能か否かの判断が重要)
・外傷的体験に根差した恐怖や不安等を克服する治療
・外傷的体験に伴う認知の修正を図る
☆治療が行えない場合も多い

〇第3段階
 将来に向け、生きる力を強化する
①自立に向けた体験の積み重ねとスキルの獲得
・様々な活動に挑戦し自信を深めること
・自立に向けた知識、社会的スキル、職業技能等の獲得、
②親になることを見据えた対応
・妊娠出産に関する情報の提供
・乳幼児のかかわり方についての体験や情報の提供
③地域での居場所の確保
・家族再統合の前に必要な、地域再統合
・思春期、青年期の子供たちの居場所づくり
・フォローできる体制の構築



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『慎重に慎重に支援していくんだね』

家庭や家族を支える地域や関係機関が
とても大事になってきますね。

(2019年 8月上旬) 







虐待を受けた子どもの苦しみ

2019年10月17日 | 学習ノート3
 今回は、末尾のマリン画像、3枚です。
 よかったら見ていってくださいね~ (=^・^=) 



さて、前記事のつづきです。(Part3)

「子どもの傷つきとその後の成長」 より
  増沢高 氏
  (子どもの虹情報研修センター 研修部長)
  2015年6月の講演


〇虐待を受けた子どもの苦しみ
・人や世界に対する不信、恐怖、怯え
・自分の衝動、怒り、情緒的混乱をどうすることもできない
・基本的生活スキルの欠落、
 不適切な認知・行動パターン
・解離の多様、つながれなさ
・その結果の、失敗、叱責、非難、いじめ、排除
・そして、思春期を乗り越えることの困難さ
 生涯にわたる生きづらさ
 自尊心の低下
 世代間連鎖


*世代間連鎖(伝達)
 虐待を受けた子どもが大人になって
 自分の子どもに虐待をしてしまう。
 その率30~40%

〇連鎖を断つ要素
①子どもに力がある
②子どもと家族に心のきずながある
③家族以外の信頼のできる人に出会い支えられること
 子どもから信頼され、手助けする大人がそこに居ること



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『「虐待」で傷つけられている子は、
 闘うことも、逃げることもできず、』

『恐怖と混乱の中で、ますます傷つけられていくんだ』


『うまく生活できずに、』

『新たな場所でもまた叱られて、、』


『誰も信じられなくなるんだ』

なんとかして、助け出さなきゃね。

(2019年 6月中旬 朝 )
(出窓からベッドに下りようとするマリン)
            






子どもの課題

2019年10月15日 | 学習ノート3
前記事の続きです。(Part 2)

「虐待を受けた子どもの愛着をめぐって」 より
  増沢高 氏
  (子どもの虹情報研修センター 研修部長)
  2015年6月の講演


子どもの抱えた課題

1 生物学的影響
①身体的外傷の後遺症
 火傷跡、揺さぶり症候群 等
②身体的発育等の問題
 成長障害、皮膚の荒れ、
 姿勢の悪さ、不器用さ
③神経生理学的問題
 ・虐待脳

2 初期の心的発達の阻害
①守りとしての、頼りとなる、
 応答し合う対象としての、
 安定した養育者が居ない、
 ・安心感、信頼感の欠如
 ・アタッチメントの問題
②セルフコントロールの拙さ
 ・しつけと自律性の獲得の阻害
 ・衝動の制御困難と感情の調整困難
③解離の多用による心的発達の阻害
・自分も世の中も怖い
 →麻痺するしかない。
  体験の萎縮
・ばらばらでその場限りの行動
 →同一性の欠如

3 過酷な環境のを生き抜く中で学習したもの
①生き抜くための嘘、盗み、徘徊等
 不安や恐怖への対処
②暴力への親和性
③性的刺激への親和性
 いいも悪いも分からずに、
 性的遊びに巻き込まれる

4外傷体験と喪失体験の後遺症
①外傷後反応、症状
・外傷体験
  生死にかかわる暴力や放置、性的虐待
・症状:フラッシュバック、悪夢
・重大な外傷体験があっても周知されにくい
・外傷体験に対する歪んだとらえ
②繰り返される対象の喪失、居場所の喪失
・複雑な家族構造と養育者の変更、転居、転校
 →援助者はいずれ居なくなるという不安と確信
・歴史を共有できる人間が周囲に居ない、
 過去の喪失、人生のイメージのできなさ


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『生まれもった特性と、環境の中で、』

『子どもたちは、模索していくんだ』

(2019 8月中旬 夜 撮影)
(人間のベッドの上で、両手伸ばしマリン)




ラグビー日本代表の快進撃はすごいですね。
見ていて、負ける感じがしません。
自国開催を前に、
すごい練習とミーティングを重ね、
信頼関係をつくり上げ、
本当に「強く」なってきたのでしょうね。
予選リーグを戦う過程でも力をつけてきたような・・
「優勝」も、夢じゃないかも ♪