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「葬式の米」下級郷士を唐芋郷士または韮郷士と呼んでいました。


鹿児島藩は農民一揆の無かった藩と言われ、加世田一揆と犬田布(いんたぶ)騒動だけが知られています。農民などに対する徴税はほとんど全余剰に達し、唐芋(からいも=さつまいも)で露命をつないでいました。お米を「葬式の米」と称していたのは葬式の時だけ死者に対してお供えしていたからです。このような極限において農民の抵抗が起こらないわけがなかったのですが、鹿児島藩には外城制度が敷かれ膨大な数の郷士が農村地域に土着し、庄屋などの村役に任命され庶民の生活を監視していたので鹿児島藩に目立った積極的農民抵抗が無かった所以です。さらに注目点として大部分の郷士が農民の類に入るということで、郷士の多くは農村の開墾地で農耕に従事するか、鍛冶や大工などの工人になって生計を細々と立てていました。しかも郷士には農民のように本田畑の配当が無かったので、生活の窮迫は農民以上で唐芋や山菜さえ常食としていればやっと最低の生活ができました。城下士や上級郷士たちは一般の下級郷士たちを軽蔑して唐芋郷士または韮郷士と呼んでいました。

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