認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連氏はこう話す。
「生活保護利用者は、新型コロナウイルスではあまり増えていません。増えているのは、緊急小口資金と総合支援資金です。延べで140万人以上の人がこれらの制度を利用してお金を借りています。規模はすでに5,000億円規模です。東日本大震災があった2011年度の利用者は延べで10万人でした。このことだけでも、今回がいかに異常事態なのかがわかると思います。お金を借りる人が増えているのは、“生活保護が嫌だ”という人が多いためで、社会的な偏見や家族に連絡が行くことへの拒否感などがその理由でしょう」
大西氏は、現状の支援制度には課題があると話す。
「現在は、お金を借りるか生活保護を受けるかの選択肢しか用意されていません。たとえば、仕事を探している人のための給付金の支給や、職業訓練をしながら家賃の補助と給付金の支給など、柔軟な支援策があっていいはずです。制度として実際にまったくないわけではないのですが、選ばれません。それは、自治体から“早く働きなさい”と言われてしまうからです。『働かざる者、食うべからず』のような社会環境は、本来なら利用できる制度を利用できなくさせています。短期的には国は歳出を削減できるかもしれません。しかし、中長期的に見れば条件の悪い仕事でも働かなければと追い立てることで、収入増の機会を奪ってしまい、低所得な人を生み出し続けてしまう要因になるでしょう。もちろん、税収も減少します」
さらに同氏はこう続ける。
「失業期間というのは、見方を変えれば、技術や教育を受けたり自分のキャリアを変えたりするためのチャンスの期間でもあるわけです。今回、たくさん生まれた失業者が新たに技術を習得し、より高所得が望める職に就ければ、国としても税収が上がります。しかし、現実はそういった方向に向かっていません。税金を使って国から支援を受けることが良くないことだという風潮は、結果的に、日本社会の発展を妨げてしまうでしょう」
「生活保護利用者は、新型コロナウイルスではあまり増えていません。増えているのは、緊急小口資金と総合支援資金です。延べで140万人以上の人がこれらの制度を利用してお金を借りています。規模はすでに5,000億円規模です。東日本大震災があった2011年度の利用者は延べで10万人でした。このことだけでも、今回がいかに異常事態なのかがわかると思います。お金を借りる人が増えているのは、“生活保護が嫌だ”という人が多いためで、社会的な偏見や家族に連絡が行くことへの拒否感などがその理由でしょう」
大西氏は、現状の支援制度には課題があると話す。
「現在は、お金を借りるか生活保護を受けるかの選択肢しか用意されていません。たとえば、仕事を探している人のための給付金の支給や、職業訓練をしながら家賃の補助と給付金の支給など、柔軟な支援策があっていいはずです。制度として実際にまったくないわけではないのですが、選ばれません。それは、自治体から“早く働きなさい”と言われてしまうからです。『働かざる者、食うべからず』のような社会環境は、本来なら利用できる制度を利用できなくさせています。短期的には国は歳出を削減できるかもしれません。しかし、中長期的に見れば条件の悪い仕事でも働かなければと追い立てることで、収入増の機会を奪ってしまい、低所得な人を生み出し続けてしまう要因になるでしょう。もちろん、税収も減少します」
さらに同氏はこう続ける。
「失業期間というのは、見方を変えれば、技術や教育を受けたり自分のキャリアを変えたりするためのチャンスの期間でもあるわけです。今回、たくさん生まれた失業者が新たに技術を習得し、より高所得が望める職に就ければ、国としても税収が上がります。しかし、現実はそういった方向に向かっていません。税金を使って国から支援を受けることが良くないことだという風潮は、結果的に、日本社会の発展を妨げてしまうでしょう」