国連からの批判
2013年、国連拷問禁止委員会は、弁護人の立会いなく得られた自白が有罪判決を得るために使用されていることに懸念を表明した。また、同委員会は、新たに改定された国連の被拘禁者処遇最低基準規則(ネルソン・マンデラ・ルールズ)に沿って、刑事施設の環境を改善するよう勧告した。
2020年11月、国連の恣意的拘禁作業部会は、カルロス・ゴーン被告(資金不正流用や詐欺などの容疑で逮捕された外国人経営者)の主張を受けて、ゴーン被告の逮捕・勾留のプロセスは、自由の回復や、弁護人との自由な連絡など公正な裁判を受ける権利の享受を妨げ、根本的に不公平であるとの見解を示した。この意見書は「独房拘禁、運動不足、照明の常時点灯、暖房のない環境、家族や弁護人との接触が制限されたこと」により、ゴーン被告の防御権が侵害されたとしている。
これに対し、日本政府はこの意見を「到底受け入れられない」とし、次のように述べている。
我が国の刑事司法制度は、個人の基本的人権を保障しつつ、事案の真相を明らかにするために、適正な手続を定めて適正に運用されている。また、刑事施設における処遇も、未決拘禁者の人権を尊重して運用されている。
2014年、国連の規約人権委員会は、日本政府に対し、起訴前期間について保釈などの勾留の代替手段を提供することや、取調べ時に弁護士が立会う権利を提供するよう勧告した。
また、自由権規約委員会は代用監獄の廃止を求めた。しかし、 政府の回答は、委員会が指摘した根本的な問題に対処するものではなかった。
警察留置施設での被疑者の勾留は、家族が被疑者に面会したり、弁護人が被疑者に定期的に面会したりする上できわめて便利なものであった。警察署内の留置施設の使用を禁止することは現実的ではなかった。被拘禁者は刑事施設視察委員会に申し立てることができた。拘禁された被疑者は、みずからの防御のために弁護人を選任できることをつねに直ちに告知されていた。弁護人を雇う金銭的な余裕がない場合は、裁判所が弁護人を選任することになっていた。