量子コンピューターという思想(4)万物は情報である─ドイチの量子コンピューター
4-2-1(前編)虚数コンピューターとモンスタームーンシャイン
テトレーションで見るモンスター世界
前回で虚数が”最初”の数として”現れたと”いう、Kamu Number Theoryの考え方を紹介しました。このことにより、ウイグナーが仕掛けた謎はおおかた解決しました。補足的にゲーデルの不完全性定理で数学モデルの健全性を示すことが出来ました。
◇虚数の母体である〈ゼロ〉という存在
では、〈ゼロ〉は数じゃないのか?、と思われることでしょう。これには少し説明が必要になります。
虚数の母体である〈ゼロ〉を数として定義することを、しばらくはお預けさせて頂く理由を簡単に示しておきたいと思います。
そもそも、〈ゼロ〉が虚数の母体であるということは、全ての整数の母胎ということでもあります。特に正反虚数と代数的整数の全てを含むという面も重要なことです。
〈ゼロ〉を数として発見したのは古代インドの数学者である事は数学史に記されています。インドで発見された数〈ゼロ〉がアラビアに渡って、現代につながる代数学を作り上げたことも明らかにされています。
直観型数学者ラマヌジャンを生んインドの数学者が〈ゼロ〉を発見したというのは、単なる偶然ではないと私は考えて居ます。楢崎皐月は〈ゼロ〉を発見した数学者はKamuを直感的に感受した人物であろうと述べています。つまり〈ゼロ〉は特別な数なのです。
〈ゼロ〉は正反虚数を生み出すことによって「一元体論=Field with one Element theory」を形成することになります。しかし、一元体という名前なのに、なぜ正反2つの元があるのか、2元体論じゃないか?という疑問が生まれることと思います。
それは〈ゼロ〉という(まだ数ではない)一元体から、虚数の正反2つが生成されるからなのです。すべてはこの正反虚数から物性遷移が始まります。ということは、いきなり〈ゼロ〉から物性遷移は始まりません、数(数学)と物性は結びついていると繰り返し述べてきましたから、この意味で〈ゼロ〉は数の仲間に今のところ入りません。
ピタゴラスが自然数の仲間に〈ゼロ〉を入れなかったのは、この意味では間違いではなかったのです。しかし数の母胎としての〈ゼロ〉を認識していたかというと、そうではありませんでした。ピタゴラスやプラトンにおいては数が実在で物性は影の存在だったのです。
すでに、帰納法のところで記しましたが。帰納法と同様に、〈ゼロ〉を便利な道具として使うことには特別の制約はありません。算術数、そして演算数として使うことになんの制限もありません。
しかし、〈ゼロ〉は特別な数である事を理解した上で扱うことが適切であると私は考えて居ます。それは正反2つの虚数を生み出す母体であると言うだけでもその重要さは理解されることなのです。
D ドイチも述べていますが、物性(物理法則)と数は強く結びついています。この結びつきを理解するには〈ゼロ〉を深く知る必要があるとも言えます。
◇現象の前駆状態(潜象)としての ”ゼロ” と始元量
虚数を最初の数とする理由を受け入れるには、Kamu Number Theoryで行っている ” 現象という概念を拡張する過程” を理解する必要があります。
現象の「前駆状態」というのがそれなのです。これは現象が存在するためには背後に壮大で見えない物性が「現象の前駆状態」として存在するという考え方です。
ペンローズのところで記した「始元量」の考え方を思い出して頂きたいのです。ツイスターと彼が名付けた虚数世界の回転体というアイデアを推進しているペンローズですが、彼は時空そのものの前駆状態を虚数回転体というスピン構造の中に求めたもののようです。これは「虚数世界の多重回転 → ツイスター → 時空互換重合多重回転量子」でした。
実はこのツイスターというアイデアはゲージ理論に相似象なのです。回転角度というものを物差しとして使おういう点で共通の立場にあると私は考えて居ます。ペンローズは相対性理論の専門家なのでゲージ理論ではイメージを持てなかったのかも知れません。
つまり、もともと時空というものは「前駆状態」では時間と空間は不分離のものであって、時間量と空間量へ分離するのは ” 前駆光 → 光量子 → 電気・磁気・力 ”などの物性 が発生したときからだという考え方です。これは、マクロの相対性理論ですでに重力(引力)として実現されている考え方です。ところが、これをミクロの世界でも同じように考えようとするのです。ペンローズは相対性理論の専門家ですから自然な成り行きとしてツイスターに至ったといえます。
時空互換性という物性および、時空重合という2つの物性状態が、これから発生するであろう現象の前駆状態がどのようなものであるかを示しているのです。
虚数の実体である ” Small Hi ” はまさにこの前駆状態から現象発生へ遷移する物性を支配している主体なのです。そして現象が生成されてもなおその支配力は続くのです。これを複素数と私たちは名付け、それは自然数の世界とは異質な数の世界なのです。この虚数(潜象)世界は現象界の「前駆原型 → Ur-Form → 複素数」を形成すると考えます。(Ur-Formはゲーテの原型を意味する言葉を借用しています)
この複素数の世界から自然数を見るといかに不可思議な世界が展開されているかが解ります。プラトンの影の世界がこれです。恐らくプラトンは直感的に感じ取った前駆的な虚数を影の世界と誤認したのかも知れません。
ペンローズの凄いところは、生命の起源を重力と始元の「虚数回転世界 → ツイスター」に求めたのでした。ここから、虚数と生命発生とは裏腹の関係にあることが次第に見えてくることでしょう。この結びつきこそ物理学の脱皮を要求しているペンローズが求めたものです。
始元量の問題では「ホーキングの始元定理」を紹介しました。そこで決定的なのがペンローズの「特異点定理」でした。〈ゼロ〉は” 潜象 ”における特異点である虚数を生み出す母胎と言うことになります。つまり、後ほど詳しく説明しますが、虚数は「始元量の壮大な重合体 → モンスター特異点」という物性を表現した「数」だったのです。
ペンローズのツイスターにはKamu Number Theoryと共通した考え方が見出されたのでした。そして、この前駆物性という発想は、ダークマター、ブラックホールなどの現代物理学と近い考え方です。ただし、前駆物性は数学モデルによって導かれ得るものではありません、現象の相似性の中から相似象を感受し直観によって生まれたものです。ラマヌジャンがそうだったように、そこには数学モデル以前の直観世界が「前駆物性=潜象」という物理世界として見えてくるのだと言えます。
(その3)- 1,万物は回転する・ペンローズと宇宙大航海時代の羅針盤
(その3)- 2 万物のエントロピー増大、故に万物には始元が存在する
虚数が最初の数であるという理由は、以上のように前駆物性と現象との境界領域で発生しているからなのです。数というものはあくまでも物性と結びついたものであり、現象と関わるものについて数は現れると考えるからです。現象と最初に関わった数が虚数なのですから、虚数を最初の数と考えることになったのです。
虚数の母体である〈ゼロ〉の理解には、虚数生成過程の壮大な8段階の物性遷移を解明してからのことになります、それまではしばらく虚数に焦点を合わせて見てゆきたいと思います。
◇虚数とミクロ・モンスター
モンスターって?、、それは想像を超越した巨大な存在を数学モデル化したもののことです。モデルとしては幾何学的な構造を抽象化した有限群に現れ、数学的には単純な構造だが内部の複雑さはまさにモンスターというものです。
どのくらい大きいかですが、桁数で10の53乗です。一兆が10の12乗なのですから気の遠くなるほどの大きさです。そして仲間がいくつかあります、モンスターとベビーモンスターが最初に発見されました。ただし、ここで ”ミクロ・モンスター” と呼んでいるものはこれらのモンスターから分岐遷移した ” E 8 → 虚数 ” のことです、
ここでいよいよ虚数とモンスターの問題に移ります。Kamu Number Theoryでは虚数が生成される過程を遷移図式によって精細に示しています。その物性遷移過程にはKamu公理系が関与します。
図版を見ると、前駆現象(潜象)系公理のK8," Yata " Phenomenon generation Field が示されています。実はこの公理は現象が発現すると現象系公理のA1,Dynamic Saturation Stability " Yata " へと引き継がれることになるのですが、いずれも「重合による飽和状態から過飽和遷移物性」を示すものです。
図版で " sHi " は ” small Hi ” の略称であり虚数を示すものです。また " D√± 1 " はKamu次元の虚数次元 D を示すものです。
図版:Arakamichi ( 2-1 ) :The Field With One Element -Axiom K-8 Yata " Static Octet Rule" as a condition necessary for Transition
物性の遷移には始元量の壮大な重合によるモンスター化が行われます、一回の遷移に数兆回から数十兆回の重合が必要になる場合もあります。虚数という物性が生成されるまでに8回の遷移が必要であるとKamu Number Theoryでは示しています。
こうして、〈Yata〉は一回一回の壮大な重合の仕上げの段階で機能する特異点の存在を示すものです。したがって、ペンローズの特異点定理と〈Yata〉公理との間には深い関係性があるのです。
始元量から重合(一元体の演算)で虚数が生成遷移するまでを追跡すると壮大なダイアモンド図形が現れます、これを " Imaginary Daiamond " と呼んでいます。図版でみるとそれは「正反(Ka〉〈Ma)カラビ・ヤウ多様体」の作り出す超対称性と相似象になっているのです。
なお、一元体では演算は1つしかありません。重合を加法と言ってもよし、乗法と言ってもいいのですがとにかく1つの演算しかありません。これをモノイドというのだそうですがKamu Number Theoryでは「重合( 積分 )」と言っています。
図版:Arakamichi ( 2-2 ) The Field With One Element -Definition area of "Axiom K" imaginary Diamond and its "genetic inverted i-Daiamond"
このダイアモンド図形は現象と潜象の間の双対性と相似性を示すものです。そして、この遷移図式を遷移の方向に従って左から右へ巨大化する姿を示します。これはそれぞれの物性の相似象による数学モデルを使って表示したのが、次の図版です。
図版:Arakamichi ( 2-3 ) The Field With One Element -From Hypersphere by Axiom K8(Yata) to generation of E8 via Calabi Yau Manifold
さらに、虚数ダイアモンドの謎の部分を示したものが次の図版です。" ? " のマークで示したものです、これは Calabi Yau Manifold" with a Global structure will be the creator of Monstrous world and Maximal Universe と説明したものです。わかりやすい表現ではダークマターと言うことになるでしょうか?、しかし、現代物理学ではまだ謎の部分です。
図版:Arakamichi ( 2-4 ) The Field With One Element Regular-Opposite Calabi Yau Manifold's Misode-Similarity and Mirror-Symmetry
詳しい説明は後ほどいたしますが、全体を統率している原理は「保型形式 → モジュラー構造」です。トーラス構造から遷移してK3曲面へ遷移し、カラビ・ヤウ多様体で分岐してマクロ・モンスター群とミクロ・モンスターE8 へと遷移してゆく様子を図版にしています。
◇テトレーションで見るモンスター世界 1
入れ子構造を維持しながら数兆回にも渡る重合を繰り返す遷移は、モンスターへの道程にあるわけです。これは巨大すぎて、通常のべき乗の指数では表現不可能です。そこで、” べき乗の繰り返し → べき乗の入れ子 ” であるテトレーションで表現するしかありません。
テトレーションは21世紀に入って研究が軌道に乗ってきた分野、といわれるほどですから馴染みがあまりありません。では、実際にどのような数学なのでしょうか?
テトレーションに関係のありそうなものを、巨大数という枠で列記するとこうなります。巨大基数、ベート数、到達不能基数、グロタンディーク宇宙、遺伝的有限集合、順序数定義可能集合、推移的集合、フォン・ノイマン宇宙、自己相似集合、フラクタル。
ここで注目しなければならないことは、モンスターと言っても「有限集合」ということなのです。Kamu Number Theoryでは〈ゼロ〉以外は ” 無限 ” とは切り離された存在なのです。つまりここでも〈ゼロ〉は特別な数なのです。ただし、〈ゼロ〉の分身である〈Kura〉は例外になりますがここでは説明を略します。
テトレーションが優れているところは、上記に列記した集合より〈ゼロ〉をしっかりと除外できることです。正確には〈ゼロ〉を背景の中に埋めみ込んで表現出来るということです。従って、Kamu Number Theoryではモンスターを考えるに当たってテトレーションを使うことにしたのです。
テトレーションのもう一つの特徴は、《 入れ子 → a^b^c 》 は 《 a^(b^c) ≠ (a^b)^c 》 という、交換法則が成り立たない演算子であるところにあります。ここからフラクタルと同様にカオスが発生することとなるのです。
◇アーベルから始まるテトレーションの歴史
今回、私はテトレーションの歴史に興味を持ってしまいました、理由は次のようなものだったのです。或る論文にファトゥ多様体若しくはファトゥ座標という言葉が出てきました、これは『アーベル”の”方程式』の解の集合のことだという。
あの数学者アーベルがテトレーションの研究をしていたことが解ってしまったのだ。アーベルとガロアの二人は現代の抽象数学、複素数学のスタイルを生み出した直観型数学者だ。まさか?!というのがこのときの私の気持ちだった。(ガウスも若者の近くまで到達していたが現代数学へジャンプするイメージが無かった、飛躍は直観していないと出来ないもののようだ)
『アーベル”の”方程式』とわざわざ ”の” と断ってあるところがミソだ。そうアーベルといえばアーベル関数や代数方程式の研究があまりにも有名だから、マイナーなテトレーションはほとんど知られていなかったというわけだ。
テトレーションの歴史=アーベルから始まる
アーベルの方程式1826 → シュレーダーの方程式1870 →
→ マウラーの巨大数表記法1901 → 高木貞治のTakagi関数1903 →
→ ボッチャーの方程式1904 → ジュリアの方程式 1918 →
→ アッカーマン関数1928 → ファトゥ多様体1929 →
→ R.L.Goodsteinがテトレーションと命名1947 →
→ Mathematics of Computationの現在の名前は1960 から →
→ フィシャーのモンスター群1973 →
→ マンデルブロのフラクタル1975 →
→ クヌースの矢印テトレーション表記1976 →
→ マンデルブロのコンピュータグラフィック1979 →
→ コンウェイとノートンのモンスター・ムーンシャイン予想1979 →
→ ウィルソンはコンピュータの助けを借りてモンスター群を生成1985 →
→ S ウォルフラムの数式アプリMathematica 公開 1988 →
→ コンウェイのテトレーション表記法1995
アーベルが切り開いたテトレーション、、おいおい、、オイラーを忘れるな!と言われそうだが「ファトゥ多様体1929」がテトレーションを再興したことを思えばアーベルしか居ない。 アーベル ”の” 方程式はシュレーダーの自己相似性方程式に書き換えることが出来る、と言う点からも、歴史の正統な流れの起点にアーベルはあるのだ。
シュレーダーの自己相似性方程式こそカオス研究の端緒となって、テトレーションをカタストロフィー理論の本流へと一気に現代数学の最先端にしたのだ。
テトレーションの歴史を見て気づくことは、数式アプリMathematicaの登場だろう。これによって、研究者がコンピューターをテトレーションの研究に使うことが容易になったことだ。私たちが目にする数多くのテトレーションのグラフィックはこのアプリから生まれている。
Mathematicaの開発者である天才 S.ウォルフラムは「1986年に、テトレーションを複素数に拡張する問題は、実際には、物理学におけるカオスシステムの連続表現と数学におけるカオスシステムの離散表現を統合し、マップを統合するという、はるかに大きく重要な問題の一部である、と指摘した」のだそうです。 http://math-functions-1.watson.jp/sub1_spec_390.html
数学的なオブジェクトのコンピューター生成画像は、新しい結果を確立する上で重要な役割を果たす。つまり、コンピューターとテトレーションは相性がいいと言うことだ。テトレーションが21世紀の数学だ、と言うことはコンピューターとの連携がスムーズに行くようになったことが大きいのだ。こうした状況から計算数学(Mathematics of Computationを数学として見る新領域)という言葉も生まれている。
◇テトレーションで見るモンスター世界 2
数あるテトレーション画像から私が選んだのは、 Souichiro-Ikebe のものと、Dmitrii Kouznetsov の2枚だった。
図版:(2-2) Dimension √-1 • small Hi Monsterization and Tetration Model
まず、 Kouznetsov の2008年の論文に掲載されている画像はウイキペディアから知りました。私は見た瞬間あまりにも遷移図式と深い相似象がある事にビックリした記憶があります。早速 small Hi Monsterization and Tetration Model を制作することになりました。small Hi は虚数のことです。
Monster Macro Amahi は 図版:Arakamichi ( 2-4 ) において ” ? ” と、謎の存在と示したものはKamu Number Theoryでは Monster Macro Amahi と言います、この正反も Futohi としてありますが図版には余白の問題で書き切れなかったので省略してあります。
一方、Monster Micro sHi - E8 は Small Hi つまり虚数がモンスターである事を示しています。ミクロ・モンスターは更に巨大化してプランクの常数のサイズへ成長し、更に重合と遷移を重ねるとアトムつまり原子のレベルへと物性を変えてゆきます。図版にはアトムの図版の中の位相が注記されています。
誤解があるといけませんので、測定サイズの問題を記しておきます。つまり、潜象系である Small Hi のサイズは容積量(Relativity-Capacitive-Quantity)で見ることになっているので ”プランク長さ” より小さいとは言えないのです。むしろ巨大化すると容積量は縮小すると考えられているので、虚数をモンスターとして見ても ”プランク長さ” より小さいという議論は成り立たないのです。つまり、虚数はプランク長さより巨大であると考えるほうが自然です。
これが潜象を議論するときの特徴です、測定の問題はブラックホールの内部で考えると相似象として理解できると思います。Kamu Number Theoryでは原子核はミクロのモンスターつまり”ミクロの潜象系ブラックホール” に相似象であると考えて居ます。
なお、 Kouznetsov の図版で白抜きになっている部分ですが、例えばアトムの部分の内部が白く何も描かれていないのは、この内部はあまりにも複雑すぎて描けないという理由からなのです。当然ですよね!
◇テトレーションで見るモンスター世界 3
次に、 Souichiro-Ikebe 作成の画像を見たいと思います。基本的な遷移図式との相似性はKouznetsov 画像とほぼ同じです。違うのは白抜きだったところが黒塗りになっています。Souichiro-Ikebe 画像は全体像を見るのに適当だったことから、Kamu次元をべき乗則に置換してみることが出来ます。ちょうど乗法を加法に変換しているのと同じ効果を使うことになりました。
図版:(8-1) Dimension All : Power law structure of Dimension and Nested structure by Complex Tetlation
入れ子構造をテトレーションを使ってべき乗則へ変換して見ると、円環図として示した内部図版の"Nested structure" is similar to "Power law" "Power series" and "Tetlation"ということになっています。つまり、円環が重なって多元的な表現をKamu次元として表現出来ると考えたのです。これを観光していると、ポアンカレ円盤の問題を連想させてくれます。
こうして、遷移図式を視覚で確認できる手法が存在する事に感謝しかありませんが、そのパワーが直観型数学者アーベルから伝わって来ているとは嬉しい限りです。
図版の詳しい説明はKamu次元のことなど長くなりますので改めて行います、今回は省略いたします。
◇ リー群 E8 とモンスタームーンシャイン
テトレーションでたっぷりとモンスターの世界を観光できました。で、ここに来て再びラマヌジャンのテータ関数が登場するのです。直観力は、やはり恐るべし、でしょう。すでにテータ関数は宇宙羅針盤のところで活躍してくれました。
モンスタームーンシャインの中にラマヌジャンが現れるのは実はしばらく後になります。どういうことかというと、モンスタームーンシャインが超弦理論と深い関係にあることが見いだされてからラマヌジャンが再発見されるからです。
そもそもモンスタームーンシャインって何?、ですよね、早い話、数学が大統一してゆく過程で解析学(保型形式)と幾何学(有限群)との間に信じられないような相似性が発見されたもののことです。あまりにも驚きが大きかったので ” ふざけるなムーンシャイン ” くらいの気分を表現したもののようです。
何しろその巨大さに圧倒されます。壮大な相似性が発見されたのは1978年のことです。これを年表で見ると、
1970年代 → 〈保型形式 ⇔ モンスター有限群〉 → 〈McKay`observation・マッカイのモンスター群〉
1978年 → 〈ムー ンシャイン予想 〉 → 〈McKay`observation・マッカイの相似象〉
1979年 → 〈モンスタームーンシャイン〉 → コンウェイJohn ConwayとノートンSimon Nortonにより命名
1979年 → 〈 E8 ⇔ モンスター有限群〉 → 〈McKay's E8 observation・マッカイの E8 相似象〉
1980年 → 〈 E8 ⇔ モンスタームーンシャイン〉 → 〈 Kac の証明・カッツの E8 相似象〉
虚数と「モンスターE8」との関係をこれまでより明確にした図版が次のものです。
図版:(2-3) Dimension √-1 • " sHi " is Lie group " E8 " and Imagenary Number
図はかなり模式的で遷移図式を省略し短絡的に " E8 "と " sHi " とを結びつけています。こんなに簡単に「 モンスター リー群 E8 」を虚数と結びつけていいのか?と思われることでしょが、モンスタームーンシャインを発見した本人が1979年に、つまり発見の翌年には リー群 E8 との関連性を予想しています。
そして、翌年の1980年にはカッツが短い論文でそれが正しいと証明しています。カッツは”カッツ・ムーディ・リー代数”の創始者として知られたリー群の専門家です。
†
(前編)終わり
→ 中編へ(モンスタームーンシャインとミクロ・ブラックホール)
4-2-1(前編)虚数コンピューターとモンスタームーンシャイン
テトレーションで見るモンスター世界
前回で虚数が”最初”の数として”現れたと”いう、Kamu Number Theoryの考え方を紹介しました。このことにより、ウイグナーが仕掛けた謎はおおかた解決しました。補足的にゲーデルの不完全性定理で数学モデルの健全性を示すことが出来ました。
◇虚数の母体である〈ゼロ〉という存在
では、〈ゼロ〉は数じゃないのか?、と思われることでしょう。これには少し説明が必要になります。
虚数の母体である〈ゼロ〉を数として定義することを、しばらくはお預けさせて頂く理由を簡単に示しておきたいと思います。
そもそも、〈ゼロ〉が虚数の母体であるということは、全ての整数の母胎ということでもあります。特に正反虚数と代数的整数の全てを含むという面も重要なことです。
〈ゼロ〉を数として発見したのは古代インドの数学者である事は数学史に記されています。インドで発見された数〈ゼロ〉がアラビアに渡って、現代につながる代数学を作り上げたことも明らかにされています。
直観型数学者ラマヌジャンを生んインドの数学者が〈ゼロ〉を発見したというのは、単なる偶然ではないと私は考えて居ます。楢崎皐月は〈ゼロ〉を発見した数学者はKamuを直感的に感受した人物であろうと述べています。つまり〈ゼロ〉は特別な数なのです。
〈ゼロ〉は正反虚数を生み出すことによって「一元体論=Field with one Element theory」を形成することになります。しかし、一元体という名前なのに、なぜ正反2つの元があるのか、2元体論じゃないか?という疑問が生まれることと思います。
それは〈ゼロ〉という(まだ数ではない)一元体から、虚数の正反2つが生成されるからなのです。すべてはこの正反虚数から物性遷移が始まります。ということは、いきなり〈ゼロ〉から物性遷移は始まりません、数(数学)と物性は結びついていると繰り返し述べてきましたから、この意味で〈ゼロ〉は数の仲間に今のところ入りません。
ピタゴラスが自然数の仲間に〈ゼロ〉を入れなかったのは、この意味では間違いではなかったのです。しかし数の母胎としての〈ゼロ〉を認識していたかというと、そうではありませんでした。ピタゴラスやプラトンにおいては数が実在で物性は影の存在だったのです。
すでに、帰納法のところで記しましたが。帰納法と同様に、〈ゼロ〉を便利な道具として使うことには特別の制約はありません。算術数、そして演算数として使うことになんの制限もありません。
しかし、〈ゼロ〉は特別な数である事を理解した上で扱うことが適切であると私は考えて居ます。それは正反2つの虚数を生み出す母体であると言うだけでもその重要さは理解されることなのです。
D ドイチも述べていますが、物性(物理法則)と数は強く結びついています。この結びつきを理解するには〈ゼロ〉を深く知る必要があるとも言えます。
◇現象の前駆状態(潜象)としての ”ゼロ” と始元量
虚数を最初の数とする理由を受け入れるには、Kamu Number Theoryで行っている ” 現象という概念を拡張する過程” を理解する必要があります。
現象の「前駆状態」というのがそれなのです。これは現象が存在するためには背後に壮大で見えない物性が「現象の前駆状態」として存在するという考え方です。
ペンローズのところで記した「始元量」の考え方を思い出して頂きたいのです。ツイスターと彼が名付けた虚数世界の回転体というアイデアを推進しているペンローズですが、彼は時空そのものの前駆状態を虚数回転体というスピン構造の中に求めたもののようです。これは「虚数世界の多重回転 → ツイスター → 時空互換重合多重回転量子」でした。
実はこのツイスターというアイデアはゲージ理論に相似象なのです。回転角度というものを物差しとして使おういう点で共通の立場にあると私は考えて居ます。ペンローズは相対性理論の専門家なのでゲージ理論ではイメージを持てなかったのかも知れません。
つまり、もともと時空というものは「前駆状態」では時間と空間は不分離のものであって、時間量と空間量へ分離するのは ” 前駆光 → 光量子 → 電気・磁気・力 ”などの物性 が発生したときからだという考え方です。これは、マクロの相対性理論ですでに重力(引力)として実現されている考え方です。ところが、これをミクロの世界でも同じように考えようとするのです。ペンローズは相対性理論の専門家ですから自然な成り行きとしてツイスターに至ったといえます。
時空互換性という物性および、時空重合という2つの物性状態が、これから発生するであろう現象の前駆状態がどのようなものであるかを示しているのです。
虚数の実体である ” Small Hi ” はまさにこの前駆状態から現象発生へ遷移する物性を支配している主体なのです。そして現象が生成されてもなおその支配力は続くのです。これを複素数と私たちは名付け、それは自然数の世界とは異質な数の世界なのです。この虚数(潜象)世界は現象界の「前駆原型 → Ur-Form → 複素数」を形成すると考えます。(Ur-Formはゲーテの原型を意味する言葉を借用しています)
この複素数の世界から自然数を見るといかに不可思議な世界が展開されているかが解ります。プラトンの影の世界がこれです。恐らくプラトンは直感的に感じ取った前駆的な虚数を影の世界と誤認したのかも知れません。
ペンローズの凄いところは、生命の起源を重力と始元の「虚数回転世界 → ツイスター」に求めたのでした。ここから、虚数と生命発生とは裏腹の関係にあることが次第に見えてくることでしょう。この結びつきこそ物理学の脱皮を要求しているペンローズが求めたものです。
始元量の問題では「ホーキングの始元定理」を紹介しました。そこで決定的なのがペンローズの「特異点定理」でした。〈ゼロ〉は” 潜象 ”における特異点である虚数を生み出す母胎と言うことになります。つまり、後ほど詳しく説明しますが、虚数は「始元量の壮大な重合体 → モンスター特異点」という物性を表現した「数」だったのです。
ペンローズのツイスターにはKamu Number Theoryと共通した考え方が見出されたのでした。そして、この前駆物性という発想は、ダークマター、ブラックホールなどの現代物理学と近い考え方です。ただし、前駆物性は数学モデルによって導かれ得るものではありません、現象の相似性の中から相似象を感受し直観によって生まれたものです。ラマヌジャンがそうだったように、そこには数学モデル以前の直観世界が「前駆物性=潜象」という物理世界として見えてくるのだと言えます。
(その3)- 1,万物は回転する・ペンローズと宇宙大航海時代の羅針盤
(その3)- 2 万物のエントロピー増大、故に万物には始元が存在する
虚数が最初の数であるという理由は、以上のように前駆物性と現象との境界領域で発生しているからなのです。数というものはあくまでも物性と結びついたものであり、現象と関わるものについて数は現れると考えるからです。現象と最初に関わった数が虚数なのですから、虚数を最初の数と考えることになったのです。
虚数の母体である〈ゼロ〉の理解には、虚数生成過程の壮大な8段階の物性遷移を解明してからのことになります、それまではしばらく虚数に焦点を合わせて見てゆきたいと思います。
◇虚数とミクロ・モンスター
モンスターって?、、それは想像を超越した巨大な存在を数学モデル化したもののことです。モデルとしては幾何学的な構造を抽象化した有限群に現れ、数学的には単純な構造だが内部の複雑さはまさにモンスターというものです。
どのくらい大きいかですが、桁数で10の53乗です。一兆が10の12乗なのですから気の遠くなるほどの大きさです。そして仲間がいくつかあります、モンスターとベビーモンスターが最初に発見されました。ただし、ここで ”ミクロ・モンスター” と呼んでいるものはこれらのモンスターから分岐遷移した ” E 8 → 虚数 ” のことです、
ここでいよいよ虚数とモンスターの問題に移ります。Kamu Number Theoryでは虚数が生成される過程を遷移図式によって精細に示しています。その物性遷移過程にはKamu公理系が関与します。
図版を見ると、前駆現象(潜象)系公理のK8," Yata " Phenomenon generation Field が示されています。実はこの公理は現象が発現すると現象系公理のA1,Dynamic Saturation Stability " Yata " へと引き継がれることになるのですが、いずれも「重合による飽和状態から過飽和遷移物性」を示すものです。
図版で " sHi " は ” small Hi ” の略称であり虚数を示すものです。また " D√± 1 " はKamu次元の虚数次元 D を示すものです。
図版:Arakamichi ( 2-1 ) :The Field With One Element -Axiom K-8 Yata " Static Octet Rule" as a condition necessary for Transition
物性の遷移には始元量の壮大な重合によるモンスター化が行われます、一回の遷移に数兆回から数十兆回の重合が必要になる場合もあります。虚数という物性が生成されるまでに8回の遷移が必要であるとKamu Number Theoryでは示しています。
こうして、〈Yata〉は一回一回の壮大な重合の仕上げの段階で機能する特異点の存在を示すものです。したがって、ペンローズの特異点定理と〈Yata〉公理との間には深い関係性があるのです。
始元量から重合(一元体の演算)で虚数が生成遷移するまでを追跡すると壮大なダイアモンド図形が現れます、これを " Imaginary Daiamond " と呼んでいます。図版でみるとそれは「正反(Ka〉〈Ma)カラビ・ヤウ多様体」の作り出す超対称性と相似象になっているのです。
なお、一元体では演算は1つしかありません。重合を加法と言ってもよし、乗法と言ってもいいのですがとにかく1つの演算しかありません。これをモノイドというのだそうですがKamu Number Theoryでは「重合( 積分 )」と言っています。
図版:Arakamichi ( 2-2 ) The Field With One Element -Definition area of "Axiom K" imaginary Diamond and its "genetic inverted i-Daiamond"
このダイアモンド図形は現象と潜象の間の双対性と相似性を示すものです。そして、この遷移図式を遷移の方向に従って左から右へ巨大化する姿を示します。これはそれぞれの物性の相似象による数学モデルを使って表示したのが、次の図版です。
図版:Arakamichi ( 2-3 ) The Field With One Element -From Hypersphere by Axiom K8(Yata) to generation of E8 via Calabi Yau Manifold
さらに、虚数ダイアモンドの謎の部分を示したものが次の図版です。" ? " のマークで示したものです、これは Calabi Yau Manifold" with a Global structure will be the creator of Monstrous world and Maximal Universe と説明したものです。わかりやすい表現ではダークマターと言うことになるでしょうか?、しかし、現代物理学ではまだ謎の部分です。
図版:Arakamichi ( 2-4 ) The Field With One Element Regular-Opposite Calabi Yau Manifold's Misode-Similarity and Mirror-Symmetry
詳しい説明は後ほどいたしますが、全体を統率している原理は「保型形式 → モジュラー構造」です。トーラス構造から遷移してK3曲面へ遷移し、カラビ・ヤウ多様体で分岐してマクロ・モンスター群とミクロ・モンスターE8 へと遷移してゆく様子を図版にしています。
◇テトレーションで見るモンスター世界 1
入れ子構造を維持しながら数兆回にも渡る重合を繰り返す遷移は、モンスターへの道程にあるわけです。これは巨大すぎて、通常のべき乗の指数では表現不可能です。そこで、” べき乗の繰り返し → べき乗の入れ子 ” であるテトレーションで表現するしかありません。
テトレーションは21世紀に入って研究が軌道に乗ってきた分野、といわれるほどですから馴染みがあまりありません。では、実際にどのような数学なのでしょうか?
テトレーションに関係のありそうなものを、巨大数という枠で列記するとこうなります。巨大基数、ベート数、到達不能基数、グロタンディーク宇宙、遺伝的有限集合、順序数定義可能集合、推移的集合、フォン・ノイマン宇宙、自己相似集合、フラクタル。
ここで注目しなければならないことは、モンスターと言っても「有限集合」ということなのです。Kamu Number Theoryでは〈ゼロ〉以外は ” 無限 ” とは切り離された存在なのです。つまりここでも〈ゼロ〉は特別な数なのです。ただし、〈ゼロ〉の分身である〈Kura〉は例外になりますがここでは説明を略します。
テトレーションが優れているところは、上記に列記した集合より〈ゼロ〉をしっかりと除外できることです。正確には〈ゼロ〉を背景の中に埋めみ込んで表現出来るということです。従って、Kamu Number Theoryではモンスターを考えるに当たってテトレーションを使うことにしたのです。
テトレーションのもう一つの特徴は、《 入れ子 → a^b^c 》 は 《 a^(b^c) ≠ (a^b)^c 》 という、交換法則が成り立たない演算子であるところにあります。ここからフラクタルと同様にカオスが発生することとなるのです。
◇アーベルから始まるテトレーションの歴史
今回、私はテトレーションの歴史に興味を持ってしまいました、理由は次のようなものだったのです。或る論文にファトゥ多様体若しくはファトゥ座標という言葉が出てきました、これは『アーベル”の”方程式』の解の集合のことだという。
あの数学者アーベルがテトレーションの研究をしていたことが解ってしまったのだ。アーベルとガロアの二人は現代の抽象数学、複素数学のスタイルを生み出した直観型数学者だ。まさか?!というのがこのときの私の気持ちだった。(ガウスも若者の近くまで到達していたが現代数学へジャンプするイメージが無かった、飛躍は直観していないと出来ないもののようだ)
『アーベル”の”方程式』とわざわざ ”の” と断ってあるところがミソだ。そうアーベルといえばアーベル関数や代数方程式の研究があまりにも有名だから、マイナーなテトレーションはほとんど知られていなかったというわけだ。
テトレーションの歴史=アーベルから始まる
アーベルの方程式1826 → シュレーダーの方程式1870 →
→ マウラーの巨大数表記法1901 → 高木貞治のTakagi関数1903 →
→ ボッチャーの方程式1904 → ジュリアの方程式 1918 →
→ アッカーマン関数1928 → ファトゥ多様体1929 →
→ R.L.Goodsteinがテトレーションと命名1947 →
→ Mathematics of Computationの現在の名前は1960 から →
→ フィシャーのモンスター群1973 →
→ マンデルブロのフラクタル1975 →
→ クヌースの矢印テトレーション表記1976 →
→ マンデルブロのコンピュータグラフィック1979 →
→ コンウェイとノートンのモンスター・ムーンシャイン予想1979 →
→ ウィルソンはコンピュータの助けを借りてモンスター群を生成1985 →
→ S ウォルフラムの数式アプリMathematica 公開 1988 →
→ コンウェイのテトレーション表記法1995
アーベルが切り開いたテトレーション、、おいおい、、オイラーを忘れるな!と言われそうだが「ファトゥ多様体1929」がテトレーションを再興したことを思えばアーベルしか居ない。 アーベル ”の” 方程式はシュレーダーの自己相似性方程式に書き換えることが出来る、と言う点からも、歴史の正統な流れの起点にアーベルはあるのだ。
シュレーダーの自己相似性方程式こそカオス研究の端緒となって、テトレーションをカタストロフィー理論の本流へと一気に現代数学の最先端にしたのだ。
テトレーションの歴史を見て気づくことは、数式アプリMathematicaの登場だろう。これによって、研究者がコンピューターをテトレーションの研究に使うことが容易になったことだ。私たちが目にする数多くのテトレーションのグラフィックはこのアプリから生まれている。
Mathematicaの開発者である天才 S.ウォルフラムは「1986年に、テトレーションを複素数に拡張する問題は、実際には、物理学におけるカオスシステムの連続表現と数学におけるカオスシステムの離散表現を統合し、マップを統合するという、はるかに大きく重要な問題の一部である、と指摘した」のだそうです。 http://math-functions-1.watson.jp/sub1_spec_390.html
数学的なオブジェクトのコンピューター生成画像は、新しい結果を確立する上で重要な役割を果たす。つまり、コンピューターとテトレーションは相性がいいと言うことだ。テトレーションが21世紀の数学だ、と言うことはコンピューターとの連携がスムーズに行くようになったことが大きいのだ。こうした状況から計算数学(Mathematics of Computationを数学として見る新領域)という言葉も生まれている。
◇テトレーションで見るモンスター世界 2
数あるテトレーション画像から私が選んだのは、 Souichiro-Ikebe のものと、Dmitrii Kouznetsov の2枚だった。
図版:(2-2) Dimension √-1 • small Hi Monsterization and Tetration Model
まず、 Kouznetsov の2008年の論文に掲載されている画像はウイキペディアから知りました。私は見た瞬間あまりにも遷移図式と深い相似象がある事にビックリした記憶があります。早速 small Hi Monsterization and Tetration Model を制作することになりました。small Hi は虚数のことです。
Monster Macro Amahi は 図版:Arakamichi ( 2-4 ) において ” ? ” と、謎の存在と示したものはKamu Number Theoryでは Monster Macro Amahi と言います、この正反も Futohi としてありますが図版には余白の問題で書き切れなかったので省略してあります。
一方、Monster Micro sHi - E8 は Small Hi つまり虚数がモンスターである事を示しています。ミクロ・モンスターは更に巨大化してプランクの常数のサイズへ成長し、更に重合と遷移を重ねるとアトムつまり原子のレベルへと物性を変えてゆきます。図版にはアトムの図版の中の位相が注記されています。
誤解があるといけませんので、測定サイズの問題を記しておきます。つまり、潜象系である Small Hi のサイズは容積量(Relativity-Capacitive-Quantity)で見ることになっているので ”プランク長さ” より小さいとは言えないのです。むしろ巨大化すると容積量は縮小すると考えられているので、虚数をモンスターとして見ても ”プランク長さ” より小さいという議論は成り立たないのです。つまり、虚数はプランク長さより巨大であると考えるほうが自然です。
これが潜象を議論するときの特徴です、測定の問題はブラックホールの内部で考えると相似象として理解できると思います。Kamu Number Theoryでは原子核はミクロのモンスターつまり”ミクロの潜象系ブラックホール” に相似象であると考えて居ます。
なお、 Kouznetsov の図版で白抜きになっている部分ですが、例えばアトムの部分の内部が白く何も描かれていないのは、この内部はあまりにも複雑すぎて描けないという理由からなのです。当然ですよね!
◇テトレーションで見るモンスター世界 3
次に、 Souichiro-Ikebe 作成の画像を見たいと思います。基本的な遷移図式との相似性はKouznetsov 画像とほぼ同じです。違うのは白抜きだったところが黒塗りになっています。Souichiro-Ikebe 画像は全体像を見るのに適当だったことから、Kamu次元をべき乗則に置換してみることが出来ます。ちょうど乗法を加法に変換しているのと同じ効果を使うことになりました。
図版:(8-1) Dimension All : Power law structure of Dimension and Nested structure by Complex Tetlation
入れ子構造をテトレーションを使ってべき乗則へ変換して見ると、円環図として示した内部図版の"Nested structure" is similar to "Power law" "Power series" and "Tetlation"ということになっています。つまり、円環が重なって多元的な表現をKamu次元として表現出来ると考えたのです。これを観光していると、ポアンカレ円盤の問題を連想させてくれます。
こうして、遷移図式を視覚で確認できる手法が存在する事に感謝しかありませんが、そのパワーが直観型数学者アーベルから伝わって来ているとは嬉しい限りです。
図版の詳しい説明はKamu次元のことなど長くなりますので改めて行います、今回は省略いたします。
◇ リー群 E8 とモンスタームーンシャイン
テトレーションでたっぷりとモンスターの世界を観光できました。で、ここに来て再びラマヌジャンのテータ関数が登場するのです。直観力は、やはり恐るべし、でしょう。すでにテータ関数は宇宙羅針盤のところで活躍してくれました。
モンスタームーンシャインの中にラマヌジャンが現れるのは実はしばらく後になります。どういうことかというと、モンスタームーンシャインが超弦理論と深い関係にあることが見いだされてからラマヌジャンが再発見されるからです。
そもそもモンスタームーンシャインって何?、ですよね、早い話、数学が大統一してゆく過程で解析学(保型形式)と幾何学(有限群)との間に信じられないような相似性が発見されたもののことです。あまりにも驚きが大きかったので ” ふざけるなムーンシャイン ” くらいの気分を表現したもののようです。
何しろその巨大さに圧倒されます。壮大な相似性が発見されたのは1978年のことです。これを年表で見ると、
1970年代 → 〈保型形式 ⇔ モンスター有限群〉 → 〈McKay`observation・マッカイのモンスター群〉
1978年 → 〈ムー ンシャイン予想 〉 → 〈McKay`observation・マッカイの相似象〉
1979年 → 〈モンスタームーンシャイン〉 → コンウェイJohn ConwayとノートンSimon Nortonにより命名
1979年 → 〈 E8 ⇔ モンスター有限群〉 → 〈McKay's E8 observation・マッカイの E8 相似象〉
1980年 → 〈 E8 ⇔ モンスタームーンシャイン〉 → 〈 Kac の証明・カッツの E8 相似象〉
虚数と「モンスターE8」との関係をこれまでより明確にした図版が次のものです。
図版:(2-3) Dimension √-1 • " sHi " is Lie group " E8 " and Imagenary Number
図はかなり模式的で遷移図式を省略し短絡的に " E8 "と " sHi " とを結びつけています。こんなに簡単に「 モンスター リー群 E8 」を虚数と結びつけていいのか?と思われることでしょが、モンスタームーンシャインを発見した本人が1979年に、つまり発見の翌年には リー群 E8 との関連性を予想しています。
そして、翌年の1980年にはカッツが短い論文でそれが正しいと証明しています。カッツは”カッツ・ムーディ・リー代数”の創始者として知られたリー群の専門家です。
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(前編)終わり
→ 中編へ(モンスタームーンシャインとミクロ・ブラックホール)