大将マサムネののらりくらり雑記ブログ

妄想が爆発した短編小説を投稿します!美少女ゲームを元にオリジナルストーリーを作成します!たまに旅行やグルメ紀行も……

あなたへの恩返し 第一話

2021-05-17 17:51:20 | 小説
この村は本当に静かだ。100年後の未来から来た私、蛍塚アリカは静かで心地良いそよ風を感じていた。本当にこの村に来て良かった…。妹の蛍塚ユノと共にやって来た晶生村は所謂過疎の村だ。しかし、それだけ自然を感じられる。川の水もキレイで空気は本当に美味しい。これは100年後の未来では感じられない…。こんな気持ちにしてくれたのはあの人のおかげ…。千種由嗣くん。
100年後の未来は『エンゲージ』といわれる人工的に出産するシステムが主流の中、彼は廃れてしまった恋愛結婚での『自然分娩』で生まれた男の人。私達と共に晶生村にやって来たが、彼は許可を得ずにやって来た。しかし、私達の『ブロムナード』いわゆる卒業研究を手伝うという名目で許可を許された。当初は落ちこぼれと言われていた彼だったが、この村にやって来てからは村の皆とどんどん仲良くなり、自然と馴染んで行った。それが彼の特徴であり、彼の才能である。決して落ちこぼれではない、立派な才能だ。エリートと言われた私は変にプライドを持っていたために人に頼らず、何でも一人で『ブロムナード』を完成させようとしてしまって……失敗し……妹のユノにも迷惑をかけた…。そんな時に彼が助けてくれた……。それ以来、村の人達と話す機会を与えてくれて、仲良くして貰えるようになり、私の『ブロムナード』も進めることが出来た。本当に彼には感謝しかない。そんな彼を私は…………
「本来であれば、もう100年後に戻っているはずだったんだけど…」
宮国小萩さんがこちらへ来た影響で、『ゲート』のエネルギーが足りず、戻ることが出来なかった。『ゲート』のエネルギー充填には時間がかかるため、数日は100年後には帰れない。しかし、その間に『彼』を知る良い機会になった。
『彼』を知っていく毎に『自然分娩』についても興味が湧いていく。自然に生まれる素晴らしさ…。急きょ、出産に立ち合う機会があった。出産した母親の幸せそうな笑顔を今も忘れられない…。『エンゲージ』では決して体感出来ない感覚…。私も体感してみたい。子供を産んでみたい。そう思った瞬間、彼にある意味の恋心が芽生えた気がした。
「貴方の子供を生みたい!」
いきなり私は彼にそう告げた。そんな彼は私を妻にしてくれると言ってくれた…。そして、私は『彼』を『貴方』から『あなた』と言うようになった。『あなた』は妻が夫を呼ぶ時にそう呼ぶらしい。本当の『彼の妻』になるために…。
彼を思い出す度、心臓がトクントクンとなる…。久万里寿さんが教えてくれた『恋心』と呼べるモノ。本当に心地良く、暖かな気持ちになる。
「彼に何か恩返しが出来ないかしら…」
ふとそんな気持ちになった…。
「そうだ!!ユノやクラレッタさんに相談してみよう!」
私は意気揚々に下宿しているクラレッタさんの家へ帰宅するのだった…

〘続く〙


最新の画像もっと見る

コメントを投稿