「はあ…。何の為にスマホを持っているんですか?芳乃様」
いきなり厳しい言葉を浴びせられた……
「だ、だって…仕方ないじゃない!SNSって怖いって聞くし……」
テレビでSNSが怖いって言ってた。所謂、「バズる」……だっけ?
しかも、私は過去にネットで調べたことで失敗した経験がある……。「ちゃろー☆」が友達間の挨拶だってネットで書いてあって、『凄く私の声に似ている娘』が動画でポーズまで紹介していたのに…。いざ使ってみたら……将臣さんをフリーズさせた苦い経験……。穴が有れば、入りたい……シュン…。その事もあってか、SNSやネットにある種のトラウマがあった…
でもSNSなら将臣さんと手軽に連絡し合える感じがしたから…
「まだまだ若い芳乃様なのに、何歳の方の考え方をしているんですかぁ〜。まあ、そこが芳乃様の良いところなんですが…」
家事をしながら辛辣な言葉を投げ掛ける彼女は、私の幼馴染であり護衛役をしてくれている常陸茉子。家の家事を担ってくれてもいるが、実は忍者…いわゆる『くノ一』である。ただ、高い所は苦手らしいけど…
「よろしいですか、芳乃様!最近は電話やメールで連絡を取り合わず、L○NEなどのSNSで連絡を取り合うのが主流になって来ているんですよ〜」
「え!?そ、そうなの!?」
新たな情報に驚く私。
「芳乃様……」
呆れ顔の茉子。私って、かなり時代遅れなのかな……シュン…
「そういえば最近の若者は、イ○スタグラムやツ○ッターのダイレクトメッセージとやらで連絡を取り合ってるようだの〜」
そう話すのはムラサメ様。彼女は神刀 「叢雨丸」に宿る存在で、私や茉子、将臣さんなどにしか見えない存在でもある。フワフワ浮いているので、よく幽霊と間違われるが……
「む!何か良からぬことを考えておらぬか?」
「べ、別に何も……。というか、ムラサメ様もご存知なのですか!?」
数百年前から存在するムラサメ様まで知っていることに驚いた。
「詳しいことは知らぬが、テレビで言っておったぞ!お主、聞いてなかったのか?」
「今まで興味が無かったので…、聞いてなかったんだと思います…」
かなりシュンとしてしまった私…。まさかニュースでも取り上げられていたとは…。それをムラサメ様までもが知っていたとは……シュン…
「とにかく有地さんと連絡取り合うなら、断然L○NEが良いです!チャットのように会話が出来ますし、ビデオ通話……所謂テレビ電話機能もあるので、顔を見ながら話も出来ますし」
「え!?本当!?将臣さんの顔を見ながら通話が出来るの??」
それが出来るようになったら……寂しさなんて、吹っ飛ぶかも……
「とりあえず芳乃様。まずはインストールから始めましょうか。それからアカウントを設定して……有地さんにL○NE IDを教えるか教えてもらうか…」
以前も将臣さんとの関係に悩んでいた時に支えになってくれた茉子とムラサメ様。私が将臣さんを突っぱねていた時も色々なフォローをしてくれた。あの「ヨロピクお願いします」は恥ずかしかったけど……、あの出来事から将臣さんとの関係もかなり進んだ気がする。本当にこの二人には頭が上がらない…感謝の気持ちでいっぱいになる。将臣さんと幸せになることで、恩返ししなきゃ!
「お願い。茉子、あとで教えてね。」
「おまかせ下さい。芳乃様!」
「吾輩も興味がある。見ていても良いか、芳乃?」
「ええ。もちろんですよ!ムラサメ様!」
初めてのSNS。ちょっと怖いけど…。大好きな将臣さんと繋がるなら……。
〘END〙
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