それから少し経って後、彼女たちは柚呑家に集まっていた。
なんだか、騒がしい様子である。
「だっから!!」
その音源は彼女、乙羽だったようだ。
「お姉ちゃんが丐くんと組めばいいでしょうが!!問題ないよ!!」
甲高い声が皆の耳を貫く。特にその言葉を言われている張本人和琶には痛いほどしっかり届いているだろう。
「だからっ!!」
和琶も応戦するかのように、なるべく大きめに声を張り上げた。乙羽より、やや柔らかめな口調だったが。和琶は俯ききみに言葉を続ける。心なしか顔が赤い。
「な……なんで最近、私と丐坐を組ませるのかな……って思って……」
和琶が言葉をつむいだ瞬間、そこにいる賢斗以外の全員が「はい?」という表情をした。それもそのはずで、なんだかよくわからないが前に丐坐とは組みたくないという感じの物言いをしたのだ。「……やっぱりな」と思いつつ無言の弟一人。「そんなことかよ」と呆れる妹一人。「バブ――!?(なんでそんなに恥ずかしそうなのだ!?)」と愛する姉の態度に大ブーイングの赤ん坊一人。「よ、良かった……」と自分が嫌われているのではないかと言う疑念を抱き涙したが、実際そんなことだったのかと落ち着いた男一人。
この中で一番可哀想なのは、きっと丐坐だろう。和琶よ、いらぬ心配事をふっかけてやるな。
和琶の疑問を聞いた乙羽は極上の笑みを浮かべた。
「そりゃぁ♡」
そしてちらりと横をみやった。
「ね♡」
そこには安心して息を吐く丐坐とそれを気遣う賢斗、そして悲しみに埋もれ、だらけている火巳がいた。その中で乙羽の視線は和琶の思い人、丐坐に向いていたのだが、当の本人は気づかなかったようで、「へ?」と疑問符を出しながらきょとんとしていた。これにはさすがの乙羽でも鈍いと思わずにはいられなかった。わかっていたにはいたのだが、まさかここまで鈍感だとは、まさかである。
「だぁかぁら~」
困り気味で説明をしてやる乙羽。それを必死に理解しようとする和琶。
そして、その理解が終了した時だった。
「あっ」
和琶は白抜き状態になり、デフォルメ和琶になった。
「でかすぎ。……やっと、わかったわね」
そこに、妹・乙羽の的確な突っ込みが入った。
和琶は内心、「なんで乙羽知ってるの!?」アンビリーバボー状態で少女漫画化していた。乙羽は、今までにないキラキラと輝く目映い笑顔で和琶に優しく言う。
「協力するからさ♡」
その笑顔と言葉を聴いた瞬間、和琶は血の気が引くのを感じた。
和琶は首をもげそうな勢いで左右に振り、かつ涙目になっていた。そして、視界に入るのは、妹の恐怖の笑顔。
逆にコワイ、逆にコワイッ!!その笑顔がっ!?
もう、乙羽がうふふふふふふふと笑っているようにしか見えない。和琶は逃げたい気持ちでいっぱいになり、そして。
「そ……」
スタートダッシュ。
「そんなんじゃナイもん~~~~!!」
「あっ、待って……」
乙羽の制止も空しく、和琶は「イヤです」と記した紙だけ残し、姿を消した。
なんだか、騒がしい様子である。
「だっから!!」
その音源は彼女、乙羽だったようだ。
「お姉ちゃんが丐くんと組めばいいでしょうが!!問題ないよ!!」
甲高い声が皆の耳を貫く。特にその言葉を言われている張本人和琶には痛いほどしっかり届いているだろう。
「だからっ!!」
和琶も応戦するかのように、なるべく大きめに声を張り上げた。乙羽より、やや柔らかめな口調だったが。和琶は俯ききみに言葉を続ける。心なしか顔が赤い。
「な……なんで最近、私と丐坐を組ませるのかな……って思って……」
和琶が言葉をつむいだ瞬間、そこにいる賢斗以外の全員が「はい?」という表情をした。それもそのはずで、なんだかよくわからないが前に丐坐とは組みたくないという感じの物言いをしたのだ。「……やっぱりな」と思いつつ無言の弟一人。「そんなことかよ」と呆れる妹一人。「バブ――!?(なんでそんなに恥ずかしそうなのだ!?)」と愛する姉の態度に大ブーイングの赤ん坊一人。「よ、良かった……」と自分が嫌われているのではないかと言う疑念を抱き涙したが、実際そんなことだったのかと落ち着いた男一人。
この中で一番可哀想なのは、きっと丐坐だろう。和琶よ、いらぬ心配事をふっかけてやるな。
和琶の疑問を聞いた乙羽は極上の笑みを浮かべた。
「そりゃぁ♡」
そしてちらりと横をみやった。
「ね♡」
そこには安心して息を吐く丐坐とそれを気遣う賢斗、そして悲しみに埋もれ、だらけている火巳がいた。その中で乙羽の視線は和琶の思い人、丐坐に向いていたのだが、当の本人は気づかなかったようで、「へ?」と疑問符を出しながらきょとんとしていた。これにはさすがの乙羽でも鈍いと思わずにはいられなかった。わかっていたにはいたのだが、まさかここまで鈍感だとは、まさかである。
「だぁかぁら~」
困り気味で説明をしてやる乙羽。それを必死に理解しようとする和琶。
そして、その理解が終了した時だった。
「あっ」
和琶は白抜き状態になり、デフォルメ和琶になった。
「でかすぎ。……やっと、わかったわね」
そこに、妹・乙羽の的確な突っ込みが入った。
和琶は内心、「なんで乙羽知ってるの!?」アンビリーバボー状態で少女漫画化していた。乙羽は、今までにないキラキラと輝く目映い笑顔で和琶に優しく言う。
「協力するからさ♡」
その笑顔と言葉を聴いた瞬間、和琶は血の気が引くのを感じた。
和琶は首をもげそうな勢いで左右に振り、かつ涙目になっていた。そして、視界に入るのは、妹の恐怖の笑顔。
逆にコワイ、逆にコワイッ!!その笑顔がっ!?
もう、乙羽がうふふふふふふふと笑っているようにしか見えない。和琶は逃げたい気持ちでいっぱいになり、そして。
「そ……」
スタートダッシュ。
「そんなんじゃナイもん~~~~!!」
「あっ、待って……」
乙羽の制止も空しく、和琶は「イヤです」と記した紙だけ残し、姿を消した。