あの日、リビングのドアを開けた時、妻は両手をあげていたんです。
ソファーに押し倒されたような形で‥
恭子が見たのは、ほんの一瞬です。
妻は、慌てて服の中に手を入れ、ずり上がったブラを元に戻していました。
あの時の 妻の姿は、忘れられません。
咲き誇る花のように美しく、私には見せたことの無かった 艶姿でした。
両手をあげたポーズは、特別な意味があります。
恭子も、男の人の前で両手をあげて‥
そういう経験があるので、まるで泣き顔のように潤んだ妻の目が、何をされるのを望んでいたのか、甘酸っぱい妻の気持ちが分かるのです。
それまで、お互いに恋人のことなど話さなかったのに、妻よりも少し年上らしきご婦人と、どのように知り合ったのか、どんな関係なのか、週末、妻が淹れてくれる朝食のコーヒーの香りを楽しみながら、少しづつ聞いてあげるようにしました。
秘密というのは、実は、聞いて欲しいものなのです。
違いますか?
両手をあげたポーズ(3) へつづく
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