商品説明
辰巳&フレデリックの甘々新婚旅行編。
ヤクザ&マフィアなオッサンふたりが豪華客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』で織りなすラブアクションです!
R18 BL小説です。
ヤクザ&マフィアなオッサンふたりが豪華客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』で織りなすラブアクションです!
R18 BL小説です。
著者名
ヒトミマサヤ
販売者
M,D,J.
書籍情報
製本サイズ:B6サイズ
ページ数:166
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ
【R18】蜜月に愛は謀られる
■ちょい読み
【プロローグ】
世界中に豪華客船は数あれど、その中でもトップクラスの規模を誇る大型客船『Queen of the Seas (クイーン・オブ・ザ・シーズ)』。その美しい姿は見る者を魅了し、そのもてなしは最高の船旅を約束するという噂がある。
街ひとつを全て移植したような規模と設備を誇り、最高のもてなしをするクルーやスタッフ、それに物腰柔らかで優雅と評判のキャプテンをはじめ、常に冷静沈着なチーフオフィサー、一流のカジノディーラーなどなど。この船のクルーは見目も麗しく大変優秀な人材を取り揃えていた。
だがその実、船を所有する会社の大元は何を隠そうマフィアである。ついでに言うならセキュリティースタッフもすべてが息のかかった人間だ。もっと言うならキャプテン自身がマフィアの次期後継者という、非常に危険な船である。
もちろん、危険地帯(一部の人間)を除けば他のクルーたちは”一般”の、大変優秀な人材たちではあるのだが。
しかしご安心頂きたい。今回のクルーズは『Queen of the Seas』を所有する会社の創設を記念した特別なもので、たいへん真面目でクルーからの信頼も厚いマイケルというチーフオフィサーが代理でキャプテンを務めている。
正規のキャプテンはいったいどこへ行ってしまったのかと言えば、もちろんこの船に乗っていた。但し、乗客として。
フレデリック《Frederic》略称はフレッド、三十八歳。身長、百九十一センチ。体重、七十七キロ。国籍はフランス。
金糸の髪と碧い瞳は天然のもので、現在休暇中だが普段はこの大型客船『Queen of the Seas』のキャプテンを務めている。
柔らかな微笑みは見る者を思わずうっとりさせてしまう程に魅力的だが、中身はマフィアだ。その肉体には無駄なものなど一切ない。ついでに言うなら、トラブルが起きると面倒が嫌いなのでさっさと相手を始末してしまうという、実に恐ろしい性格をしている。
さて、いったいこの男が何故乗客であるかと言えば、何を隠そう恋人もとい”旦那様”との優雅な世界一周の新婚旅行を愉しむためである。
辰巳一意たつみかずおき三十八歳。身長、百八十八センチ。体重、七十二キロ。国籍は日本。
黒髪に黒く深い闇を湛えた瞳は日本人独特のものだが、その体躯は日本人離れしたもので、惚れ惚れする程に美しい筋肉を纏っている。
ヤクザの跡取り息子であり、本人もその家業に身を置いている事もあって些か強面である事は否定しないが、その容貌はとても整ったものだった。性格はそう荒くないが、マフィアを嫁扱いする為にそのボスを脅す程度には肝が据わった男である。
そう。何を隠さずともこの二人はヤクザとマフィア。しかもどちらも次期後継者という、大変恐ろしく頗る危険な新婚さんなのである。
そんな二人がこの『Queen of the Seas』で宿泊している部屋は、この船でも最上級のグレードを誇る船室だった。それは広さ、設備共に、ホテルのスイートルームに匹敵する。もちろん、サービスも。
二人が宿泊する船室には、つい今しがたまでチーフオフィサーで今回キャプテンを務めているマイケル《Michael》の姿があった。こういった大型客船になると、上客にはキャプテン自らが挨拶に訪れる事も稀にあるが、だからという訳ではない。偶々、食事をしに出掛けようと辰巳がドアを開けたそこに、キャプテン・マイケルが立っていたのである。しかも、どこか悩ましい様子で。
フレデリックにとってマイケルは弟のような存在だった。船乗りたちは船を”家”と呼び、クルーを”家族”と呼ぶ。その中でもチーフオフィサーであり次期キャプテンのマイケルは、フレデリックにとってとても大切で可愛い弟だ。
このクルーズが終わって幾月もしないうちに、フレデリックはこの『Queen of the Seas』を降りる。そして辰巳の元へと”嫁ぐ”予定だ。そのため、ナーバスになっているマイケルを放置しては置けないフレデリックである。
悩みを聞き、励ましてやるのも兄の仕事とばかりに部屋に引っ張り込んであっという間にマイケルの調子を取り戻させた。…のは、フレデリックではなく実は辰巳の言葉であった。だが、そんな事はどうでもいいのである。
ともかく、マイケルは晴れ晴れとした表情でこの部屋を去って行ったという結果が重要なのだ。
一仕事終えたとばかりにフレデリックは、頼んだルームサービスが届けられるまでのひと時を定位置である辰巳の隣で過ごしていた。
フレデリックの定位置は、常に辰巳の左側である。それは辰巳が右利きであるからに他ならない。緊急時に、辰巳は必ず右手で銃を抜く。その邪魔にならないためにフレデリックは常に左側にいるのである。フレデリックは左右どちらの手でも扱えるからだ。
常日頃から些細な事に気を配り、旦那様をサポートする良き妻であろうとフレデリックは心がけているのである。まあ、時折暴走したり屈折したりはするのだが…。
とは言え、先にも記載の通り、この夫婦は嫁の方が躰が大きい。フレデリックは稀に大型犬のように辰巳に飛びついては押し潰してしまう事もしばしばある。甘えるにしても旦那の方は気分屋なので”稀によく”顔を顰められる事もある。夫婦生活というのはなかなかに大変なものだと、そう思うフレデリックなのだ。
そしてフレデリックには、何としてでも叶えたい野望がある。それは旦那様である辰巳を骨抜きにし、自分がいなくては生きていけない躰にするという壮大なる野望だ。つまりは歪んでいる。とてもとても歪んでいる。
それはもう溺愛というレベルを遥かに超えて、独占欲と執着心の塊のようなものだ。
辰巳が一歩間違えて怪我でもしようものならば、相手を絶対に許さないと豪語するのは当然の事。それは時として旦那である辰巳自身にも向けられる程にフレデリックは辰巳を愛している。
とは言え、辰巳ももう慣れていた。何せこの二人はそろそろ十二年の付き合いになるのだ。もっと言えば、この半年近く、辰巳とフレデリックは殆どの時間を共に過ごしているのである。慣れない筈がない。
そもそも辰巳自身、やくざの跡取り息子として生まれてからこれまで、身の回りの世話を誰かに焼かせるのには慣れている。むしろ世話役がいない生活などまっぴら御免だと言い放つ男なのだ。
かくしてこの二人は夫婦のような関係にある。そのためにフレデリックの養父であるマフィアのボス、アドルフを脅し、辰巳はフレデリックを攫ってきた。つまりはどちらも似たようなものなのだ。
人様から忌み嫌われるのには慣れている。元より他人の目など気にもしない。この二人は自分たちさえ幸せになれればそれでいいのだ。
旦那様命のフレデリックと、嫁が何よりも可愛い辰巳である。この二人は互いを信頼し合っている。そして互いを知り尽くしていた。心も、躰も。
街ひとつを全て移植したような規模と設備を誇り、最高のもてなしをするクルーやスタッフ、それに物腰柔らかで優雅と評判のキャプテンをはじめ、常に冷静沈着なチーフオフィサー、一流のカジノディーラーなどなど。この船のクルーは見目も麗しく大変優秀な人材を取り揃えていた。
だがその実、船を所有する会社の大元は何を隠そうマフィアである。ついでに言うならセキュリティースタッフもすべてが息のかかった人間だ。もっと言うならキャプテン自身がマフィアの次期後継者という、非常に危険な船である。
もちろん、危険地帯(一部の人間)を除けば他のクルーたちは”一般”の、大変優秀な人材たちではあるのだが。
しかしご安心頂きたい。今回のクルーズは『Queen of the Seas』を所有する会社の創設を記念した特別なもので、たいへん真面目でクルーからの信頼も厚いマイケルというチーフオフィサーが代理でキャプテンを務めている。
正規のキャプテンはいったいどこへ行ってしまったのかと言えば、もちろんこの船に乗っていた。但し、乗客として。
フレデリック《Frederic》略称はフレッド、三十八歳。身長、百九十一センチ。体重、七十七キロ。国籍はフランス。
金糸の髪と碧い瞳は天然のもので、現在休暇中だが普段はこの大型客船『Queen of the Seas』のキャプテンを務めている。
柔らかな微笑みは見る者を思わずうっとりさせてしまう程に魅力的だが、中身はマフィアだ。その肉体には無駄なものなど一切ない。ついでに言うなら、トラブルが起きると面倒が嫌いなのでさっさと相手を始末してしまうという、実に恐ろしい性格をしている。
さて、いったいこの男が何故乗客であるかと言えば、何を隠そう恋人もとい”旦那様”との優雅な世界一周の新婚旅行を愉しむためである。
辰巳一意たつみかずおき三十八歳。身長、百八十八センチ。体重、七十二キロ。国籍は日本。
黒髪に黒く深い闇を湛えた瞳は日本人独特のものだが、その体躯は日本人離れしたもので、惚れ惚れする程に美しい筋肉を纏っている。
ヤクザの跡取り息子であり、本人もその家業に身を置いている事もあって些か強面である事は否定しないが、その容貌はとても整ったものだった。性格はそう荒くないが、マフィアを嫁扱いする為にそのボスを脅す程度には肝が据わった男である。
そう。何を隠さずともこの二人はヤクザとマフィア。しかもどちらも次期後継者という、大変恐ろしく頗る危険な新婚さんなのである。
そんな二人がこの『Queen of the Seas』で宿泊している部屋は、この船でも最上級のグレードを誇る船室だった。それは広さ、設備共に、ホテルのスイートルームに匹敵する。もちろん、サービスも。
二人が宿泊する船室には、つい今しがたまでチーフオフィサーで今回キャプテンを務めているマイケル《Michael》の姿があった。こういった大型客船になると、上客にはキャプテン自らが挨拶に訪れる事も稀にあるが、だからという訳ではない。偶々、食事をしに出掛けようと辰巳がドアを開けたそこに、キャプテン・マイケルが立っていたのである。しかも、どこか悩ましい様子で。
フレデリックにとってマイケルは弟のような存在だった。船乗りたちは船を”家”と呼び、クルーを”家族”と呼ぶ。その中でもチーフオフィサーであり次期キャプテンのマイケルは、フレデリックにとってとても大切で可愛い弟だ。
このクルーズが終わって幾月もしないうちに、フレデリックはこの『Queen of the Seas』を降りる。そして辰巳の元へと”嫁ぐ”予定だ。そのため、ナーバスになっているマイケルを放置しては置けないフレデリックである。
悩みを聞き、励ましてやるのも兄の仕事とばかりに部屋に引っ張り込んであっという間にマイケルの調子を取り戻させた。…のは、フレデリックではなく実は辰巳の言葉であった。だが、そんな事はどうでもいいのである。
ともかく、マイケルは晴れ晴れとした表情でこの部屋を去って行ったという結果が重要なのだ。
一仕事終えたとばかりにフレデリックは、頼んだルームサービスが届けられるまでのひと時を定位置である辰巳の隣で過ごしていた。
フレデリックの定位置は、常に辰巳の左側である。それは辰巳が右利きであるからに他ならない。緊急時に、辰巳は必ず右手で銃を抜く。その邪魔にならないためにフレデリックは常に左側にいるのである。フレデリックは左右どちらの手でも扱えるからだ。
常日頃から些細な事に気を配り、旦那様をサポートする良き妻であろうとフレデリックは心がけているのである。まあ、時折暴走したり屈折したりはするのだが…。
とは言え、先にも記載の通り、この夫婦は嫁の方が躰が大きい。フレデリックは稀に大型犬のように辰巳に飛びついては押し潰してしまう事もしばしばある。甘えるにしても旦那の方は気分屋なので”稀によく”顔を顰められる事もある。夫婦生活というのはなかなかに大変なものだと、そう思うフレデリックなのだ。
そしてフレデリックには、何としてでも叶えたい野望がある。それは旦那様である辰巳を骨抜きにし、自分がいなくては生きていけない躰にするという壮大なる野望だ。つまりは歪んでいる。とてもとても歪んでいる。
それはもう溺愛というレベルを遥かに超えて、独占欲と執着心の塊のようなものだ。
辰巳が一歩間違えて怪我でもしようものならば、相手を絶対に許さないと豪語するのは当然の事。それは時として旦那である辰巳自身にも向けられる程にフレデリックは辰巳を愛している。
とは言え、辰巳ももう慣れていた。何せこの二人はそろそろ十二年の付き合いになるのだ。もっと言えば、この半年近く、辰巳とフレデリックは殆どの時間を共に過ごしているのである。慣れない筈がない。
そもそも辰巳自身、やくざの跡取り息子として生まれてからこれまで、身の回りの世話を誰かに焼かせるのには慣れている。むしろ世話役がいない生活などまっぴら御免だと言い放つ男なのだ。
かくしてこの二人は夫婦のような関係にある。そのためにフレデリックの養父であるマフィアのボス、アドルフを脅し、辰巳はフレデリックを攫ってきた。つまりはどちらも似たようなものなのだ。
人様から忌み嫌われるのには慣れている。元より他人の目など気にもしない。この二人は自分たちさえ幸せになれればそれでいいのだ。
旦那様命のフレデリックと、嫁が何よりも可愛い辰巳である。この二人は互いを信頼し合っている。そして互いを知り尽くしていた。心も、躰も。
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