昨年10月に友人と協同制作で吹奏楽の定期演奏会を
YouTubeでLive配信しました
春以降にウイルスさんの影響で配信を初めて
行われた方も多かったのではないかと思います。
筆者も昨年初めて挑戦しました。
本格的なYouTube配信(以後配信)音楽物では初めてとなりました。
筆者は1月・2月にウイルスさんとは関係なく元々予定していた
セミナー系で長時間のLive配信をしていました。
この時に大まかな仕様や流れとスイッチングや音声関係を
把握していましたので全くの一からスタートでは無かったのですが
セミナー時は安定した高速光回線快適仕様だったのと
会場キャパの違いがあったりとで一見簡単そう… では無く
意外と準備にノウハウとで色々ありました。
今回は吹奏楽の定期演奏会で8月下旬から依頼を
頂いて1ヶ月程の準備期間がありました。
その間に各地で行われる音楽物・演奏会物の配信を
毎週末参考に見ていました。
(純粋に演奏会視聴と普段見れない他所の技量が分かって面白かったです)
中にはスタジオカメラ3~5台カメラ体制なのに回線ダウンで途中終了や
回線乱れたり複数台スイッチングで予算ありそうなのに回線体制が
酷い所がちらほらありました。まさかの予備回線も無い感じ…
そこで私達の目標は、配信を安定し高音質で最後まで
放送のノウハウを生かしてー
お届けする事を目標として準備しました
■体制
先ずは予算ですが、業界最安の10万円で対応(回線料込)
スタッフは3名で行いました。
・筆者(1カメ・スイッチング・メインチャンネル配信・管理)
・友人CEO(2カメ&サブチャンネル配信・管理)
・CEO友人(音声・OA監視)
撮影系技術は実質2名です。
前日からのセットアップとテスト作業しています。
何だかんだでセットアップだけで3時間コースでした。
私は会場ホールまで3時間程度車でかかるところなのでー
久々のお泊りまでしました☆
プロジェクトチームとして3人で共同制作しましたのでー
既に金額は業界最安値ですね(笑)
■回線
配信を行う上でもっとも重要です。
光回線が来ていれば、当然光ですが残念ながらホールには
貸し出し用の光は常設されていませんでした。
あってもCATV低速回線の可能性が高そうでしたし
ホール内のLANコンセントは無さそうでした。
今回は、東京のレンタル機材屋さんよりNECのモバイルルーター&上り専用SIMの
セットを2台お借りました。2週程前には、1台テスト用にお借りして事前回線テストも
行いました。事前に配信現場での回線環境の確認が重要となります。
また、何だかの不具合でSIMが届かないと言った事が、無いように前日では無く
本番2日前に届くよう余裕を持ったレンタル日数にしました。
準備期間中に各地のPro配信を見ているとフルHDでがんばって
配信落ちなどしているケースが、多かったのでー
720pでのOAとしました。
(光以外では720pが安全です。最悪はSDでもありだと思います。)
スマートフォンでデザリングでもしたら良いかと思いがちですが
各キャリアのノーマルSIMでは、UPし続けると上り制限がかかる可能性が
あるため、お勧めはできないです。30分~60分程度なら可能かもしれませんが
テストタイムなどを考えたら現実的では無いと思います。
今回は予算も前出のように地域最安値制作ですので、テレビ中継と某生放送で定番の
LiveUは使用してません。田舎なので上り専用SIMで行けると想定した判断です。
ちなみに筆者の経験上はLiveUが絶対かと言ったらそうではありません。
クラアントさんには、配信の特性上絶対は無いと言った説明も重要かと思います。
今回のクライアントさんも理解された上でした。
ただ我々制作技術スタッフも最善を尽くして対応しました。
回線は3回線にて対応しました。(2回線は上り専用SIMレンタル)
・docomo SIM(メイン回線用)
・Softbank SIM(予備&OA確認用)
・au Speed Wi-Fi HOME(サブ回線用・友人所有)
SIM回線はホール内配信ベースから15~20mのLANケーブルを
3線引き電波状態の良いロビーへ設置しました。
■機材関連
PCは全てノートパソコンで3台を使用しました。
PC周りだけでも中々の機材となります。
●PC
・TOSHIBA i7-6コア(メインチャンネル)
・Apple MacBook Pro i7(サブチャンネル)
・ASUS i5(OA監視)
・Mouse Computer(予備)
・DELL PCモニター 27インチ(スイッチングマルチ画面用)
・I-O DATA GV-HUVC(2個・HDMIキャプチャーデバイス)
・中華製 HDMIキャプチャーデバイス(サブチャンネル用)
・ELECOM テンキー(スイッチング用)
・BUFFALO WZR-HP-G301NH 無線ルーター(スマートフォンOA確認用&予備ハブ)
・BUFFALO スイッチングハブ
●カメラ
・SONY HXR-NX5R 2台(メインチャンネル)
・SONY HDR-AX2000(サブチャンネル)
・SONY HDR-CX720V(完パケ編集する場合用の固定カメラ)
・Vinten三脚 3本 など
●音声
・AKG 214 2本(メインマイク・ステレオ収録)
・SONY ガンマイク(サブチャンネル用・ステレオ収録)
・Solid State Logic SiX 高級ミキサー(音声さま所有品・コンプが素晴らしいです)
●機材&回線プラン
※一部変更した機材もあります ↑
その他まだまだ小物系もありますが大量機材まつりとなります。
ちなみにレンタルSIM以外の機材は3人の持ち寄りものです。
田舎なのでー必要な物をレンタルなんて言う訳にはいかなかったりします。
このご時世不特定多数の使用された機材も怖いですし…
慣れた機材が一番だったりします。
まぁ機材好きなんですけどね(笑)
■配信仕様・本番
配信エンコードには定番のアプリケーションソフトOBSを使用しました。
無料なのに中々色々な事ができます。
2・3カメでしたらブラックマジックのスイッチャーは不要だったりします。
OBS自体でテロップ出し・VTR出し・スイッチングができます。
カメラ入力は「I-O DATA GV-HUVC」を2個使用してHDMIからUSB3.0で
OBSへINできます。マルチビューもあってー楽しいです!
当初、黒魔術さんを導入かレンタルも考えましたが、
私のやりたい事は十分できました。
安定した映像をお届けするために映像ビットレートは2500kps
映像サイズ1280x720の安全仕様で配信しました。
当日の回線速度は思いのほか安定していて
上り10Mbps~20Mbps出ていました
YouTubeチャンネルはメインとサブの2チャンネルを用意して
どちらかが全く見られない状態になっても最低限見られるように
対策しました。メインでスイッチングありサブでロング固定(AX2000)の
安全な体制です。マイクロ予備回線などがある大型テレビ中継を参考にしました。
テロップ出しは10枚くらいまでなら比較的スムーズに出せるかと思います。
Photoshopで作成しPSDフォーマット(Photoshop形式)で
OBSに入力が可能です。(PNG・JPGも可)
・開演までしばらくお待ちください
・サイドテロップ(14時開演みたいなぁ)
・OPメインタイトル など表示
大量でなければOBS出しで十分かと思います。
ちょと順に表示する手順が難しいのでー
テロップ出しモードみたいな機能が欲しいですねー
配信スタートは、当初15分前くらいからと想定していましたが、当日安心と安定を
優先して1時間前からストリーミングを開始しました。
2019年の演奏会ダイジェストV(15分)を、開演5分前まで繰り返して再生しました。
OBSにVのリピート機能まであります。早くからOAを開始することによって
回線の状況とOA確認ができるため、ストリーミングキーを入れて
送出開始が緊張の一瞬です
チャンネル本線に乗ってOA開始されると安心感が生まれます(笑)
OBS スイッチングは、テンキーで「①キー CAM-1」「②キー CAM-2」の
ショートカットキー設定をしました。ノートのキーボードですと
押しにくいのと遠くなるのでテンキーが、おススメです。
マルチビューまで表示可能なため、Proの気分を手軽に味わえます(笑)
良くできたアプリケーションです。
テンキーに割り当てることによって、OBSがスイッチャーになってしまいます。
OBSでアーカイブ収録(MP4)をしましたが、OBSから本線信号をHDMIで出せれたら
最高なんですが、仕様上できませんね…
このOA収録だけはスイッチャー機器なしではー
課題かと思いました。
本番は、私がCAM-1でスイッチングしながら撮影・友人CEOがCAM-2&サブチャンネルを
担当しワンカメショーでも行ける素晴らしいワークレベルでの撮影をしていただいてたので
私が時折UPで割り込んだりロングやミドルを作りながら左手テンキー
右手パーン棒&Libecズームリモコンで撮影しました。
Vinten三脚ですとカウンターバランス100%なのでー
片手オペレーションでもそこそこ撮影できます(笑)
■まとめ
大きなトラブルも無く本番は3時間半にわたって無事に配信できました
YouTubeの解析ログを見ると本番中は300名前後の方々に視聴していただいたようです。
アーカイブも終了後から期間限定で1ヶ月程度公開していましたが、再生数は1万3000回程度と
想像よりも多くの皆様に再生していただきました
2カメスイッチングでしたが、結果的には十分なクオリティーでした。
ワークが良ければ十分見れます。安定した回線とまずもって音声が高音質であればー
良いわけです。高級機で撮影しても出なければ全く持って意味が無いので…
この程度の再生数で凄いの?なんて思われそうですが、地方の学校です都会開催とは元々の
キャパが違います。ちなみに私が知る限り田舎エリア内の周辺学校で演奏会を本格的な体制で
全体公開しYouTube配信をしている所は無さそうでした。
まあ多分、周辺会社なら20万円からスタートのようなのでー
予算的に断念されるでしょうね… (音声収録費別料金の数万円+とかぼったくり系も)
勿論、YouTubeのサムネイル作りも大手さんレベルのデザインで採算度外視制作しました。
無料です(笑) はい。楽しいのでーはりきってデザイナーごっこしました。
筆者の場合、ローカル局で少しですがテレビのSNG中継や全中・某生放送の経験が
あったため放送のノウハウが大分役立ちました
また、完璧に手軽とは言いませんが、小規模な体制で生配信できる時代が来たのも
ある意味すごいなって改めて実感しました。
YouTube配信をやる事はある意味テレビ中継ごっこですね(笑)
音楽物での生配信は初の試みでしたのでー
テストや準備などはとても大変でしたが、終わってからは達成感が
あってーとても楽しかったです