ふるさと納税で、 焼き畑オーナー?: 森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ (cocolog-nifty.com)
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2023/12/19
ふるさと納税で、 焼き畑オーナー?
私は、ふるさと納税というのが大嫌いで、これこそ愚策日本人の精神を砕く天下の愚策と思っている。
だいたい他自治体の税金の分捕り合戦というのが腹立つ。それも餌のような返礼品をぶら下げて。本当の故郷か、その自治体に何らかの縁があって支援したい、場合によっては災害復旧とか何か素敵なプロジェクトのために寄付するのならわかるが、まったく知らない自治体の返礼品をカタログから見つけて「納税」するなんて……返礼品で税金をもてあそび心を卑しくするのが目的か。政策も堕ちるところまで堕ちるか、と思わせる。
また募集する自治体も、納税額の3割ほどを返礼品にかけ、さらに納税サイトを運営する企業にまで金をかすめ取られるのだ。税金を中抜きするようなものである。何も自ら生み出さず、他所の税金かすめ取るのが仕事だと思っている役人のバカさ加減よ。
とまあ、ふるさと納税の悪口を言い出したら止まらないのだが。
こんな「返礼品」を見つけた。
ようするに宮崎県椎葉村で、ふるさと納税の返礼品として焼き畑オーナーになれるというものだ。
椎葉村は、焼き畑を今も行っていることで知られるが、その応援の意味があるらしい。
ちなみに、私は30年ぐらい前に村を訪れたことがある。焼き畑を見るために。大変だったわ。日向市までは船で行き、そこからバスの予定が、台風で道が崩れていてバスは途中までと、奥のコースに分断されているという。間は林道を使う。ならばレンタカーをと考えたが、知らない人には通れないと言われ、結局、分断部分を地元のタクシーでつなぎ、ようやくたどり着いたら、そこからまた焼き畑現場までタクシー……。
着いたら、もう火入れは終わっていたのであった……(泣)。
とまあ、これほどの思い出を持っているなら、ふるさと納税も悪くないかな。火入れはさせてくれるのか。山に火を付けたい! この欲望をかなえられるなら……。
でも、納税しないけど(笑)。くだらん政策の後押しはしたくない。
ちなみに私が椎葉の焼き畑に興味を持ったのは、焼き畑が林業の始まりだから。焼いて数年間は作物を育てるが、その後に木の苗を植えて役30年間放置する。すると森がもどる。それを伐採するのが林業だったのだ。それを確認するためであった。
取材陣も来ていたな。マスコミというより研究者だったと思うが。