初めて見たオーロラはとても美しかった
10年前 まだ今ほどオーロラブームでは無かった頃ですが
友達3人でカナダ・イエローナイフへオーロラの撮影に行きました
リーダーのMさん(女性)は毎年行く程のマニアです
バンクーバーからイエローナイフへ着いたのはPM10時頃
空港で白熊さんがお出迎え
昼間は色々な所を見物 この写真は博物館でMさんと一緒に記念撮影
左の赤い手袋が私です
空港から車でホテルへ行く 部屋に入るとベッドの上に、
レンタルしていたイヌイットの毛皮のコートとブーツ・手袋が置かれていた
一休みする暇も無く 直ぐに着替えホテルの車でポイント近くの建物前まで行く
(乗っていたのは私たちを含めて5人)
眉毛もまつ毛も一瞬でバリバリに凍ります
ここには休憩の為か避難の為か暖かいシチューが用意されていました
Mさんに付いて湖近くのポイントまで歩きます
夜の森は気温-30度 真っ暗です 雪の白と黒い森
空にはゆらゆらたなびくオーロラが出ては消え消えてはまた現れる
とても幻想的です
湖の側に三脚を立て カメラザックからカメラを出してセットするのですが
寒いしイヌイットの毛皮の手袋ではなかなか手間取ります
オーロラが出ました
カメラはBULBに設定し20秒でシャッターを切る
出国前の数日間この「20秒」を時計を見ながらキッチリ計って
感覚を忘れないように!
Mさんから言われていましたので 何日も練習しました
でも初めの内はキッチリ数えているのですが15秒位から速度が速くなるのです
3人で爆笑しながら撮っていました
生まれたてのオーロラは色も濃くクッキリしています
ゆるゆると形を変えながらたなびく様はとても美しいです
撮影では無くオーロラを見に来た人は
夜オーロラを見て昼間は自由行動らしく一日寝ていると言っていました。
私達3人は夜は撮影 昼間は犬ぞりに乗ったり博物館へ行ったりと
寝る間がありません 睡眠はせいぜい2~3時間のハードなものです
犬ぞりはとてもスピードが速くオープンカーに乗っている感じ・・真冬なのに^^
素敵な女性が犬の世話をしていました
3日目 ツー客がワイワイ賑やかにやってきました
日本人です (このころは今ほどオーロラツアーは無かったような気がします)
わ~綺麗! 素敵~!
寝転がって見たら美しいわよ! 天の川が綺麗ね~!
星に手が届きそう~!・・10分程賑やかでしたが、
添乗員さんが そろそろ次のポイントへ移動します
「ここから直ぐですので皆さん頑張ってください」
そう言って移動していきます
折角来たのに毎日同じポイントよりも
近くならちょっと行ってくるゎ!!
そう言いって私一人でツアー客に付いて行きました
背後でMさんが「ここが一番よ~」・・と言うのを聞きながら。
これが後で大変な思いをすることになったのです
5分程直線に歩いた感じでした
ツアー客は10分も経たない内に寒い寒いと言いながら帰って行きました
さー大変です
真っ暗闇の森の中で一人取り残された私・・当然の結果ですが。
一瞬焦りましたがここでパニックになったらお終いだ。
気を取り直してカメラザックを背負い
カメラをセットしたままの三脚を肩に歩き始めました
直ぐ近くだったはずなのに 歩いても歩いても元の湖の所へ着きません
-30度の夜の森 物音一つしないのが返って不気味です
黒い木の間に見事なオーロラが現れます
目だけ出してひたすら歩く私
初めの内はどうしよう・・と思いましたが
一時間も歩いていると 不思議な程に無心になるのです
真っ暗な森の中はシンと静まり返り
雪を踏みしめる私の足音だけがザクザクと聞こえます
季節の良い時でもカナダの森に入ったら生死を分ける程なのに・・
形を変えていくオーロラ
ただひたすら歩いていた
どれ程歩いただろうか
「私はここで終わるのだ・・」 「それも良いかな・・」
そう思いました
もう一度「オーーイ!」と声を出した。
すると何処からか「○○さ~ん」とMさんの声がした
・・・ 「生かされた」・・・ そう思いました
「助かった」とか 「良かった」とかは
微塵も思わ無かったのが 不思議な程です
今思うと そんなことを思う余裕も無かったのかもしれません
ホテルに帰ったら午前3時前でした
ドッと疲れが出てコートを脱いでベッドに横になったとたん
隣室がガヤガヤ賑やかになり、煩いなー!
と思っていたらその声はどんどん大きくなり
廊下をホテルマンがバタバタ走ります
ベッドから降りたとたん足元にジワ~と水が・・
廊下に出たら何と隣室からモクモク煙が出ている
ホテルマンが私にOKOKと頭の上で手で○を作ります
何処がOKなのよ
避難指示ではなくオッケーだなんて・・
そう思いながら今度は隣室まで見に行きましたら、沈下していましたが
避難指示が出たらまた-30度の世界へ出て行く気力はありません
持参したポットでお湯を沸かしおかゆを作って食べました
「美味しい~!」こんなに美味しいおかゆと梅干は初めてです
余りにも美味しかったのでもう一袋作っていたら
MさんからTELあり「○○さ~ん 私の部屋水浸しやねん(大阪弁です)」
○○さんのとこはどう??
「私も絨毯に水がきてるよ」と言うと
Mさんが「私これから部屋変るねけど ○○さんどうすんの?!」
「疲れたしここで良いわ・・」
Mさんが 「今何してんの?」
私「おかゆ作って食べてるのよ 美味しいからお変わり作っている所よ」
そう言ったら
「信じられへん~ 隣室から火が出てるのに!」
ガチャと電話が切れた
おかゆを食べてやっと元気が出たので避難指示は無いけどフロントへ行ったら
何と宿泊客でごった返していました
Mさんが大勢の前で「○○さんな~この非常時におかゆ食べてんのよ!」
と言うのです
殆んど外国の方ですが日本人は例のツアー客だけ
何はともあれ 遭難も火災も無事に切り抜け
今、私は「生かされています」
その日はもう寝る暇も無く、朝食をとりにレストランまで出かけました
ホテルでも食事は出るのですが
Mさん曰く「美味しくない」と言う事でレストランへ行きます
その後 散策です
気温が低いのでバッテリーが上がらないように車は常に充電中です
ライチョウが警戒心も無く普通に歩いていましたが
近づいたら木の上に飛んで行き 見下ろします
今頃Mさんはカナダ北極海でオーロラに魅せられているころです
・・私は10年も前のことを思い出してブログに書いています
最近少しでも疲れると「しんど~~」とか疲れた・・とか思うのですが
冬のカナダの森をさ迷った時のことを思い出すと
何という事も無いですね
今、生きているのではなく 「生かされている」ことを忘れずに
日々過ごしていきたいと思います
今日は長いブログになってしまいました
ご訪問ありがとうございます