道路は国防上の観点で考えられるべき!

宮崎正弘
今週の書棚

山崎養世『道路問題を解く』(ダイヤモンド社)

過日、或る大企業幹部と懇談の機会があった。浙江省の杭州に敷地を一万坪用意したが、木更津より土地代が高かった、とぼやく。
 ――それなら、なぜ中国くんだりまで進出し続けるのですか?
 たとい労賃が安いと言っても、それよりコスト高になる、不条理な課税、山猫ストライキ、挙げ句は法外な賄賂。
 そこで山崎氏の東京湾アクアライン無料化構想を思い出して相手に喋ると、ぽかんとしていた。発想の貧弱なことよ!

・・・・
さはさりながら、本書が触れていない本質的ポイントがある。
 道路を民営化とか、税率とか、効率とかでのみ、論じても意味がないことである。
 なぜなら道路とは本来、ローマ帝国がそうであったように軍事戦略が基本である。韓国や台湾のような國でさえ高速道路の一部は滑走路に転用できる。戦車が疾駆しても耐えられる設計と角度も考慮されている。
 日本の道路は熊のほうがクルマの交通量より多い場所に造る必要はないという理論でしか論じられておらず、きわめて危険である。
そもそも道路は国防上の観点で考えられるべきであり、しかも道路が民営化されることは国防上、あり得ない
 その意味で猪瀬直樹氏らの公団とか民営化議論は基本が間違い。
山崎さんの本書もこの点で踏み込みが足りない点に評者(宮崎)の不満が残った
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