亀井静香 ものがたり

AERA
鳩を悩ますスッポンの乱

「昔と全然変わっていない」
 警察庁の先輩、佐々淳行元内閣安全保障室長(78)は、しみじみ振り返った。
 若き日の亀井氏が警察庁から埼玉県警捜査2課長に出向中に、事件は起きた。県内の居酒屋にいた亀井氏は、近くの客がヤクザ風の男3人に絡まれているのを目にし、黙っていられなくなった。亀井氏は合気道6段。割って入って、3人をたたきのめした。店内は騒然。パトカーが出動する騒ぎになった。
「次にまたどんな騒ぎを起こすかわからない」
 処分を話し合う警察庁幹部の間では退官させるべしとの強硬論も強かった。そんな中、敢然とかばったのが、佐々氏だった。
「はじめから、激しい性格だとわかって採用したんでしょう。こいつは、いつか乱世で役に立つ時がくる」
 乱世はきた。1995年の阪神大震災だ。退官してボランティア団体の責任者を務めていた佐々氏のもとに、旧知の米国最大のボランティア団体幹部から連絡が入った。救急医療チームと救援物資を被災地に急派したいのだが、官邸も外務省も「関西空港は閉鎖中で、着陸は認めない」と、頑なで困っているとの趣旨だった。

乱世でいきる突破力

 佐々氏が当時運輸相の亀井氏に事情を説明すると、亀井氏は即答した。
「承知しました。先輩!」
 救援機は滞りなく、関空に舞い降りた。海上保安庁の巡視船やヘリコプターまで用意されていた。
「普通の大臣だったら、たとえ先輩の頼み事でも『ちょっと検討させてください』と言うよ。だけど、あいつはその場で受けてしまう。突破力はある」
 郵政民営化反対で、亀井氏と共同歩調を取っていた荒井広幸参院議員(51)も、
「亀井先生は、意気に感じるタイプ。だから中小企業を守るためには、ああいう発言もできるのでしょう」
 と言い、国民新党結成の経緯を明かした。
 郵政法案に反対した議員に刺客が送られていた4年前、郵政造反組の荒井、亀井静香、綿貫民輔、亀井久興各氏らが集まった。選挙に強くない久興氏は、
「お願いだから新党を作ってくれ。小選挙区で負けたら無所属では比例復活できない」
 と必死に訴えたが、みな黙っていた。静香氏が沈黙を破った。
「よしわかった。俺はあす亀井派の会長を辞めてくる」
 そして綿貫氏に向き合い、頭を下げた。
「お願いですから、党をつくってください」
 久興氏は感動で顔を真っ赤にしていたという。

閣内外で噴出した批判

 浪花節なところは何ともカッコいい。しかし、肝心のモラトリアムの評判は別だ。
・・・・・
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