7割のアリは何もせず養ってもらっているが、彼らが居ないと集団は滅びる


アリ社会の教訓

10年ほど前に『働かないアリに意義がある』という本が出版され、一部で少し話題になりました。

内容は働き者とされるアリの7割は実は何もしておらず、3割のアリに養ってもらっている。

だが働き者アリは水害や外敵にやられる事があり、養ってくれるアリが居なくなると怠けアリも働き始めます。

この時もし全員が同じように働き者だったとしたら、一度の災害や危機で集団は全滅してしまいます。

怠けアリはいわば予備のアリで、なるべくカロリーを消費しないために巣の中でぶらぶらゴロゴロ休んでいます。

集団の全員が働き者で同じ行動をすると、一度の危機で全滅しかねないというのを日本人は第二次大戦で一度経験しています。


旧日本は国民全員を働き者にしようとし、一丸となって努力すればものすごい成果を出せるのを証明しました。

おかげで日本は欧米以外で唯一の先進国になり、5大国のひとつにまでなったが全員が均質になったため危機には弱くなった。

「わたしは戦争に反対です」「自分さえ良ければ良いので国に協力しない」「家でテレビゲームしてた方が良い」という人は戦前は刑務所に入れられました。


働き者の人からすると彼らは害悪にしか見えないが、集団がバラバラであるほど一度の危機で全員がしぬリスクは低下します。

遺伝子というのもそうでハゲとか毛むくじゃら、ブサメンや短足というのも存在理由があって存在しています。

髪の毛の病気が蔓延してもハゲは生き残るし、全身毛むくじゃらは氷河期に生き残り、短足胴長は寒冷地では有利かも知れません。


社会には不要な人が一定数必要

今はIT社会でITに弱い人は無能よばわりされますが、昭和の時代は製造業の全盛期でした。

コンピュータなど弄っていると「怠けてないで働け」と言われた筈で、工場で機械を操作するのが重要とされていました。

日本中で工場労働者を大量に育成したが、そうした人たちは今失業者になったり、自分の能力を生かせる場がなくなっている。


その前は力仕事と農業の時代で国民の9割が農民、国を挙げて農民を育てて食糧増産に励んでいました。

林業がすごく儲かった時代もあり、森の中の廃村になっている村は江戸時代には栄えていた時期もあった筈でした。

すると今は「ITが有能で他は無能」みたいになっているが、次の時代には「ITエンジニアは無能の代表」になっている可能性が高い。


農業とか林業とか自動車工場とかITエンジニアとか、国は今必要な人材を大量に育成しようとします。

だが需要に対して供給が上回ると人材不足から人余りにあり、途端に国は「不要な人材」扱いをします。

結局のところ人間社会にも不要な人間が必要で、IT社会だから国民全員をITエンジニアにするような国は、旧日本軍みたいな最後を遂げるでしょう。