冷戦が終わりアメリカが日本を繁栄させておく必要はなくなった

株式日記と経済展望  

中野剛志

冷戦が終わりアメリカが日本を繁栄させておく必要はなくなった

・・・国際政治学の「理想主義」と「現実主義」・・・

「理想主義」というのは、「自由と民主主義という理想を掲げ、国際協調を 行ない、経済的には自由貿易を進めると国家は戦争をしなくなる」という見方です。グローバル化が平和につながるという考え方ですね。一方の「現実主義」の 論者たちは、「国家というのは自国の利益と安全保障を中心に考えるものである」とみる・・・イラク戦争がいい例です。アメリカ式の「民主化」をするために、戦争まで起こしてしまうのが理想主義なのです。アメリカはどこまでも自分たちの価値観に基づき、自分たちの定義する自由や民主主義を強大な「力」を背景に世界に押しつけてきた。

しかも、彼らはその理想主義がうまくいくはずだと楽観してしまうのだけれど、各国それぞれに価値観は違うから反発を招くのは必至です・・・

世界各地で秩序が維持できなくなり、あまりの負担の大きさに、アメリカは 「世界の警察官」から降りようとしています。つまり、アメリカの国益のために世界から撤退したいという現実主義的な外交戦略です。シリア内戦で19万人も の人々が死んでいても、ウクライナの問題が起こっても、オバマ政権が軍事介入を避けてきたのは現実主義への転換を図っていたからです・・・

民主主義国家では自由や人権など、理想主義的な価値観をアピールしないと有権者の支持を得られないのです。オバマ政権は、国民の支持をつなぎとめるために、理想主義をやめたくてもやめられない。

しかし、この先も理想主義を続ければ、アメリカの覇権の寿命がもたない。一方で現実主義を強めれば、国内でオバマ政権の寿命が縮まる。アメリカはそうしたジレンマに追い込まれている・・・

戦後の日本の繁栄は冷戦のおかげでした。米ソの対立のなかで、日本が共産化しないようにアメリカが自ら日本の安全を守り、経済に集中させて復興を支援し、貿易では自国の門戸まで開いて支えてきた。日本が繁栄できたのは当たり前です・・しかし、冷戦が終わりアメリカが日本を繁栄させておく必要はなくなった。さらに20年たった今、アメリカ一極覇権の時代すら終焉(しゅうえん)しつつある。

それなのに日本は今でも「日米同盟」と「自由貿易」という冷戦時代の方針にしがみついている。まさに「2周遅れ」の状態です。・・

世界は今、第2次世界大戦直前に匹敵する危機的な状況にあるのだということ。当然、日本が尖閣諸島の問題などで戦争に巻き込まれる可能性も十分にあるでしょう。そのときアメリカが必ず助けに来るかといえばそうではない。日本の繁栄を支えた「戦後」は、すでに終わっているのです・・・


アメリカの衰退にまで日本は御付き合いをする必要はない

 

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