失われた30年を失われた40年に延ばすだけか?
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画像引用:https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2020/09/292622.php 菅内閣発足、安倍政権の政策継承 規制改革・デジタル化に独自色 | ワールド | ニュース速報 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト



菅政権は「負の連鎖」を断ち切れるのか

安倍総理の辞任で菅官房長官が総理になり、新政権が発足して21年度予算要求が発表されました。

予算要求は総額105兆円超で過去最大規模、今後財務省が要求をカットするが、補正予算でまた増えるでしょう。

2020年はコロナ対策の補正予算で160兆円が追加されていて、実質的な予算は250兆円を上回っている。
 

マスコミと有識者と財務省は「財政規律が守られていない」と批判するでしょうが、この財政規律こそデフレ不況の根本原因でした。

日本の問題点は(世界と比べて)30年間実質マイナス成長、世界は年3%以上成長したのに日本は平均1%しか成長しませんでした。

言い換えると日本は30年間も「マイナス2%成長」を続けている訳で、これが続くと韓国どころかミャンマーにも追い抜かれるでしょう。


低成長の原因は誰もお金を使わないからで、日本のGDPが550兆円だとしたら、国中で550兆円を使って初めてゼロ成長です。

日本が年3%成長するには年17兆円ほど前年より多くお金を使う必要があります。

ところがバブル崩壊した1991年以降、日本人は消費しなくなり企業も設備投資せず国全体でお金を使わなくなった。


こんな時に政府は大規模公共事業を連発してお金を使うと、企業や国民もお金を使うようになります。

だが実際に日本政府がやったのは緊縮財政で、「民間がお金を使わず税収が減ったので、政府も倹約しよう」というものでした。

それだけでは飽き足らず政府は税収を補うために消費税を段階的に10%まで引き上げ、消費すると罰金を科せられる国を作りました。


30年不況は当たり前の事が起きただけ

これでもし消費や企業活動が活発になったら世界の奇跡ですが、やっぱり奇跡は起きませんでした。

倹約を掲げる総理が次々に登場しては新たな不況を作り出し、小泉政権や安倍政権も倹約を進めました。

ここでおかしいのは政府は倹約したのに予算は年々増えたことで、実は増えたのは高齢者の福祉予算だけです。


科学技術や公共事業や教育費まで大幅に減らして、老人の予算だけを増やした結果、財政赤字は拡大しました。

宇宙ロケットを飛ばしたりダムをつくると関係企業や労働者が納税し、何らかの経済効果も生まれます。

だが老人をいくら手厚く保護しても彼らは死んでいくだけで、後に何も残りません。
老人は納税しないし福祉団体や介護施設や医療機関は税金で優遇されているので、税収にもなりません。

こうして日本は財政赤字だけが膨らんで、世界と比べて年2%マイナス成長を続けています。

菅政権は公共事業費や宇宙予算などを拡大しようとしているが、安倍政権でも1年目だけ積極財政でした。


だが2年目以降は財務省に取り込まれて「財務省側の人間」になってしまい、悪夢の安倍時代を7年間続けました。

安倍政権の7年間より民主政権の3年間のほうが高成長率だったというオチで、1人当たりGDPで韓国に抜かれるのも時間の問題になりました。

この負の連鎖を断ち切るには倹約や財政均衡を捨てて、政府が積極策でお金を使うしかありません。

果たして菅総理は国民と国家の為に財務省と戦うのか、安倍総理のような「財務省の飼い犬」になるのかに注目です