日本には主要国の10分の1程度の一人当たり貯水量しかない。

経済コラムマガジン 09/10/26(590号)

八ッ場ダムの建設中止
八ッ場ダムを始めとした工事中のダムの建設を中止・凍結したことで、人々は前原大臣に喝采を送っている。とにかく日本ではダム建設が無駄な公共事業の代名詞になっている。「ダムはもういらない」ということが常識になっている。

しかし筆者は、人々がダム建設に嫌悪さえ感じているのは、長年のマスコミによる「反ダム」キャンペーンの影響が大きいと思っている。また田中康夫前長野県知事の「脱ダム宣言」なども影響している。たしかに最近では渇水の経験がないため(特に首都圏)、人々は水がいつでも手に入ると思い込んでいる。

しかし日本の川は急傾斜であり大きなダムの建設に向いていない。たしかに日本には2,000以上のダムがあるが、貯水量を全部たしても米国のフーバダム一個にも満たないのである。日本の一人当りのダムの貯水量は世界でも最低クラスである。

日本の首都圏の一人当たりのダム貯水量はわずか30立法メートルである。飲み水だけでなく、工業用水、農業用水などを全て含んでの話である。ちなみにボストン717、ソウル392、ニューヨーク285、台北118立法メートルとなっている。このように日本には主要国の10分の1程度の一人当たり貯水量しかない。

  • 第二の「偽メール事件」
    日本はアジアモンスーン地帯にあり降水量に幸い恵まれている。しかし近頃の気候の変調を見ていると、日本もいつ渇水に見舞われても不思議ではない。実際、日本は16年前の93年に大渇水を経験している。

    一人当り30立法メートルといえば一ヶ月程度の水の使用量(工業用水、農業用水などを含め)である。常にわき水があるため一ヶ月雨が降らなければ干上がるという話ではないが、決して潤沢にダムの水があるという訳ではない。不思議なことに日本のマスコミはこのような事実を全く伝えない(知らない可能性が高い)。

    平均的な日本人は、ばかマスコミが伝える「日本のダムの貯水量は十分」という大嘘に洗脳されている。このように日本にダム建設は不要という「空気」が醸成され、政治家もそれに迎合してきた。実際、アンケート調査でも今回の八ッ場ダム建設中止に対して、首都圏ですら賛成が反対を上回っている。

    テレビに登場する政治評論家(屋山太郎氏)も「八ッ場ダム建設には50もの公益法人がぶら下がっている。中止して当然。」と前原大臣の判断を高く評価している。しかし公益法人の問題とダム建設は別次元の話である。公益法人に問題があるから、ダム建設を止めるべきというのは非論理的である。まるで「自動車は事故を起こすから走らせるな」と言っているのと同じである。

    首都圏の知事はこぞってダム建設中止に反対している。首都圏のダム貯水量が貧弱なことを分かっている地方自治体としては当り前である。渇水になれば非難されるのは自分達だということを知っている。分担金を返せば良いという話ではない。


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