習主席の3選危機と台湾有事 ペロシ氏訪台で過敏に反応、背景に米民主党と「反習派」の〝闇連携〟

 

習主席の3選危機と台湾有事 ペロシ氏訪台で過敏に反応、背景に米民主党と「反習派」の〝闇連携〟 国際投資アナリスト・大原浩氏が緊急寄稿(1/2ページ)

ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて、中国は大規模な軍事演習を行うなど過敏に反応した。問題の背景には、習近平国家主席の「3選阻止」を目論む「反習派」と、米民主党の暗黙の連携があったのではないかと国際投資アナリストの大原浩氏は指摘する。大原氏は緊急寄稿で、習氏の立場が危うくなれば、「台湾有事」に踏み切る恐れもあると警鐘を鳴らす。

米大統領承継において副大統領に次ぐ要職であるペロシ下院議長が訪台し、蔡英文総統と会談したことをめぐり、中国人民解放軍は台湾周辺で複数の弾道ミサイルを発射するなど大規模演習を行った。だが ペロシ氏が台湾を離れた後のことで、「負け犬の遠ぼえ」と言ってよいだろう。

習氏も、米国と真正面から事を構えて軍事的に勝利できると考えるほどの愚か者ではない。では、なぜ習氏が台湾問題に固執し、強硬な態度をとり続けるのだろうか。

そこに深く関わっているとみられるのが、上海を拠点とする浙江財閥などに支えられた「反習派」との「暗闘」だ。

 

つまり、反習派が「やれるものならやってみろ」とたき付けているのだ。中国共産党の核心的利益である「台湾」死守に弱腰であると受け取られたら、「経済よりもイデオロギー優先」の習政権の存在意義にも関わるから、米国に強気に出ざるを得ないことをお見通しなのだろう。

 

ペロシ氏の訪台は台湾問題で対中強硬姿勢をアピールし、11月の米中間選挙で集票しようとした狙いもあると思われる。だが、より本質的には、今秋に予定されている5年に1度の中国共産党大会で習氏の3選を阻止したい勢力との連携が行われた可能性があるのではないか。

 

米民主党と浙江財閥のつながりは、第二次世界大戦前にさかのぼる。フランクリン・ルーズベルト大統領が執拗(しつよう)に「日本いじめ」を繰り返し、真珠湾で手を出させたのも、日本が中国で利権を拡大することが脅威だったからだとも考えられる。

現在でも、イデオロギー優先の習政権は経済を収縮させ、中国大陸における民主党利権を脅かすから好ましくない存在だといえる。米民主党も習氏の3選を望まず、反習派に権力を奪還させようとしているのではないか。秋の共産党大会直前という絶妙なタイミングでの訪台にはそのような意図が見え隠れする。

現在の中国経済は火の車である。各地で「取り付け騒ぎ」が報道されているだけではなく、建設が進まないマンションの「ローン支払い拒否」も頻発している。ゼロコロナ政策も国民を苦しめ、中国経済はマイナス成長に陥っているとの見方も出てきた。

1958年から始まった「大躍進」は、当時の毛沢東主席が、経済の実態を無視した政策を遂行したことにより、人為的餓死者などの犠牲者が4000万人(西側推計)とされる大惨事だった。革命の英雄としてカリスマであった毛主席も責任を厳しく追及された。

 

当時と比べ、現在の中国の人々はケタ違いに豊かになっている。その果実を奪い、北朝鮮よりも貧しかった時代に逆戻りしようとしているのが、習氏のイデオロギー優先政策だ。一般国民も含めた反発は強権支配によって表に出てこないが、地下のマグマのようにたまっているはずである。

中国共産党の歴史を考えれば、「権力の座から引きずり降ろされた人物」には恐ろしい運命が待っている。習氏も多くの反対派を粛清してきた。窮鼠となった習氏が「台湾有事」を引き起こす可能性がある。日本はとばっちりを受けかねないことに注意しなければならない。

 

■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

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