消えた観光客

2020年コロナ騒動で最も打撃を受けたのは旅行関連産業だと言われています。

コロナ以前の日本は2012年から続く訪日ブームに沸いており、政府は4000万人や6000万人を目標にしていた。

世界でも新興国の経済成長によって旅行者が急増し、特に中国からの外国旅行者が世界を席巻した。

旅行者は旅行先でお金を使うが移動手段にもお金を使い、飛行機の利用者は10年間で激増した。

各国で格安航空会社LCCが乱立し、1機100億円以上の大型旅客機が飛ぶように売れました。

例えばB777やA350は1機300億円以上するが年間50機以上売れたので、エアバスやボーイングは1.5兆円も売り上げた。


航空会社も大きな利益を上げたが、旅行者は移動先の国でもタクシーやウーバーを利用した。

日本では白タクにあたるウーバーが世界では大ヒットし、民泊をネット予約するAirbnbも大ヒットした。

京都、大阪、東京の人気旅行先では日本人より外国人観光客が遥かに多い異常事態になっていた。


京都の有名観光地では中国人が5割、その他外国人3割、日本人は2割以下で隅の方で小さくなっていた。

違法宿泊施設である民泊も大流行で、政府は「日本は観光大国になった」と成果を誇示した。

それがある日一切合切すべてこの世から消えてなくなりました。



観光客はもう戻らない

ある日文明が滅んだり人類が絶滅するSFがあったが、観光関連産業はまさにそんな状況に陥りました。

2020年1月には日本はまだ他人事、2月には中国人観光客が来ないと心配し、3月には日本国内で感染が広まった。

4月には自粛と経済活動停止になり、5月の連休は自宅で強制待機になり観光産業の悪夢が現実になった。


観光産業はほかの業種と違い、最初に大きな投資をして長期間かけて回収するものが多い。

ホテルは莫大な建設費や初期投資が居るし、民泊やゲストハウスでも個人には多額の元手が掛かっている。

観光客を運ぶタクシー会社はタクシーの他に乗務員の確保や教育にお金がかかっている。


バス会社は1台数千万円もするバスを購入し、運転手やバスガイドを雇って教育し、車庫なども確保しなくてはならない。

小さなバス会社だと個人経営で、多額の借金をしてバスを買い自分で運転したりする。

それがある日から売り上げゼロになったので、もう破産するしかない状況です。


政府の要請で銀行は数か月は返済を猶予するかも知れないが、1年たっても観光客は戻らないでしょう。
コロナ自体がまだゼロになっていないし、感染ゼロになって人々の記憶から消えるまで何年かかかる。

日本では地方が大都市からの「疎開」を拒否する運動があり、「東京の人間は出ていけ!」など疎開者狩りも行われた。
そんな目に遭ったのに今度は「観光客様いらっしゃい」と言われて誰が行く気になるだろうか?

困ったときに暖かく迎えてくれたならともかく、人が困っている時に「出ていけ」と言い、金が欲しいから今度は「いらっしゃい」では人を馬鹿にしている。