仙谷の「秘」と後藤田の「秘」

仙谷の「秘」と後藤田の「秘」[手嶋龍一式INTELLIGENCE]

「別調」と呼ばれるインテリジェンス組織は、「スホーイ15」と極東ソ連空軍の司令部の間で交わされたロシア語の交信記録をそっくり傍受していたのである。
 
ノンフィクション作家、柳田邦男は大韓航空機撃墜事件の謎に挑んだ『撃墜』のなかで、後藤田官房長官が傍受記録を動かぬ証拠に使ってソ連当局を追い詰める情報戦略を発動したと書いている。だが事実は違う。在日アメリカ軍が日本の自衛隊から直接入手した問題の傍受記録をいち早くアメリカ本国に送っていた。当時のレーガン政権は日本政府の了解を取りつけることなく、国連安全保障理事会で交信録を公表しソ連側を追い詰める挙に出たのだった。
 
後藤田はこうしたアメリカ政府の対応に激怒した。傍受記録は主権国家日本が独自に入手した最高レベルのインテリジェンスである。同盟国アメリカといえども日本政府の承諾なくして公表していいわけがない。後藤田は急遽官邸で記者会見に臨み、アメリカ政府より30分早く傍受記録を発表して主権国家としての矜持を示したのだった。
・・・
ひとたび傍受記録を公にしてしまえば、ソ連側は直ちに交信の周波数を変更してしまう。日本側が再び傍受の体制を整えるには数年を要するだろう。

長島昭久前防衛政務官
「中国側にフジタの職員を人質として拘束されている以上、中国人船長を釈放する他に策があったというのか」


二重の錯誤がある。第一は、さしもの中国政府もタテマエでは「フジタ職員の身柄拘束」と「中国人船長の逮捕」を関連づけてはいない。にもかかわらず、民主党政権の側がこれを一体のものと受け取って、ゆえなき妥協に迷い込んでくれたのだから、まさしく中国側の思うツボだった。第二は、自国民を人質に取られて、身代金を支払ったり、テロリストを釈放したりすれば、次なるテロを招いてしまう。凛とした外交の原則を持たない政権は、国際テロ組織の格好の標的にされてしまう。世界第2の経済大国はいまや、テロや脅しにもっとも弱い存在になり果てている。

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