原爆投下と真珠湾同列視はあり得ない

産経

原爆投下と真珠湾同列視はあり得ない 12月7日

 ルーズベルト米大統領が、連邦議会の上下両院合同会議で日本への宣戦布告を求める演説を行ったのは、真珠湾攻撃を受けた翌日、1941年12月8日だった。「昨日は、『汚辱の日』として永遠にとどめられる」。日本のだまし討ちを非難するとき、必ず使われるフレーズである。

 ▼合同会議では、海外の要人も多く演説してきた。日本の首相に機会が与えられなかったのは、ルーズベルトの“呪縛”ゆえであろう。昨年4月、それを打ち破ったのが安倍晋三首相だった。

 ▼首相は、演説の中にあえて「真珠湾」を盛り込み、敵対国から同盟関係となった、日米の「心の紐帯(ちゅうたい)」を訴えた。ほとんどの議員から高く評価された演説は、今年5月のオバマ大統領による、被爆地・広島訪問の下地を作った。もちろん5日夜、電撃的に発表された、首相の真珠湾訪問にもつながっている。

 ▼先月、ニューヨークで行われた首相とトランプ次期米大統領の会談をめぐり、米政府が不快感を示した、との報道が一部であった。その後ペルーで顔を合わせた首相とオバマ氏が立ち話で済ました事実も、「不仲」の証拠とされた。

 ▼実は数分間の会話のなかで、ハワイで行う両首脳の最後の会談について、最終確認が行われたようだ。首相は、オバマ氏とともに日米和解の総仕上げを演出するつもりらしい。同盟の深化を中国やロシア、韓国、北朝鮮に見せつける、絶好の機会にもなる。

 ▼ただ安倍首相は、今回の慰霊の旅はオバマ氏による広島訪問の「返礼ではない」と強調している。当然である。一般市民を無差別に殺戮(さつりく)し、放射性物質をまき散らした原爆投下と、軍事施設を奇襲した真珠湾攻撃、道義的に同列に扱うのは歴史に対する冒涜(ぼうとく)でしかない

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