アイヌは北海道の先住民族ではない

宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月21日(月曜日)


 アイヌは北海道の先住民族ではない
  極寒の北海道を命がけで護った武士団がいた

   ♪
中村恵子『江戸幕府の北方防衛』(ハート出版)

函館の観光名所といえば五稜郭だが、駅から反対方向、南側の末広町に『函館市北方民族資料館』という建物がある。白亜の洋館づくりで、しっかりと落ち着きがある。ここは旧日本銀行函館支店だ。内部は主にアイヌの歴史を展示している。
 アイヌが北海道の先住民族だとする面妖なアイヌ史観は、特定の政治グループの利権とも言えるのではないか。
なぜなら北海道の先住民族は明らかに縄文人である。
このたび世界遺産となった縄文遺跡群は東北の三内丸山、亀岡、是川遺蹟のほか、いくつかの北海道の縄文遺跡を含む。とくに函館郊外には国宝となった縄文土偶「中空土偶」を陳列する[函館市縄文文化交流センター]がある。三年ほど前、烈風吹きすさぶ中、函館で借りたレンタカーで中空土偶を見に行った。かなり遠い。近現代史家の渡辺惣樹氏と一緒だった。
この事例を引くだけでも、十二、十三世紀に漂着したアイヌが『先住民族』などと言うのは、いかに誤謬に満ちた、いや政治的な意図を含んだ、あやしげな歴史観であるかがわかる。
 古代から蝦夷地といわれ、とくに江戸時代には松前藩(立派なお城が残る)が置かれ、会津藩などが国土防衛のため派遣された。武士達が命がけで国を護ったのであり、明治維新を是とする薩長史観だけでは、歴史の真実は浮かばれない。北海道で「櫻チャンネル北海道」などで言論活動を展開する著者は、この妖しい、歴史書き換えの暴挙に正面から挑戦した。

 本書は冒頭部分で「鎖国」に到る経緯を切支丹伴天連の絡みで検証する。
 イエズス会は日本を侵略し植民地化しようとするキリスト教世界の尖兵であった。この野望を見抜いたのは秀吉だった。
 家康は、この路線を継承し、秀忠のときに切支丹伴天連を追放し、鎖国を決断した。家康の頃は、布教は禁止したが交易は認めたから厳密な鎖国とは言えないし、平戸、長崎は開かれたままだった。平戸を閉じたのは、むしろ英国の事情であり、長崎出島は外国人が暮らしていた一種『租界』である。
 著者はこう言う。
 「慶長四年(1599)、家康は安南(ベトナム)、シャム、カンボジア、スペイン、ポルトガル、イギリス等24ケ国の指導者に、貿易を再開する趣旨の手紙を送り始めていた。五年後には「貿易許可証『異国渡海朱印状』を持った29隻の朱印船が出航する。その後、三代将軍家光が海外渡航を禁止する1635(寛永12)年まで、356隻の朱印船が日本から出航した。日本からは金、銀、銅、刀、蒔絵、漆器、着物などが輸出され、海外からは生糸、火薬の原料、胡椒、象牙、香木、黒砂糖などの原材料や嗜好品が輸入された」
 御朱印状は180通にのぼり、茶屋四郎次郎、角倉与一らの商人が、ほかに時計、望遠鏡、合羽、食品では馬鈴薯、カボチャ、シャボンなども輸入した。  
 海外には数万人の日本人町が開け、ウィリアム・アダムスには平戸商館の独占権が与えられ、中国人の李旦なども平戸貿易で活躍した
 ヤンヨーステンは実際に朱印船に乗り込み、貿易に従事したが帰国航海の途次、遭難死した。
そして著者が喚起するのは「特筆すべきは関ヶ原の戦いのあと、浪人となった武士たちが、朱印船の乗組員となったり、アジアの紛争地で傭兵となったりして武功を立てていた」
 こうした裏面史も本書ではさりげなく書かれていて読み応えがある

 

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命がけで「祖国」を守ったサムライたち。書籍『江戸幕府の北方防衛─いかにして武士は「日本の領土」を守ってきたのか』が発売

株式会社ハート出版のプレスリリース(2022年2月21日 09時00分)命がけで[祖国]を守ったサムライたち。書籍『江戸幕府の北方防衛─いか...

プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

 

いま北海道は、日本の歴史を書き換えようとする勢力によって、「アイヌ史観」とも呼ぶべき歴史観に支配されつつある。
いわく、「アイヌは日本の先住民である」「北海道の土地は和人がアイヌから奪ったもの」「江戸時代の蝦夷地は日本ではなかった」「江戸期の北海道を『アイヌ文化時代』と呼ぼう」等々。

こうした、「北海道はアイヌのもの」とする、事実と異なる歴史の押し付けに対して著者は、膨大な資料と史実を基に、サムライたちの文字通り「命がけ」の戦いを、リアルに、そして丹念に描いていく。

極寒の北海道、前人未踏の蝦夷地を舞台に、江戸幕府、そして松前藩と東北諸藩の武士たちが、どのようにして「祖国・日本」を守っていったのか、その苦闘の歴史は、涙なくしては語れないものだ。

江戸幕府の政策を、守旧的で閉鎖的なものとしたい、いわゆる「明治維新史観」や「薩長史観」では決して判らない、本当の歴史がここにある。

また本書には、当時の日本人とアイヌが交流し、互いに協力しあう姿も描かれており、現代の、ことさらのように日本人を貶め、アイヌばかりを推す動きが、いかに歴史の事実とかけ離れたものであるかが判るのだ。

いま、日本は「歴史戦」のさなかにある。「我が国の歴史」は、いたるところで書き換えられようとしている。こうした、日本を分断し、弱体化させようとする新たな「侵略」を阻止するためにも、本書は大いに役立ってくれるだろう。
 



・著者プロフィール

中村恵子(なかむら・けいこ)

札幌市出身、北海道大学大学院法学研究科修了。
「健康・環境デザイン研究所」所長。「チャンネル桜 北海道」キャスター。
医療法人を経営する傍ら、長年にわたり、一般社団法人 廃棄物資源循環学会に所属。ライフワークである循環型社会構築のための執筆や講演活動を行ってきた。同学会にて、理事や廃棄物計画研究部会長などを務め、現在はフェロー。
『これでいいのかごみ行政』編著(2000年 横山出版)、『災害廃棄物分別・処理実務マニュアル』分担執筆(2012年 ぎょうせい)、『ごみ処理有料化の実態及び市民意識』(1992年 廃棄物学会誌)など論文も多数。平成7年度リサイクル推進功労者等表彰で通産大臣賞を受賞。
そのほか、私立大学の非常勤講師として環境法を教えたり、北海道総合開発委員会、計画部会委員などを務めた。
このような活動の中で、北海道の開拓史を封印し、ことさらアイヌ文化のみを発信しようとする公的機関の姿勢に疑問を感じ、独自に北海道の開拓、歴史、文化を調査。その結果、日本を貶めようとする一部の勢力やマスメディアが広める「歪曲された歴史」に危機感を持ち、現在はインターネットテレビ「チャンネル桜 北海道」のキャスターとして、先人たちの名誉を守り、自虐史観から脱却した「北海道の開拓、歴史の事実」を国民に伝えるための活動を続けている。

 

動画ありました↓

 

【ch桜北海道】地域からの警鐘「博物館のあり方に道民は注視を!」[R3/7/21]

キャスター:沢田 英一(一般社団法人 北海道歴史伝統文化環境保全機構理事)       中村 恵子(キャスター) ■博物館のあり方に道民は...

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