家賃滞納と立ち退き命令の延期

AC通信 No.854 (2021/08/09)AC 論説No.854 家賃滞納と立ち退き命令の延期

 バイデン政権の新しい危機は全国の家賃滞納と家主の要求する立ち退き命令を延期したことである。立ち退き命令の期限が切れるとアメリカの衰退が始まり、共和党や州政府、家主連合などさまざまな国民団体がバイデンを告訴することである。

2020年春に発生したコロナウイルスの蔓延のためにアメリカは全国的に自宅自粛となった。各企業が閉鎖されると失業者が飛躍的に増加した。ホワイトカラーのサラリー階級は自宅勤務で仕事を継続することができたが一般労働者ブルーカラーは失業した。つまり失業者の大半は低収入階級で、失業して収入がなくなると家賃が払えないから家主が法律で彼らを追い出すが、立ち退き命令を延期すれば滞納した人は続けて住むことができる。家主だって借家人が家賃を払わないと収入が減って破産に追い込まれる。そこでCDC(疫病コントロールセンター)は2020年9月に違法を承知で「疫病のために失業した人々の家賃滞納と立ち退き命令を一時的に延期する命令」を発表したのである。

これは明らかな違法行為である。CDCには法的命令を発布する権利はない。法的命令は国会が作って通してから効力を持つ。ところが国会は家賃滞納と家賃滞納の人の立ち退き命令を延期することを法律で通さず、ペロシ下院議長はバイデンが大統領命令で一時的延期に署名することに期待すると述べた。だが大統領がこのような命令を出すのは憲法違反である。それで家主連合はこれを最高裁に持ち込んだ。

最高裁では「違法5対合法4」でCDCの出した命令は憲法違反であるという結果が出た。ところが憲法違反と裁定した五人のうちB.Kavanough判事があやふやな態度をとり、「CDCの命令は7月31日に期限切れとなるから」という理由でCDCの命令を違法と判定しなかった。命令が7月31日に時間切れとなった途端に全国で家賃滞納者の法的立ち退き命令を要求していた案件が有効となって借家を追い出された人が出た。するとCDCは8月3日にもう一度の延期命令を発布して家賃滞納と立ち退きを10月31日まで延期としたのである。

最高裁は違法5対合法4で違法という判定結果が出たけれども実際に違法と判定しなかったのである。だからCDCは大っぴらに再度の延期命令を発表したのである。国会も大統領も最高裁もCDCもみんなサヨクの圧力に負けて違法を通したのである。CDCはたとえ延期命令が家主側の連合によって法律沙汰になっても10月3日までに連邦法廷が違法判決を下すことはないとたかを括って延期命令をだしたのである。サヨクがバイデン政権を動かすことができる証拠である。

これに加え、CDCが出した延期命令の2日後の8月5日にバイデンはCDCの延期命令を支持すると言う声明を出したのである。バイデンはこれまで何度もトランプ大統領が憲法違反を犯したと攻撃して自分は憲法を遵守する大統領であると威張っていたのに、就任して半年で憲法を無視する発言をしたのである。家主連合はすぐにCDCとバイデンを憲法違反で告訴すると発表した。

コロナ疫病のため全国の工商業が停頓したため労働者階級が影響を受けて失業者が増加し、家賃を払えなくなった人が増えたのは確かである。だがバイデン政権が失業者に毎週600ドルの救済金を出すようになると仕事につかず救済金で遊んで暮らす人が増えたのも事実である。その証拠に最近数ヶ月は求人率が高いにも拘らず就職率は上がっていない。政府の支給する金で生活し家賃を払わない人が増えたのである。家主は彼らを追い出すこともできない。CDCは失業者が住む場所を失えば疫病感染率が上昇するから立ち退き命令を一時的に延期したと説明したが、家賃を払わず遊んで政府の補助金で暮らす階級がいるし、家賃を滞納され、彼らを追い出して家賃を払う人を入れないと家主が破産する。

報道によると全国に1800萬のアパート所有者がいるが、彼らは現金で買ったのではなく家賃収入の大半を毎月のモーゲージの家賃支払いに当てているのである。借家人が家賃を払わなくなったら家主の収入がなくなって破産するのに社会主義政権は家主側の困難を無視している。CDCの支払い延期命令は借家人の味方をして家主の職業収入を奪っているのだ。去年9月から家賃が滞納して家主が苦しんでいるのにCDCはさらに二ヶ月の延期を命令し、バイデンも賛成したのだ。

CDCの延期命令は憲法違反だけでなく左翼政権の命取りとなりかねない危機を作り出した。家主はすでに去年9月から大量の家賃滞納で苦しんでいる。10月3日になるとCDCが再度の延期命令を出せる可能性はほとんどないだろう。延期が期限切れとなっても借家人が滞納した家賃をまとめて払えるはずがない。一年以上も滞納した家賃が払えないから破産を宣告して家主の損となる。だが家主は法律に従って彼らを追い出すことができるようになる。家を追い出された破産記録のある人が新たに住む所を探すしても誰も貸さない。すると10月に全国各地に膨大な数のホームレスが出る。アメリカの歴史に無かった大危機である。

バイデンの失業者対策は国民の税金ばら撒きで貧乏人を助けると言いながら中産階級を破産させ国の衰退を招く大愚策である。下層階級は政府から生活費をもらって働かなくなる。働く人から税金をとって働かない人にばら撒くから働かない人が増える。働かない人は税金を払わない。国の税収が減り赤字が増大する。明らかな共産主義の招く結果である。あと二ヶ月でこれが明らかになるだろう。

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