ドイツが内部崩壊中…暴動警戒レベルに

 

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ドイツが対ロシア制裁で内部崩壊中…冬に向け「電気ガス暴騰必至」で暴動警戒レベルに(川口 マーン 惠美) @gendai_biz

 

 

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ドイツが対ロシア制裁で内部崩壊中…冬に向け「電気ガス暴騰必至」で暴動警戒レベルに 国民の連帯はいつまでもつか - ライブドアニュース

崩れ始めた砂上の楼閣

ドイツがめちゃくちゃになってきた。

対ロシア制裁は、ロシアではなく、ドイツ国民の生活を瓦解させ、ドイツの繁栄を解体しつつある。しかし、その一方で、エネルギー・コンツェルンのいくつかは、まさにエネルギーの高騰により、これまで経験したこともないような大利益を上げている。

そんな中、国民の間には主に緑の党の政治家によって、「皆で歯を食いしばって頑張ろう」的な雰囲気が作り上げられている。「プーチン大統領の横暴を許してはいけない。今、我々を襲っている苦難は、民主主義を守るための犠牲であり、我々は決して屈しない」というのが、彼らの発するアピールだ。

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こうなると、政府に抗議の声を上げるのは連帯を崩す良からぬこととなり、国民は、当然の権利である意見の表明や集会はもちろん、民主主義の要である議論を立ち上げることすら躊躇せざるを得なくなる。ただ、この連帯、この躊躇がいつまで続くか?

昨年12月、16年の長きにわたったメルケル政権が終焉を告げ、SPD(社民党)のショルツ政権が始まった時、ドイツは麻の如く乱れるだろうと思った。その理由は、別に、その前のCDU(キリスト教民主同盟)のメルケル政治が良かったからではない。前政権がいかにも安定しているように見えたのは、長期政権の常として、いろいろなものが膠着していたからに過ぎない。

EU内でドイツの力が強大になったのは、ユーロというドイツにとっては安過ぎた共通通貨と、格安のロシアガス、そして、東欧から集まってきた質の良い低賃金労働力のおかげだ。それともう一つ、膨大な数のドイツ車を買ってくれる中国の存在も大きかった。CDUは、連立していたSPDと共にそれらの既得事実の上に胡座をかき、政権内部での変革の機運は極めて乏しかった。

 

ただ、ドイツは豊かなはずなのに、国内でお金が回っていたかというと、そうではなかった。教育は崩壊し、IT化は遅れ、インフラ投資はなされず、エネルギー政策の破綻は押し隠され、貧富の差が確実に広がっていた。中東などからの難民を優遇しながら、巷では生活していけない人が増え、スーパーの残り物を集めて貧しい人に分けるボランティア活動がフル回転していたのだ。

それでもドイツという砂上の楼閣は、いわば惰性で存在し続け、そのツケが現在、エネルギー危機のせいで破裂した。

あっちでもこっちでも対立ばかり

ドイツの現政権は、言うまでもなく、SPDに緑の党と自民党が加わった3党連立だ。中でも、国民の人気を背に、緑の党が政権内で権力を奮っている様子は前回のこのコラムで取り上げた。

危急の問題であるエネルギーに関しては万策尽きている感じだが、その理由としては、そもそも、基本であるはずの連立3党の足並みがまるで揃わないことが挙げられる。

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SPDと緑の党はいうまでもなく左派だが、自民党は保守リベラル。それどころか、特に緑の党と自民党はまったく反りが合わず、緑の党のハーベック氏と、自民党党首のリントナー氏は、積年の宿敵のような関係だ。

この3党が連立を組んだのは、現在、小党乱立のドイツでは、それ以外に連立の可能性がほとんどないという消極的な理由からだったが、案の定、その欠陥が露呈している。

たとえば、今年の冬、深刻な問題となるはずのガス・電気不足に関しては、自民党が、脱原発の期日を少し延長すべきだと提案しているが(予定では今年の暮れに残りの3基を全て停止)、緑の党は譲らない。脱原発は党のドグマだからだ。

また、現在の最大の争点は、ハーベック氏が国民の負担を軽減するために打ち出したガス賦課金。ガスの供給会社は格安のロシアガスが入手できないため、スポット価格で高いガスを買って顧客に売っており、完全に経営が破綻している(最大手ユニパーが今年上半期の最終損益は1兆6300億円の赤字)。そこで政府は10月より、1kWhあたり2.419セントをガス賦課金としてガス料金に加算し、消費者に課すことにした。

 

ところが、これについては野党だけでなく、与党の自民党や、肝心要のSPDのエスケン党首までが一丸となって反対。そればかりか法律学者が、これはEUの電力統合の規則に抵触するとクレームをつけたため、暗礁に乗り上げている。

また、SPDの労働相が、エネルギー価格の高騰から貧困家庭を救うためにと提案した一時給付金に関しても、また、ウクライナ戦争で莫大な利益を得ている企業に追加課税をしようという緑の党の提案にも、自由市場重視の自民党が反対している。

一方、ウクライナへの重火器の援助については、緑の党と自民党が熱心だが、肝心のSPDは反対はしないものの、(おそらく意図的に)ぐずぐずしている。要するに、あっちでもこっちでも対立ばかりで、この政権が一致団結して進めている政策はなかなか見当たらない。合意しているのは、「再エネを拡大しよう」とか、「水素プロジェクトを進めよう」といった遠大な計画だけだ。

しかも、肝心のショルツ首相は、政権内にこれだけ波風があっても、「我々は連立協定に示した通り、大筋で合意している」として事なかれ主義を貫いている。

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これを指導力の欠如と見ることは簡単だが、現況は、下手に指導力など発揮すると、政権自体が空中分解する危険もあるため、私としては、ショルツ氏の判断はそれほど間違っていないのではないかと思っている。間違っているのは、そもそも、この連立の組み合わせなのだ。

最悪の場合、暴動も起こりうる

いずれにしても、ドイツのエネルギー政策はますます混沌としてきた。

ドイツの北海の海底に大量に埋まっているシェールガスの採掘を、環境問題を理由に禁止してきたドイツだが、ハーベック氏が現在、世界中を駆けずり回って入手しようとしているのは、多くがシェールガスだ。また、遠方のガスは当然、LNGとして運ばれてくるが、LNGなど要らないと言って、これまで受け入れターミナルの建設に反対していたのもハーベック氏なら、現在、大慌てでターミナルを作ると言っているのもハーベック氏。

 

それどころか、これまでCO2を多く出すという理由で石炭を悪魔化してきたくせに、突然、予備として置いてあった褐炭火力(石炭よりもさらに多くCO2を出す)を立ち上げると宣言したのもハーベック氏。ここまで言行不一致になっている緑の党なのに、今も支持している国民が多くいるというのは、ドイツ七不思議の一つだ。

一方、自民党は、元々、CDUとSPDの進めてきたエネルギー政策には同調しておらず、再エネの急激な拡大や、特に、原発と石炭火力の両方を同時に縮小することには大反対だった。しかし彼らは、2017年の総選挙の後、CDU、緑の党との3党連立協議の際、エネルギー政策で妥協できず、政権に入り損なったというトラウマがあり、今回、あえて自分たちの主張を大幅に骨抜きにした感がある。それが今になってどっちつかずの印象を与え、裏目に出ている。

実は、そんな中、ドイツでただ1党だけ、徹頭徹尾、原発の必要性、再エネの急速拡大の弊害などを訴えていた党がある。AfD(ドイツのための選択肢)だ。

しかしAfDは、他のすべての党と主要メディアから危険視され、極右の誹りを受けて、現在、息の根を止められそうになっている。だから、エネルギー政策に関してはAfDの主張が間違っていなかったと言うことが明らかになったにもかかわらず、いや、おそらく、まさにそのせいで、今ではニュースにはAfDが一切登場しなくなった。

報道は、CDUやSPDの失敗を過小化しつつ、また、緑の党の言行不一致を覆い隠しつつ、そして、プーチン大統領に全ての罪を押し付けつつ、慎重に行われているように感じる。

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いずれにせよ、電気もガスも、まもなく普通の国民が払いきれないような価格レベルになることがかなり確実となってきた。夏の間は陽気だったドイツ人だが、バカンスの季節が終わり、秋風が吹き始めた今、不安が急激に膨らみ始めた。

つまり、冒頭で述べた連帯がいつまで続くかは保証の限りではない。最悪の場合として、暴動なども警戒されている。今後の動きについて、私はまったく楽観視はしていない。

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