家系が物語る驚くほど似た2人、岸田首相と林外相 父はいずれも通産官僚出身 「政界のプリンス」で評判よく、どぶ板選挙の経験なし

【逃げるな!岸田政権】家系が物語る驚くほど似た2人、岸田首相と林外相 父はいずれも通産官僚出身 「政界のプリンス」で評判よく、どぶ板選挙の経験なし(1/2ページ)

保守派の人々から、岸田文雄首相や林芳正外相は「官僚の言いなり」とか、「中国や韓国に弱腰」などと批判されている。私は必ずしもそう思わないのだが、批判も分からないでもない。

この2人は、驚くほど似たタイプの政治家だ。今春出版した拙著『家系図でわかる 日本の上流階級 この国を動かす「名家」「名門」のすべて』(清談社)で、両家のことを書いたので、出自や経歴から彼らの思考回路を分析してみよう。

岸田家と林家はともに、地元名門経済人で政治家も兼ねてきた。岸田家は東広島市の富農だったが、曾祖父が台湾で成功し、祖父の正記氏は京都帝国大学を出て衆院議員も務めた。林家は江戸時代から下関の豪商で、高祖父が代議士(のち貴族院議員)、祖父の佳介氏が東京帝国大学を出て衆院議員だった。

閨閥も第一級

そして、父である岸田文武氏と林義郎氏はいずれも通産官僚(現・経産官僚)から政治家になった。紳士として人望が厚かった。文武氏は中小企業庁長官まで勤めてから出馬し、早死にしたので大臣にはなっていないが、義郎氏は課長クラスで政界に転じたので当選回数を重ね、蔵相も経験している。

 

閨閥(けいばつ)も第一級で、岸田首相の妹は宮澤喜一元首相の弟、弘元法相の夫人だし、林外相の母親は宇部興産オーナー、俵田家の出身で、弟が木戸侯爵家(=木戸孝允の家)を嗣いでいる。

 

岸田首相は小学生時代に米国にいて早稲田大学政経学部卒。林外相は東京大学法学部から米国留学。それぞれ、銀行や民間企業で修業したのち父親の秘書となった。選挙地盤は安定しているので、厳しいどぶ板選挙の経験はない。

しかも、2人とも頭がいいので「政界のプリンス」として扱われ、聞き上手で自分の意見をあまり言わず、党内や各省庁とりまとめに重宝されてきた。だから、官僚の間での評判もすこぶるいい

安倍氏と違い

ただ、問題は、安倍晋三元首相などと違って、政治家として何をやりたいのか、いま一つ分からない。人々を惹きつけるような政策を掲げることもなく、難局突破のために先頭に立って戦うわけでもない。日本が安定した環境にあるならそれでいいのだが、そこがまったく物足りない。

岸田派で経産省出身の小鑓隆史(こやり・たかし)参院議員は「2人とも機が熟したとみたら、果敢に決断し攻めていく人ですよ」という。原発政策の転換などヒットだと思うので、国政選挙のない「黄金の3年間」に、安倍氏の悲願である憲法改正を前進させるなど、大変革を実現してくれると期待したい。

 

■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書・共著に『家系図でわかる 日本の上流階級』(清談社)、『令和太閤記 寧々の戦国日記』(ワニブックス)、『安倍さんはなぜリベラルに憎まれたのか 地球儀を俯瞰した世界最高の政治家』(同)など多数。

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