現行憲法下でも、敵に対する相当な攻撃行動が可能  斬首作戦も

なんだ 現憲法でも やれるんだ

要は やる気の問題

足を引っ張る奴らは 敵国の回し者! よく見ておこう

島田洋一(福井県立大学教授)WILL 20179月号

【天下の大道14】憲法改正-最悪のシナリオ

「憲法守って国滅ぶ」事態を招いてはならない、とよく言われる。その通りだ。ただし、「憲法改正成って国滅ぶ」事態にも大いに警戒が必要である。どういうことか。

 憲法記念日における安倍首相発言を機に、政界は、現行の9条はそのままに、「自衛隊は合憲」との趣旨を書き加える形での改正に向けて動き出した。 これが、憲法前文や9条にある、国際常識に反した記述を正す本格的作業の序幕となるなら評価できよう。ただし、発議に必要な国会の3分の2を確保するため、以下に示す「譲歩」や「自制」が行われるようなら話は違ってくる。

 周知のように、昭和31年2月、鳩山一郎首相(当時)が、「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えられない。誘導弾などによる攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地を叩くことは、法理的に自衛の範囲に含まれ、可能である」との政府統一見解を示し、以後、歴代内閣によって踏襲されてきた。いわゆる敵基地攻撃力ないし策源地攻撃力である。

この、「叩くこと」が憲法上許される「誘導弾などの基地」には敵の指令系統中枢も含まれるのか。筆者も属する国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)の役員に名を列ねる自衛隊OBの方々に尋ねると、おしなべて「含まれる」との答が返ってくる。含まれないと明示した政府見解がない以上、当然、そう解釈すべきだろう。だとすれば、現行憲法下でも、敵に対する相当な攻撃行動が可能なわけである。独裁者を標的とした「斬首作戦」すら可能と言える。

北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされる日本としては、何よりもこの策源地攻撃力の整備を、安保政策上の最重要課題と捉えるべきだろう。そこには、核ミサイル・システムへのサイバー攻撃や情報作戦(独裁者に対する内部からの無力化の動きを誘発・支援)なども含まれる。そこで、憲法改正との絡みで問題を整理しておきたい。

最善のシナリオは、策源地攻撃力を着々と整えつつ、同時に本格的な憲法改正も実現していくことだろう。そして、策源地攻撃力は着々と整えるものの、左翼勢力が抵抗の動きを強め、憲法改正は先送りを余儀なくされるというのが次善のシナリオとなる。

一方、最悪のシナリオは、憲法改正に広い支持を集めるためとして「専守防衛の徹底」をアピールし、策源地攻撃力の整備を半永久的に放棄することである。

そして、そうした「譲歩」にも関わらず、国会で3分の2を確保できず、あるいは国民投票で敗北し、結局憲法改正も実現しない、というのが最悪以下のシナリオとなる。

そこで、いかなる方針で臨めばよいか。政府はまず、上記の「次善のシナリオ」を最低限の確保ラインと見なすべきだろう。その上で、最善のシナリオに向かって憲法改正作業を進めていけばよい。繰り返すが、最優先事項は策源地攻撃力の整備であり、憲法改正の取引材料にしてはならない。いわんや、攻撃力整備を回避する言い訳に憲法改正を用いることがあってはならない。

改憲を任期中に実現できなくとも、策源地攻撃力整備に本格的に乗り出すなら、安倍政権は大きな功績を残したことになる。逆にその整備を放棄することで、自衛隊を憲法に明記し得たとしても何ら評価に値しない。晴れて憲法「学者」らの認知を得たところで、核攻撃によって一般国民もろとも消滅するのでは、単に自衛隊にとって墓碑銘となるに過ぎない。その事態を生起させない攻撃手段の付与こそが、軍を軍として遇する道ではないか。

 汚点だけを残した孫とは違い、鳩山一郎首相は、後の世代に貴重な遺産を残した。しかしその遺産は、残念ながら長くホコリをかぶったままである。

現行憲法で許される策源地攻撃力にいつまで経っても踏み出せない政治が、憲法改正を機に大きく姿勢を転換すると考えるのは幻想に過ぎないだろう。

むしろ、いま専守防衛の呪縛を払い、攻撃ミサイルの保持、サイバー攻撃作戦の実施などに踏み込むことによって、安保論議は、より現実に即した、より真剣な土俵で展開されるに至ろう。それは、より真剣な憲法論議にもつながるはずである。

専守防衛を宣言し、攻撃作戦は全面的にアメリカに委ねる「平和的」姿勢の背後に、相手の反撃目標を在日米軍基地に限定させ、日本人一般は被害を免れようとの打算があるのではと指摘する声が米側にある。憲法改正を待たずとも、政治的意志によってこの状況は解消できる。

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