会津鉄道・芦ノ牧温泉駅のネコ駅長「らぶ」 コロナ禍でも人気不動

 

 

会津鉄道・芦ノ牧温泉駅のネコ駅長「らぶ」 コロナ禍でも人気不動

静かな山あいの駅にディーゼルのエンジン音を響かせ列車が到着する。ホームのベンチにたたずみ、静かに観光客を出迎えるのはネコ。福島県会津若松市に...

産経ニュース

 
ホームのベンチで列車を見守るネコ駅長のらぶ=福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅(芹沢伸生撮影)(※特別に許可をいただき撮影しました)
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 静かな山あいの駅にディーゼルのエンジン音を響かせ列車が到着する。ホームのベンチにたたずみ、静かに観光客を出迎えるのはネコ。福島県会津若松市にある会津鉄道芦ノ牧温泉駅は、ネコの駅長がいることで全国的に知られる。現在、務めているのは2代目の「らぶ」(雄、6歳)。新型コロナウイルスの感染拡大で訪れるファンは一時、途絶えていたが、6月の移動自粛全面解除後はすぐに戻ったといい、人気は衰えを知らない。(芹沢伸生)

初代は「ばす」

 芦ノ牧温泉駅がネコのいる駅になったのは、21年前の平成11年6月。保護した雌ネコを小学生が駅に連れてきたのが始まりだった。そのネコはアニメ映画「となりのトトロ」の「ネコバス」に走り方が似ているとの理由で「ばす」と名付けられた。

 ばすは駅に住みつき、乗降客を見送る姿が評判になり、20年4月名誉駅長に。26年6月、高齢になったばすの補佐役で「駅長見習い」のらぶが加わり、27年12月に名誉駅長を引き継いだ。らぶは「名誉施設長」で弟のピーチ(3歳)と一緒に働いていたが、ピーチは体調を崩し今年3月に“退職”。4月からは妹のさくら(0歳)が駅員見習いになったが、まだ子供で、らぶの孤軍奮闘が続いている。

 駅を運営しているのは会津鉄道の委託を受けた「芦ノ牧温泉駅を守る会」。小林美智子駅長はネコたちの飼い主で21年前、ばすが駅にやってきたときも働いていた。

ネコ駅長のらぶ(左)と駅員見習いのさくら=福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅(芹沢伸生撮影)(※特別に許可をいただき撮影しました)
ネコ駅長のらぶ(左)と駅員見習いのさくら=福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅(芹沢伸生撮影)(※特別に許可をいただき撮影しました)
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海外でも人気

 守る会ではSNSなどで積極的に情報を発信しており、ネコ駅長は海外でも知名度が高い。さくらの名前の公募の際には2千件以上寄せられ、スペインやイギリスからも応募があった。

 駅そのものが会津観光に欠かせないスポットで、新型コロナウイルスの感染拡大前は平日で300~400人、休日は1千人を超える観光客が訪れていた。守る会の広報担当、小林洋介さん(35)は「自粛期間に訪れる人がいなかったことから、首都圏から来る人が多いことを実感した」と振り返る。

 小林さんが驚いたのは、移動自粛全面解除後の観光客の動き。「正確には分からないが6月下旬だけで例年の6月の1・5倍くらいは来た感じ」(小林さん)という急激な回復ぶりだった。ただ、多いのはマイカーの観光客で、小林さんは「鉄道の利用客はまだ戻っていない」とみている。

 初代ネコ駅長のばすは28年4月に推定18歳で息を引き取ったが、今でも月命日にはファンから駅に花が届くという。会津鉄道の渡部浩二営業課長(53)は「人間でもなかなか、ここまでしてもらえない。『猫の手も借りたい』ではなく、ネコにすがってる感じ」と笑う。

勤務は週5日

 ネコ駅長の「勤務日」は基本的に金~火曜日の週5日で、時間は午前9~午後4時。見習いのさくらも週末には顔を出すことが多く、運が良ければ2ショットを見ることもできる。らぶは観光客が大勢訪れても落ち着いている。性格はツンデレで、それも人気のひとつ。駅長の帽子をかぶり、ホームのベンチから列車を物静かに見守る姿は堂々としている。

真剣なまなざしで駅構内を見回るネコ駅長のらぶ。=福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅(芹沢伸生撮影)(※特別に許可をいただき撮影しました)
真剣なまなざしで駅構内を見回るネコ駅長のらぶ。=福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅(芹沢伸生撮影)(※特別に許可をいただき撮影しました)
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 らぶは駅構内の見回りが大好き。出かける際は小林駅長が一緒だ。最初はホームを隅々までチェック。その後は、ホーム脇の草むらへ軽々とダイビングし、保存車両の下にもぐったり、古いレールの上を歩いたり…。時間をかけて構内をまわり、時には猫草を味わったりもする。駅に戻ると今度は昼寝タイム。あくまでも自然体だ。

撮影は禁止

 愛くるしい駅のネコたちだが、写真撮影は禁止されている。長生きだった初代駅長のばすは晩年、目に異常があった。高齢で毎日浴び続けたフラッシュの影響が指摘された。苦い経験を繰り返したくないという思いが、スタッフにはある。

 今回の取材にあたっても、フラッシュや照明機材を使わないなどの条件で、特別に撮影を許可していただいた。

 渡部課長は「ネコはあくまでも自然体。動じないのがいい」と目を細め、「鉄道は人を運ぶ手段だが、この駅はネコを目的に人が来てくれる。(新型コロナの影響で窮屈な生活が続く)こんな時だからこそ、癒しのひとつになっているのでは」と話す。

会津鉄道】 福島県と会津地域の17市町村、団体、企業、個人などが出資し、旧国鉄・会津線を引き継ぐ形で昭和61年に設立された第三セクターの鉄道会社。路線は、西若松(福島県会津若松市)-会津高原尾瀬口(同県南会津町)間、57・4キロ。

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