天皇の慧眼と政治家の枯渇!

天皇の慧眼と政治家の枯渇!

 今谷:いくらご聖断があっても、手足となる政治家が指示を実行しないのでは話しにならない。

 松本:残念ながら当時の日本には英米相手に世界史のゲームができるだけの手腕をもった政治家がいなかった。

 長谷川:イラク戦争を見てもわかるように、IAEAの査察を先延ばしにしているというだけでいきなりドカンと殴りかかるのが米国流です。外交ゲームだけで開戦を回避できたとは思えないのですが・・・。

 松本:なんと天皇は開戦時にすでに終戦を見据えており、バチカンとのパイプを維持しておくよう指示を出しているんです。

 <煙をハサミで切るようなもの>
 松本:GHQは「民主主義下の天皇制」を企図していたにもかかわらず、「天皇制下の民主主義」に逆転させていった。(中略)「民主主義は欧米から教えてもらうものではなく、昔から日本に根付かせてきたものなんだ」という矜持を示し、国民を勇気付けるという狙いです。陛下ご自身、ずっと後の会見で、「それが実は、あの詔書の一番の目的であって、神格とかそういうことは二の問題でした。当時はアメリカその他諸外国の勢力が強く、日本が圧倒される心配があったので、民主主義を採用されたのは明治天皇であって、日本の民主主義は決して輸入のものではないということを示す必要があった。日本の国民が誇りを忘れては非常に具合が悪いと思って、誇りを忘れさせないためにあの宣言を考えたのです」(昭和52年8月23日の会見)とおっしゃっています。

 長谷川:「朕と爾等国民トノ間ノ紐帯ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説ト二依リテ生ゼルモノ二非ズ。天皇ヲ以テ現人神トシ、(略)トノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ」
 これでは文字通りに日本の皇室の伝統それ自体を否定してしまうことになります。幣原がこれを起草したとされていますが、これはもう万死に価しますね。

 長谷川:情けないのは、われわれ国民のほうですね。「降り積もる 深雪に耐へて色変へぬ 松ぞ雄々しき人もかくあれ」(昭和21年御製)の気持ちを持っていれば、こんな戦後にはならなかったのにと思います。

 <歪曲されるご真意>
 松本:「あいつは敵だ。だから、警戒しつつ手を握っておこう。そうすれば平和が生まれる」というのが、君主のリアリスティックな平和観です。実際、支那事変の際も、「威嚇すると同時に平和論を出せ」(『独白録』)と参謀本部に何度もおっしゃった。

 長谷川:臣民がしっかりしていないから、陛下は参拝できないでいるという状況を、われわれにそれとなく暗示されたのではないか・・・・そんなふうに、私は解釈しています。

 <公を取り戻すために>
 長谷川:天皇陛下がご自身で実践されている道徳と、国民一人ひとりに求められている道徳は、まったく同じものであるはずです。陛下のお姿をお手本にしつつ、我が身を振り返るという姿勢が大切ですよね。「松本健一(評論家)長谷川三千子(埼玉大学教授)今谷 明(都留文科大学次期学長)『諸君』平成20年2月号」

真中 行造のページ  2008年3月13日より 引用
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