行動制限緩和のドイツを苦しめる「経済とコロナ予防のさじ加減」

いつものように ドイツの現状 よく分かる記事です

 

行動制限緩和のドイツを苦しめる「経済とコロナ予防のさじ加減」(川口 マーン 惠美) @gendai_biz

ドイツにマスクが定着?

ドイツで4月27日から、店舗と公共交通機関の中でマスク着用が義務になった(一部の州ではそれ以前から、また、一部の州では交通機関の中だけ)。

ドイツでは、これまでマスクは歯科医や外科医がするもので、一般の人が、しかも街中で付ける習慣はなかった。彼らの常識では、マスクとは、大気汚染が酷い国でのやむを得ない防御対策だった。もしくは、アジア人の奇異な風習。

だから、以前より、冬の東京のラッシュ時のホームで、皆がマスクをしている写真などが新聞に載ると、たいてい皆がちょっとバカにした。もちろん新聞も、さりげなく奇異さをからかうような感じで載せていた(というか、確かに奇異な感じはする)。

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なのに、そのドイツ人が、マスクなしではスーパーにも入れなくなってしまったとは、なんという様変わり。今でもちょっと信じられない。

さらに驚くのは違反時の罰金。州によって違うのだが、一番高いのがバイエルン州で、マスクをせずにバスに乗ったり、店に入ったりしたら150ユーロ(約1.8万円)。また、お客がマスクをしているかどうかの監視を怠った店舗は、5000ユーロ(約60万円)というから、かなり過激だ。

一方、一番安いのはラインランド−プファルツ州の10ユーロ(約1200円)と250ユーロ(約3万円)。でも、それらを誰が監督するのか? 警察がいちいちやっていたら、他の仕事ができなくなる。

また、現在のマスク着用義務に反対している医者もいる。ちゃんとしたウイルス除去効果のあるマスクでなければ、ただの布切れでは意味がないと。

なお、ベルリン市だけは、店内でのマスク着用は義務ではなく、推奨。マスク姿では監視カメラで人相が確認できないので、どちらかというと着用して欲しくないのかもしれない(現在は入店制限のせいで店内が空いており、万引きが活発になる恐れはなさそうだが)。

マスクについて、皆どう思っているのかと電話して確かめてみると、うんざりしている人たちもいれば、手作りの綺麗なマスクが「嬉しい!」と言っている人たちもいた。聞くところによれば、マスク作りに夢中になっている人も結構いるそうだ。そのうちマスクはドイツの新しいファッションになる? まさか……。

大企業さえも青息吐息

さて、3月の半ばから閉鎖されていた店舗が、4月23日から一部解除され始めた。現在、800㎡までの店舗の営業は解禁となっている。

しかし、それを超える大型店舗は未だに営業できず、不満は募っている。デパートやショッピングモールなど大型店舗では密集が起こるからという理由だそうだが、例外として車のディーラーだけ開店が許可されたり、かなり不透明。その間隙を縫って、州によっては家具商にも営業許可を与えたところもあるし、方針が徹底していない

そもそも封鎖のあいだ、大きなスーパーやホームセンターは、厳しく入場制限をかけながらもずっと営業していたのだから、今、その他の大型店舗が不公平だと言って怒るのも無理はない。

いずれにしても、スーパー、薬局、ホームセンター以外の店は、1ヵ月にわたって売り上げがほとんどなくなってしまったため、どこも青息吐息だ。零細な企業ほどダメージが大きいので、まず、800㎡以下の小さな店舗から営業を許可したともいわれるが、しかし、大型店舗がこれ以上耐え切れるかというと、そうも言い切れない。

現在、雇用調整制度が適用されている事業主は、すでに71万社を超えている。それらの企業の就労者は、短縮労働、あるいは労働時間がゼロでも、賃金の60%が保障され(子供のいる人は67%)、そのお金は、雇用者と労働省で負担する制度だ。しかし、30日現在、その対象となっている就労者がすでに1000万人もいて、今後、まだ増える。

さらに29日、政府は、短縮労働者の賃金保証を80%に引き上げることも決めた。それどころか左派党は、90%保証にすべきだと言っている。

労働省には、そのための財源として260億ユーロの用意があったというが、この調子ではあとどれだけもつか? なくなれば、国が特別会計などで拠出することになるのだろうが、支援を必要としている人や企業は、その他にもたくさんいる。

たとえば、かつての優良企業であったルフトハンザ・ドイツ航空もその一つ。短縮労働などではとても追いつかず、7000人のレイオフが計画されている(最初は1万人と言っていた)。しかし、それでも政府の救済なしにはどうにもならなくなっており、現在、折衝中だ。

 

ルフトハンザが必要としている額はとりあえず100億ユーロ(約1.2兆円)で、交渉は難航しているという。救済がどういう形になるかの結論が出たら、それを今度はEUの該当の委員会が承認しなければならないので、まだ時間はかかるだろう。

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なお、エールフランスやKLMオランダ航空も同じような状況で、フランス政府とオランダ政府が保証を与え、110億ユーロの融資が決まった。

一方で29日、ドイツ政府は、移動の制限を6月14日まで伸ばしてしまった。それまで人々は旅行できないし、その後も、旅行熱が早急に戻ってくる保証はまるでない。どちらかというとその反対だろう。

だとすると、ルフトハンザも、エールフランスもKLMオランダ航空も、巨額の融資を返済できるのかということになる。下手をすると、そのうちヨーロッパの航空会社は、軒並み国営企業になってしまうかもしれない。

このまま旅行者が減り続ければ、当然、格安海外旅行がなくなり、航空チケットは昔のように高価なものに戻るだろう。

経済と感染予防のバランス

なお、ドイツでは当然、失業率も急速に上がっている。29日、政府は失業手当の交付期間の延長も決めた。

アパレル産業は、3月は売り上げが4割減、4月はおそらく7〜8割減との予測。ホテルとレストランは、売り上げがほぼゼロなので、政府は、この二つの業種にかけていた付加価値税(消費税に相当)19%を7%に下げることを決めたが、まずは営業が許可され、お客が来ないことには、税金の値下げも役には立たない。

今、ようやく小さな店舗が開き始めたとはいえ、人との接触はまだ禁じられたままだし(親戚や友人が集うのもいけない)、ショッピング気分も戻ってこない。家で子守やテレワークでは新しい服も要らないし、皆が先行きに不安を感じている限り、消費は伸びないだろう。

このままでは、未曾有の倒産の波がやってくると、多くの企業の団体が政府に対して、一刻も早いロックダウン解除、あるいは、少なくともその計画の公表を陳情している。緑の党は、国民全員に、たとえば250ユーロ分の買い物・食事クーポンを配布してはどうかと言い出した。

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野党だけではなく、与党の中でも、「経済と感染予防のバランス」を考えた政策をとるべきだという声は日増しに高くなっている。このままでは経済が破綻し、コロナ患者は減っても、国民の生活も健康も守れなくなる恐れがあると。

ドイツではすでに新規の感染者数は激減し、集中治療用ベッドは全国で1.3万床も余っているという。しかし、なぜかメルケル首相は、早急な解除はもとより、段階的な解除にさえ強硬にブレーキをかけている。コロナ対策の陰で、政界では何を巡ってどんな綱引きが起こっているのか、まるで見えなくなってきたと感じる。

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