米軍が世界一強い軍というのは神話。幻想である

宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)11月14日(木曜日)
        通巻第8503号 
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 『頭の腐った軍人がアメリカ軍の高官だとしたら、戦争は出来ない
   オバマはLGBTに理解のない将軍197人を解雇した。トランプは?
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 米軍が世界一強い軍というのは神話。幻想である
 オバマ政権下では白人の軍人の昇格を停止し、黒人をさっさとトップに据えた。ワクチンを接種しなかった兵士らをレイオフし、さらにLGBTに理解のない(つまり健全で正しい)軍人幹部を解雇した。オバマとバイデンがやったことだ。そのうえアフガニスタンでは無様な撤退、アメリカ兵は中露の笑いものになった。

 精神が萎えて闘う本質を忘れ、WOKEに理解のある軍人を昇格させ、軍隊のトップに並べて、『進歩的』な軍隊だと言った。オバマはアフガニスタンは「良い戦争だ」と言っていた。
アメリカには「軍人一家」が多かった。これは親子孫の三大が軍人になった。そうした軍人家庭がばかばかしくなって孫たちを軍にやらなくなった。アメリカの軍隊は弱体化した。

 トランプ政権のいわゆる「戦士委員会」は米軍指導部から「目覚めた将軍たち」を排除する。「米軍の女性化」を食い止め、トランプ政権移行チームが検討中の大統領令では、退役した上級軍人で構成される「戦士委員会」を設立し、三つ星および四つ星の将校を審査し、リーダーとして不適格と判断される軍人に対して解任勧告の権限を与える。

大統領令草案ではトランプ次期大統領が過去に軍の即応性を犠牲にして階級間の多様性を推進してきた「目覚めた将軍」を解雇すると公約してきた。最高司令官であるトランプ次期大統領は、国防総省の通常の昇進制度を迂回し、軍全体に多数の将軍や提督を『粛清』すると発言してきた。この戦士委員会は退役した将軍と下士官で構成され、彼らは大統領に勧告書を提出する。
解任対象に選ばれた者は30日以内に現階級のまま退役することになる。

トランプは、アフガン撤退に関わった将軍全員に「就任式の日の正午までに」辞任を求めると述べていた。
 曾てマーシャル将軍が1940年に退役将官らが率いる「抜擢委員会」を創設したことを前例として挙げ、現役の上級軍将校のファイルを検討し、「正当かつ十分な理由があると判断される将校を昇進から外す」ことを目的としていた。マーシャル委員会の目的は、将来有望な下級将校を昇進させる余地を醸し出すことだった。
大統領には将軍を解任する権限があり、その典型的な例がトルーマン大統領によるマッカーサー大将を解任だった。オバマは、アフガニスタンの司令官であったスタンリー・マクリスタル陸軍大将を解任した

まず標的は陸軍大将マーク・ミリーである。マーク・ミリー陸軍大将は札付きの左翼記者として知られるボブ・ウッドワードに対し、「トランプ氏は『完全なファシスト』だ」と語った。トランプはミリーを『愚か者』とこき下ろした。
もうひとりの粛清対象は、統合参謀本部議長ブラウン・ジュニア空軍大将だろう。

国防長官になるのはヘグセスである。
かれは「ザ・ショーン・ライアン・ショー」に出演し、「統合参謀本部議長を解任し、悪事に関与した将軍、将軍、提督など、誰であれ辞任しなければならない。戦争に参加するか、つまり軍人の任務を全うするのかどうかが唯一のリトマス試験だ。上級指導者が戦闘中に自分たちの最善の利益を考えてくれると信じていない。だから軍務に就きたくないのだ」
 ちなみにヘグセスの背広の裏地は星条旗である。


 ▼おっと、共和党上院院内総務はRINOが選ばれた

 共和党院内総務を選ぶ秘密選挙は18年間も、その地位にいたマコネルに代わり、ジョン・トゥーン(サウスダゴダ州選出)が選ばれた。トゥーンはRINO(名前だけ共和党)で、選挙中もトランプを批判していた。
院内総務にトランプ陣営はスコット議員等を推していたから、上院主流派がトランプと距離を置く議員となったことに複雑な反応があった。

  11月13日、フロリダをあとにしたトランプ次期大統領は、ワシントンに到着し、バイデン大統領と面談した。すでにレイムダック入りのバイデンは「平和裏の政権引き継ぎ」をトランプに要請し、トランプもこれを了とした。メラニア夫人はバイデン夫人のジルとは面会しなかった。

  さてトランプ再登場で最も泡を食ったのがニューサム・カリフォルニア州知事だろう。ギャビー・ニューサム知事はLBGBTの理解者であり「同性婚」のセレモニーに出席し、ゲイパレードにも参加した「進歩的」な極左政治家。
  かれは2028年の大統領選挙に打って出る構えだ。

  ニューサムは急遽、ワシントンへ飛んでバイデンとあい、レイムダックにおちいっているバイデン政権に対して、州の気候規制が脅かされると予想し、連邦政府の承認を求めた。
  そのうえで、12月2日からニューサムは緊急の州議会を招集する。知事報道官は、「知事はカリフォルニア全土の人々の健康と福祉の向上につながる重要な優先事項を提唱する、これはバイデン大統領就任以来の進歩を基盤にしている」と述べた。


 ▼トランプと全面対決に暴走するカリフォルニア州知事

  過去3回の大統領選をみると、トランプはカリフォルニアで共和党が惨敗してきた記録悪化を阻止し、38%の得票をはじき出して、民主党を驚かせた。共和党なぞ少数派と軽視してきたのがカリフォルニア州のまつりごとである。
  カリフォルニア州下院の共和党院内総務であるジェームズ・ギャラガー議員は、ニューサム知事のワシントン訪問を「知事は連邦政府の失敗と見なす政権に助けを求めるのではなく、州の改善に取り組むべきだ」と批判した。

  トランプ次期大統領は11月8日、ニューサム知事の反応についてコメントし、トゥルース・ソーシャルに、知事は「『カリフォルニアを再び偉大にする』ためにできる素晴らしいことをすべて阻止している」と投稿した。

  さてトランプに大差で負けたハリスだが、2026年にカリフォルニア州知事を狙うと観測されている。

ハリスはかつて州の司法長官を務め、2020年にバイデン氏の副大統領候補となる前まで上院議員だった。
皮肉なことにハリスがめざしているのはニクソンの過去例である。当時副大統領だったリチャード・ニクソンは、1960年の大統領選挙でケネディに敗れたあと、カリフォルニア州知事選でも敗れた。ところが奇跡的にニクソンは1968年に大統領に当選し、稀有の政界復帰を果たした。1972年に再選され、50州中49州で勝利した。このひそみに習おうとしているのがカマラ・ハリスである(ま、神は見放しているけど)。

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