詩と断片 あるいは 言葉の雫

美琴の新作の詩、言葉を載せています。

2010年04月06日 | 
今日は雨が降るらしい。
誰かは恵みの雨と言い
違う誰かは靴が濡れるから
嫌だと言った。

今日は雨が降るらしい。
誰かは雨を飲むだろうし
違う誰かは水溜まりで
遊ぶだろう。

今日は雨が降るらしい。
誰かは神に感謝して
違う誰かは神に悪態を
ひとつついた。

今日は雨が降るらしい。
誰かは雨上がりの虹を期待して
違う誰かは雨上がりの泥跳ねを
気にしている。

今日は雨が降るらしい。
誰かは植物が育つと言い
違う誰かは川が氾濫
すると言った。

今日は雨が降るらしい。
誰かにとっては喜びの雨で
違う誰かにとっては悲しみの
雨だった。

今日は雨が降るらしい。
水道のない国では恵みの雨で
水道のある国では恵みの雨
ではなかった。

今日は雨が降るらしい。
水道のない国の子供は飲むだろうし
水道のある国の子供は水溜まりで
遊ぶだろう。

今日は雨が降るらしい。
肯定的に見る人は楽しみを
否定的に見る人は不満を
ひとつ増やした。

今日は雨が降るらしい。
誰かはお気に入りの傘を準備して
違う誰かは天気予報の的中率を
気にしている。

今日は雨が降るらしい。
誰かは休日で家に居るだろうし
違う誰かは雨に濡れながら
仕事をするだろう。

今日は雨が降るらしい。
誰かは自分以外のことも気にかけて
違う誰かは自分のことだけを
考えている。

今日は雨が降るらしい。
恵みなのか迷惑なのかはわからない。
喜んでいいのか 悲しんだほうが
いいのかも わからない。

ただ、
今日は雨が降るらしい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする