詩と断片 あるいは 言葉の雫

美琴の新作の詩、言葉を載せています。

当たり前という奇跡

2011年06月14日 | 
ありふれた日常の中に
ありふれた日常の顔をした
奇跡と呼ばれる些細な
とても些細な奇跡が
存在している

誰もが気づくような
あるいは
誰もが驚くような
特別な奇跡は
得意気な顔で
自分こそ奇跡だと
世界中で顔を出しては
些細な奇跡のことを
人々の頭から
忘れさせようとしている

そして
人々も愚かだから
華やかで目立つ
特別な奇跡を
特別な奇跡だけを
奇跡だと思い
些細な奇跡のことを
いつの間にか忘れて
些細な奇跡のことを
奇跡と呼ばずに
当たり前と
呼び始めた

特別な奇跡は気紛れで
平等という言葉も知らない。
人々は
特別な奇跡の
その性格を知らない。
そして時々
自分に奇跡が
起こらないことを嘆いて
自分は不幸だと
嘆いたりもする

ありふれた日常の中に
有り余るほどの
奇跡が存在している。
でも人々は
些細な奇跡のことを
当たり前と感じている。
当たり前が
当たり前ではないと
気づくまでは

当たり前のように流れる
ありふれた日常の中に
今日も当たり前のように
有り余るほどの
奇跡が
存在している。

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