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南英世の 「くろねこ日記」

件名・結論・詳細

今から10年ほど前、NHKのアナウンサーによる2日間の有料講習を受けたことがある。すごく有益だったので紹介したい。
教員は話すプロであるにもかかわらず、残念ながら研修のほとんどは授業内容に関するものばかりで、伝え方の基本をきちんと学ぶ機会は全くない。教員の場合、授業のほかホームルームで連絡をしたり、体育館でみんなを集めて話をしたりするなど、大勢の前で話す機会は多い。そういう場合の話し方の基本は、

1.まず、件名を述べる。(~について話します)
2.結論を述べる
3.詳細について説明する

である。後で気が付いたことだが、これはNHKのニュース原稿の基本パターンでもある。
この基本パターンは授業やHRでの連絡に広く応用できる。たとえば、授業の冒頭に、今日の授業は何について話すのか、そして結論=学んでほしいことは何なのかを紹介し、その後で詳細についての説明に入る。

「件名」「結論」「詳細」たったのこれだけのことをきちんと実行するだけで、授業・連絡は全く違ったものになる。件名の例は次の通り。

「~についての連絡です」
「~についての報告です」
「~のお願いです」
「~についての相談です」
「~についてのクレームです」
「~についてのお詫びです」

上司に対する連絡も、件名・結論・詳細ですっきり伝わる。しかし、こうしたノウハウが教員の世界では全く共有されていない。

また、伝えたいメッセージを確実に相手の心に届けるために、いかに情報を精選するかということも大切である。話す内容は詳しければいいというわけではない。絵を描くときに伝えたいメッセージを強調するために余分なものを省略するのと同じ理屈である。

アナウンサーという職業は与えられた原稿を読んでいるだけではない。情報を視聴者の心に確実に届けるために私たちの知らないプロとしての訓練をしている。私も有料講習を受けるまでは知らなかった。

ただし、こうしたスキルは実際に演習の中でトレーニングしないとなかなか身につくものではない。それも少人数でやらないと効果がない。まさに「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」である。教員研修の中にぜひともこういうプログラムを組んでほしいものである。
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