ところで、今の株式市場のプレーヤーとして大きな役割を担っている一つにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がある。GPIFは日本の公的年金資金約169兆円の管理運用を行なっている。
2014年、安倍内閣は景気浮揚策として、GPIFの運用資産を株式市場などに積極的に運用する政策を展開した。その結果、国内外の株式の運用比率は24%から50%に引き上げられた(上図)。そのことの危険性については、ちょうど1年前のブログに書いた。
https://blog.goo.ne.jp/minami-h_1951/d/20190306
たしかにGPIFの積極的な運用は、株式市場が活況を呈している間は成功したかに見えた。しかし、今回の「パンデミック・マーケット」によってGPIFは巨額の損失を抱えた可能性が高い。
もちろん、現在の年金給付は基本的に賦課方式であり、現役世代が支払う年金保険料と税金によって賄われている。だから、ただちにGPIFの損失が年金給付に影響を及ぼす状況にはない。しかし、今後不景気が深刻になり、現役世代の給与水準が低下したり失業者が増えたりすると、年金給付の財源である年金保険料は減る。
GPIFはかつて資産の7割近くを安定的とされる国内債券で運用してきた。しかし、今回の株式市場の大暴落によって、どうやら我々の年金が減額されるという形で跳ね返ってくる可能性が高い。こうした事態が起こりうることは当然予想されたことである。安倍内閣最大の失政と評価される日が来ないことを祈るばかりである。
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