この本を読んで一番衝撃的だったのは、アドラーの言う「目的論」だった。アドラーは「われわれは過去の経験に『どのような意味を与えるか』によって、自らの生を決定している。」と述べている。これまでのフロイト的な原因論に立てば、過去が現在の自分を作ったと考える。
つまり、我々は過去に支配された生き方しかできないことになる。
しかし、過去にあった原因をいくら詮索しても現在の自分が幸せになれるわけではない。アドラーはフロイト流の「原因論」を明確に否定し、「目的論」を展開して前向きな人間像を描いて見せた。
人間は変わることができる。たとえ、過去に起きた事実は変えることができないとしても、その意味を読み変えることにより現在の自分を変えることができる。アドラー心理学は自分が変わるための心理学である。コペルニクス的な転回だ。
これまでの人生を振り返って、いまの自分が「幸せだ」と感じることができるのは、実はアドラー的な考え方を知らず知らずのうちにしていたからかもしれない。
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