南英世の 「くろねこ日記」

伊藤仁斎

哲学トレーニング 2 社会を考える 直江清隆編  岩波書店 2016年 第1刷発行を読んだ。

古代ギリシアから現代思想までさまざまな哲学者を取り上げ、「災い」「正義」「自由」といったテーマに切り込む。個人的には伊藤仁斎、渋沢栄一、フロムの解説が面白かった。ここでは伊藤仁斎について取りあげる。

伊藤仁斎は京都の堀川に生まれ、私塾「古義堂」を開き、論語、孟子のもともとの意味を追求したことで知られる。仁斎の主張を一言で表すなら「忠恕」である。

「忠」とは忠誠という言葉から類推できるように、これ以上できないというところまで必死になることである。一方「恕」とは他人の心を全力で推し量ることである。

人と接するとき「忠恕」に努めると、たとえ他人が過失を犯してもそこにはやむを得ない事情があったことなどがわかり、寛容な気持ちが湧き、助けてあげようという気持ちになれる。その結果、理想的な人間になれる。

孔子が死ぬまで続けよといったのは「恕」である。

ロシアに「恕」にあたる単語が存在するのだろうかとふと思った。

 

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