(写真は石川門、私の学生時代はこの中に金沢大学があった)
人生で、忘れることができない一瞬というのがある。一番うれしかったのは、大学入試の合格発表で掲示板に自分の番号を見つけたときのことである。一浪して合格したこともあって、両親も大変喜んでくれ、入学式にも来てくれた。石川門のところで記念写真を撮った。せっかくだからカラー写真にしようといったのだが、親父から「もったいないから白黒にしよう」と言われ、結局、白黒で撮った。家が貧乏だったのだと今にして思う。
乗鞍岳の山頂までヘリコプターで飛び、そこからスキーで斜度30度を超える大斜面をビュンビュンかっ飛ばしたことも忘れられない。
そのほか、大阪の教員採用試験に合格したときのこと。
初めて子供を授かったときのこと
エーゲ海で見た夕焼け。
富士山の弾丸登山。
初めて教科書を書いたときのこと。
初めて自分の単行本が書店に並んだときのこと。
そして、東大谷高校で、感謝することの大切さを学んだこと、などなど。
いやなこともいっぱいあったはずなのだが、ほとんど思い出すことがない。
どうやら、私には嫌なことは忘れることができるという才能があるらしい。
おかげで、人生がどんどん楽しくなっていく。