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南英世の 「くろねこ日記」

囲碁を法則化

この夏、過去10年分の棋譜ファイルを整理し、さらに囲碁の打ち方の法則性について考えてみた。ようやくその一部がまとまったので公にする。

 

【1】二つのタイプ
囲碁を打つ人には二つのタイプがある。
① 自分から積極的に仕掛ける人
② 相手のミスを待って攻勢に転じる人

 

【2】序盤の基本
① 地をとる(首尾一貫させる)
② 模様を広げる(首尾一貫させる)
③ ハサんで戦う
④ 厚みを制限する(模様を作らせない)
⑤ 弱い石を作らない(まず根拠)
⑥ 見合いで打つ(相手の手についていかない)
⑦ 箱型を目指す
⑧ 30手前後で自分の石を強くして、相手の石を弱くする。
⑨ 模様の接点を逃さない
⑩ 攻める楽しみのない石はカス石だから処分する

 

【3】死活の基本

 われわれアマチュアは一般的に詰碁が苦手です。しかし、詰碁という筋力トレーニングをやっておかないと本物の力は身につきません。女流棋士の上野愛咲美は最近の著書の中で「詰碁は私の碁のバロメーターです。読みが衰えるとすぐ弱くなります。そのため、1日最低300問は解くようにしています。だいたい1問5~10秒くらいで解きます。1日300問以上を解くことをキープしていれば、私はまあまあの強さが保てる感じです。詰碁にはいろいろなパターンの筋がありますので、できるだけ多くの筋に当たって体に染みこませておくのが大切です。そうすることで、いい手や筋が見えてきます」と述べている。詰碁の代表的なパターンには次のようなものがある。

① 死はハネにあり(スペースを狭める)
② 富士山系
③ 二の1の筋・一線の下がり
④ ウッテガエシ系
⑤ 押す手なし
⑥ ツグ手無し(ダメ詰まり)
⑦ ホウリコミ系(生き)
⑧ オイオトシ系(生き)
⑨ 利き筋の利用(生き)
⑩ ハサミツケからシボる筋
⑪ 石を取らせた後に手あり 

            

【4】弱点補強の基本
① 強い人は後手になってもしっかり守る
② 次の狙いにつながる補強を考える
③ 相手が強くなったら自分の石は相対的に弱くなる。そこで自分も一手かけて守る
④ 死んだふり作戦も大切

 

【5】攻めの基本
① 模様に入ってこさせて2次攻撃
② 相手の模様に入るには方程式がある。攻めるターゲットとなる弱い石を作る。一方的に攻められるところには入らない。
③ 戦うところか、治まるところかを意識する
④ 相手の石数が多いところでは戦わない、地にさせる
⑤ 簡単に治まらせない(ハサム、根拠を奪う、重くする)
⑥ 攻める前に自分の弱点を補強する
⑦ いきなり攻めないで、それを狙いに準備する
⑧ 攻めは肩から
⑨ 攻めるときの打ち込みは高く
⑩ 厚みに追い込んで攻める
⑪ 攻めたい石の反対側から打つ
⑫ もたれ攻めを考える
⑬ 形の急所を突く
⑭ 攻めながら地をとる(得をする)
⑮ 攻めながら四角い地をつくる
⑯ 攻めながら自陣を強化する
⑰ 一直線に攻めない(相手の石が中央に顔を出したら「撃ち方止め―」)
⑱ 攻めを適度なところで切り上げて「シン」を入れる
⑲ 封鎖する
⑳ もぐりこんで裸にして攻める
㉑ ボウシから逃がして攻める(散地を走らせる)
㉒ 相手を逃がして、模様になだれ込む
㉓ 利き筋を利用して攻める
㉔ 遠巻きにして攻める(二間飛びなど)
㉕ 二間ビラキへの攻め
  ・生きを催促し封鎖する
  ・上から被せて模様を作る
  ・切り違えて分断する
  ・もぐり込んであぶりだす(周辺が強い時)
㉖ 2目取らせて安心させ、眼を奪う
㉗ 石を守る場合は、相手に響かせてその調子で守る
㉘ 攻め合いになった場合は「内ダメを増やし」「外ダメから詰める」
㉙ 石を取られても、攻め取りにできれば小さい(外勢を築く)
㉚ 利かした石は捨てて打つのが基本
㉛ 相手の心理を読んで攻める(脅しをかける、揺さぶるなど)

 

【6】打ち込みの基本
① 苦しまないところに打ち込む
② いきなり打ち込まないで、次に手を抜いたら打ち込みますよという手を打ってから打ち込む
③ アマの弱点は相手の大きくなりそうなところに目が行くこと(相手の弱いところに打ち込んでちょっとずつ削っていけば、大きな地にはならない)。

 

【7】サバキの基本
① フリカワリを目指す
② 軽く逃げ出す(重くしない)
③ 肩突きから中央に顔を出す
④ 捨て石を打ち、利き筋にする
⑤ 切り違いでサバく(切り違いは戦いの手ではない、利き筋を作るための手である)
⑥ シボってサバく
⑦ 割り込みからサバく
⑧ ケイマのハネダシは捨て石として使う
⑨ 相手の強い石にツケる
⑩ 1本アテてツグ

 

【8】消しの基本
① 肩突き
② ボウシ
③ 隅で治まる
④ 3線に打ち込んで治まる
⑤ 踏み込む

 

【9】ヨセ
① ヨセに入るタイミングは攻める石がなくなったとき

 

【10】厚みの活かし方

① 厚みの活かし方は難しい。近づきすぎたら攻めに使えるが、地にさせられたら小さい。
② 十分な広さがあれば囲うとよい。
③ 棒石は厚みではない。眼形があるのが厚みである。
④ 生きている石から動かない

 

【11】手筋・利き筋 
① 囲碁というのは手筋・利き筋という「魔法」をいかに使うかである
② 利き筋は相手の打ち方によって使い分ける。
③ 利き筋は最後まで使ってはならない。

 

 実戦では、上にあげた一つが決まれば勝利への道が開ける。囲碁の打ち方は無限にあり、一つ一つの場面ごとに覚えようと思っても覚えきれるものではない。しかし、囲碁を法則化すると実戦での応用が容易になる。先日、いつも通っている碁会所で試してみたところ大変うまくいった。少なくとも、われわれ六段・七段のアマチュアレベルは、これで十分である。

囲碁を一つの学問として法則化すれば、もっともっと簡単に囲碁を学べるのではないか。今までこんな教え方をした人はプロの先生を含めどこにもいない。

また、世に出回る定石の本は「こういう手もある」「ああいう変化もある」と形と結果ばかりを解説している。しかし、いちばん大切なことは、なぜそういう定石が出来上がるのかという「なぜ」という問いかけではないか。そもそも日本では「覚えさせる」ことが教育だと勘違いし、その結果、勉強嫌いを増やしている。囲碁でも同じことが言えないか。「なぜ」という問いかけをすると、囲碁はもっと楽しくなる気がする。

 

 

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