それでさっそく試しに描いたのがデルフォイ神殿の模写である。本に描かれていたものを参考にした。
そしてもう一つ描いたのが若草山の鹿。たまたま素敵な写真を見つけたので、それをもとに描いてみることに。とはいっても、やはり本物を見ておく必要がある。
というわけで先日、若草山(342メートル)に登ってきた。ちょど桜が満開でハイキングにちょうど良い季節である。
途中でスケッチなどをしながら1時間半ほどで頂上に着いた。頂上にも鹿がたくさんいた。
この鹿さんをモデルに描いたのが下の絵である。若草山のメルヘンの世界を描きたかったのだが、粒子の荒い岩絵具を使ったら空がザラザラしたものになってしまった。まあ、失敗を重ねながら少しずつ慣れていくのだろう。
日本画教室の先生にこの絵を見せたら、「写真やお手本を見て描いてはいけません」と注意された。残念…
現地に出かけてスケッチをし、そのスケッチをもとに構図を考え、下図を描いて彩色する。これが基本ですと強く言われた。
なにしろ先生の恩師にあたる元京都市芸大副学長上村敦之(うえむらあつし)先生は、鳥を描くためにいまも自宅に1000羽の鳥を飼っているという方である。だから、本物をよく観察して描くという日本画の基本を叩き込まれているのだろう。学生の時に「絵を描くということは人間形成です」と教わったともいわれていた。
しかし、外でスケッチをするというのはちょっと勇気がいる。人が寄ってきて「へたくそやなー」と思われることを覚悟しなければならない。特に子どもは思ったことを素直に口にするから怖い。同じ教室で日本画を習っている方がアドバイスしてくれた。「南さん、最初は人のいないところでスケッチするといいですよ」。
さしあたり淀川の夕焼けでもスケッチしてみようか。ここなら人もおるまい(笑)。