今年の3月まで囲碁インストラクターと囲碁ライターの2足の草鞋を履いてきた。そのうち3月に執筆した「ボンド杯」の取材記事がこのほど雑誌に掲載された。取材記者として小さく名前が載るだけだが、我ながらいい仕事ができたと喜んでいる。
京都で二日間にわたって展開された試合を写真に収め、必要なインタビューを行い、さらに参加者の情報をネットで調べて記事にした。長年高校生を相手に論文指導をしてきたが、雑誌記者という意外なところで役に立てるのがうれしい。もちろん報酬はない。完全なボランティアである。
実は去年も1本記事を書いた。新たにプロになった安東陽向初段の紹介記事である。この時は人物紹介だけではなく、彼の会心の一局を取り上げて棋譜解説もやった。
今度発行される『碁楽室』6月号には「英語でGo」という私の記事が掲載されることになっている。日本で初めての囲碁を打つ人のための英会話集である。3月末には執筆を終えていたが、先日その原稿を編集者に送った。
ところで、4月から天王寺高校で再び教壇に立ち、二兎ではなく三兎を追う羽目になった。最初は何とかなるだろうと思っていたのだが、いざ授業が始まってみると三兎を追うことなどとてもできない。頭の中が授業のことでいっぱいになり、囲碁は気分転換程度のことになってしまった。そのためか、最近は自分でも嫌になるような負け碁が続いている。
二兎(三兎?)を追うことなどとても無理だと観念して、しばらくは授業に専念することにした。このゴールデンウィークには第1回模擬試験の問題を作成しようと思っている。昨日丸1日かけてようやく16点分ができた。年間で作らなければならない試験問題は模試3回分と定期考査3回分の合計6種類。1回のテスト問題を作るのに最低でも20時間以上はかかる。
試験問題は生徒へのメッセージでもある。授業でいい足りなかったこと、学んでほしい要点、基礎さえ分かっていれば試験問題なんて解けるように作ってあることなどなど。
ところが現在の制度では、非常勤講師が試験問題を作成しても報酬はない。年間100時間以上がタダ働きになる。だから、試験問題を作ることを「義務」と考えるとしんどい。しかし、試験問題は生徒への「メッセージ」と考えるとしんどさは幾分緩和される。良質の問題を提供するために、今日も頭を悩ます。