「真理と正義を愛し」
とある。
一見すると何の問題もないようにも見える。真理と正義を愛することのどこが悪いのか?
大切なのは、何が真理で何が正義かを「誰が決めるのか」ということである。ここには当然「誰か」の価値観が入ってくる。そう、誰かの・・・。
もし、その価値観が権力者によって定められるとしたら、空恐ろしい。つい、戦前の教育勅語や修身を連想してしまう。「教育勅語の何がいけないのですか。いいこともいっぱい書いてあります」とのたまう国会議員がわんさかいるご時世である。ついつい警戒してしまう。
おりしも、今度の新学習指導要領では「道徳の教科化」が定められている。もうすでに小学校、中学校では道徳教育が始まった。高校ではさすがに道徳という科目はないが、「公共」という新設科目にその役割が期待されているとも聞く。
2022年度から高校でも新学習指導要領に基づいた教育が始まる。教育基本法が改正されてから16年。今まで地中に蓄えられてきた巨大なマグマが、いよいよ表面に出てくる。
憲法第13条に「すべて国民は個人として尊重される」とある。しかし、今この精神が風前の灯である。個人の良心に忠実に生きようとすると、しんどい生き方を強要される時代がまた来るのかもしれない。個よりも全体が重視される社会に逆戻りすることを、国民は本当に望んでいるのであろうか。
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