
武士の出世
武士にとって、家の取り潰しになる、最大の理由は、跡を継ぐ嫡男がいない事でし
た。いっぽう男の子が多数いて、長男が家督を相続すると、次男以下兄弟は居候の
”冷や飯食”と云われ厄介者あつかいされた。次男、三男の将来として理想的だっ
たのは、藩の重役の目にとまり新規に召し抱えられ、独立する事でした。
しかし、幕府、ほかの藩でも幕臣、家臣が多すぎて新たに召し抱えてもらう道は
狭かった。しかし嫡男のいない家に婿養子に入る事も持参金のない貧乏旗本の次男
三男には縁がない、そうなると高禄の武家の用人などに雇ってもらうしかない。
その全てがだめとなると、博徒の用心棒になったり、徒党を組んで悪事を働いたり
して、しだいに身を持ち崩していく者も少なくなかった。
武士の出世は家柄によってある程度決まっていた。家老の子は家老となるのだが、
どの藩にも家老の家格は複数あってその中で少数激戦の出世競争が戦われていた。
しかも、競争のスタートは早く12~13才頃から大名の身のまわりの世話をする
”子小姓”に選ばれる事が多く、これが出世競争の始まりでした。
そこで、大名に気に入られるか嫌われるかで出世の道は大きく左右されたのです。
しかし下級武士は出世競争とは無縁の存在でした。
(株)夢の設計社 歴史の謎を探る会より
byビンちゃん